低濃度PCB廃棄物の適正処理には高額な費用がかかるため、自治体や国の支援制度が設けられています。支援事業には、処理費用の一部助成や低金利融資があり、廃棄物の分析・交換費用を軽減します。関連企業が専門的な処理支援も行っています。
目次
低濃度PCB廃棄物処理支援事業とは?
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画像出典:フォトAC
PCB(ポリ塩化ビフェニル)はかつて電気機器に広く使用されていましたが、現在はその毒性により厳格な処理が求められています。特に低濃度PCB廃棄物の適正な処理には高額な費用がかかるため、各自治体による支援制度が設けられています。これにより、所有者は費用負担を抑えながら処理が進められるようになっています。
◇PCB廃棄物の調査・処分費用は高額になりがち
低濃度PCB廃棄物は、変圧器やコンデンサー、安定器などの古い電気機器に含まれていることが多く、適切な処理には専門的な分析と廃棄手続きが必要です。これらの機器は外見からPCBを含んでいるかどうかを判別することが難しく、事前に成分分析を行わなければなりません。
この分析には費用がかかり、PCBを含むことが判明した場合は、国の認定を受けた処理施設での適正な処理が義務付けられます。しかし、調査や処分にかかる費用は非常に高額で、所有者にとって大きな負担となります。特に、小規模事業者などはコストや知識不足により、対応が遅れることが問題となっています。
◇補助制度で処理を促進
こうした課題に対応するため、各自治体では微量PCB汚染廃電気機器の分析費用を補助する制度を設けています。これにより、所有者は費用負担を抑えながら、PCBの有無を確認することができます。
低濃度PCB廃棄物は専門的な分析をしなければ判別が難しいため、補助制度を利用することで、不要なコストを削減しながら適切に処理が進められます。事業者や機器所有者は、自治体の公式情報を確認し、必要な手続きを速やかに行うことが重要です。
低濃度PCB廃棄物処理を軽減できる制度
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低濃度PCB廃棄物の処理には高額な費用がかかるため、事業者の負担を軽減するためにいくつかの支援制度が設けられています。代表的な支援事業として「微量PCB廃棄物処理支援事業」と「中小企業者等軽減制度」があります。ここでは、それぞれの制度について解説します。
◇微量PCB廃棄物処理支援事業
微量PCB廃棄物処理支援事業は、低濃度PCBを含む廃棄物の適正処理を促進するための助成制度です。対象となるのは、主に変圧器やコンデンサーなどの電気機器で、それらに含まれる微量PCBを適正に処理するための費用の一部が助成されます。
申請期限と対象者は以下の通りです。
・申請締切期間: 2026年3月31日
・助成対象者:個人、中小企業団体、マンション等建物管理組合法人、中小企業、会社以外の法人
申請には事前にPCB分析や処理計画の立案が必要であり、処理を実施する前に申請を行わなければなりません。詳細は東京都環境公社のWEBサイトに掲載されているガイドラインを確認してください。
◇中小企業者等軽減制度
中小企業者等軽減制度は、特に中小企業や個人事業主向けに提供されている支援制度で、PCB廃棄物の処理にかかる費用負担を軽減することを目的としています。この制度は、廃棄物の適正処理を促進し、処理費用の一部を助成することが特徴です。
助成対象者、処理費の助成対象、助成額は以下の通りです。
・助成対象者
会社(株式会社・有限会社・合資会社・合名会社・合同会社)、個人事業主、中小企業団体等、法人(会社・中小企業団体を除く)
・処理費用の助成対象
廃棄物の分析費用、運搬費、処理作業費、漏えい防止措置費用など
・助成額
助成額は、PCB廃棄物の種類や数量、申請者の法人形態によって異なります。以下は、トランス類のPCB廃棄物の場合の助成額です。
・ 中小企業:364,000円/台
・ 個人:494,000円/台
引用元:JESCO 中間貯蔵・環境安全事業株式会社 中小企業者等軽減制度
令和7年に実施の可能性がある低濃度PCB廃棄物処理支援事業
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低濃度PCB廃棄物の適正処理は、環境保護と法令遵守の観点から非常に重要です。令和7年度に実施される可能性のある支援制度として、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」と「環境・エネルギ・対策資金の融資」があります。これらの制度は、廃棄物処理の促進と同時に、環境負荷の削減を目指しています。
◇二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
令和6年度の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」は、廃棄物処理と脱炭素化の同時達成を目指した事業です。この事業では、PCB汚染変圧器を高効率の変圧器に交換することで、CO₂排出の削減とPCB廃棄物の早期処理を促進します。環境省は、2025年度の募集を1月20日から開始しています。
・補助対象者
個人(個人事業主)、民間事業者、一般社団法人・公益財団法人などの法人
・助成対象費用
– 低濃度PCB汚染の疑いのある変圧器の分析調査
– 低濃度PCB汚染変圧器の高効率変圧器への交換
・助成額
・調査・交換費用の10分の1(上限50万円)
・工事費・設備費など、認可された経費の3分の1
引用元:環境省 令和7年度「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」等に係る補助事業者(執行団体)の募集
◇環境・エネルギ・対策資金の融資
「環境・エネルギ・対策資金の融資」は、環境保全やエネルギー効率向上に取り組む企業を対象とした融資制度です。特に、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用を促進するため、事業者に低金利で資金援助が行われます。この融資制度により、事業者は設備投資に必要な資金をより有利な条件で借り入れることができます。
・補助対象者
中小企業者や法人、環境保全またはエネルギー効率化を進める事業者
・融資金額(限度額)
・直接貸付:7億2000万円
・代理貸付:1億2000万円
低濃度PCB産業廃棄物の調査・運搬・処理を依頼できる会社
こちらでは、PCB処理に対応する信頼性の高い3社を紹介します。適切な処理施設と連携し、安全な運搬を実現しています。
◇丸両自動車運送株式会社
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丸両自動車運送株式会社は、産業廃棄物の収集・運搬を専門とし、全国対応のネットワークを活かして多様な廃棄物処理に携わってきた企業です。特にPCB廃棄物に関する豊富な知識と実績を持ち、これまでに4,300件以上の処理を手がけています。
運搬においては、GPSによるリアルタイム管理を導入し、経路や位置を常に把握することで、安全性を確保するとともに緊急時の対応体制も強化しています。
会社名 | 丸両自動車運送株式会社 |
所在地 | 〒424-0036 静岡県静岡市清水区横砂西町10番6号 |
電話番号 | 054-366-1312 |
公式ホームページ | https://www.maruryou.jp/ |
さらに、専用の輸送機材を使用し、処理施設との円滑な連携を図ることで、迅速かつ確実な処理を実現しています。
丸両自動車運送株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
▼全国の産業廃棄物処理場とのネットワークを活用!丸両自動車運送株式会社
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社 新関西テクニカ
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株式会社 新関西テクニカは、関西を中心に産業廃棄物の収集・運搬を手がける企業で、環境保全と法令遵守を重視しながら、処理工程全体を考慮したサービスを提供しています。低濃度PCB廃棄物の取り扱いにおいては、事前調査から収集・運搬、処理施設への搬送までを一貫して対応できます。
会社名 | 株式会社 新関西テクニカ |
所在地 | 〒611-0031 京都府宇治市広野町新成田100-177 |
電話番号 | 0774-43-2380 |
公式ホームページ | https://kanteku.co.jp/ |
さらに、企業の廃棄物状況を丁寧にヒアリングし、最適な処理計画を提案することで、コストを抑えつつ安全な処理を実現しています。
こちらも併せてご覧ください。
◇株式会社クリーンシステム
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株式会社クリーンシステムは、産業廃棄物処理と環境コンサルティングを手がける企業で、PCB廃棄物の調査・分析・処理支援に強みを持っています。特に、低濃度PCB廃棄物の含有状況を正確に把握するための専門的な分析を提供し、適正な処理につなげています。
会社名 | 株式会社クリーンシステム |
所在地 | 〒252-〒990-0845 山形県山形市飯塚町字中河原1629-5 |
電話番号 | 023-644-2228 |
公式ホームページ | https://www.csyam.com/ |
企業の廃棄物処理負担を軽減するため、各処理ステップにおける行政手続きをサポートし、スムーズな処理を実現しています。また、PCB処理に関する法規制の変更にも対応し、最新の基準に沿った適正処理を行うためのアドバイスを提供しています。
こちらも併せてご覧ください。
低濃度PCB廃棄物の適正処理は環境保護と法令遵守のために重要ですが、処理には高額な費用がかかり、特に小規模事業者などにとって大きな負担となっています。そのため、自治体や国の支援制度が設けられています。主な支援事業には、微量PCB廃棄物処理支援事業と中小企業者等軽減制度があります。
微量PCB廃棄物処理支援事業は、変圧器やコンデンサーなどの低濃度PCBを含む廃棄物の処理費用の一部を助成するもので、申請にはPCB分析と処理計画が必要です。また、中小企業者等軽減制度は、特に中小企業や個人事業主向けに、廃棄物の分析費用や運搬・処理作業費などを助成します。
令和7年度には、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」と「環境・エネルギ・対策資金の融資」が実施される可能性があります。これらはPCB廃棄物の適正処理を促進し、CO₂排出削減を目指すもので、助成対象者には個人事業主や民間事業者が含まれ、支援内容は分析や交換費用の一部助成です。
PCB廃棄物の処理を支援する企業としては、丸両自動車運送、新関西テクニカ、クリ・ンシステムなどがあり、それぞれ専門的な分析、収集・運搬、処理支援を提供しています。