PCB(ポリ塩化ビフェニル)の構造式とは?PCBに関する事件と関連法令 | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB(ポリ塩化ビフェニル)の構造式とは?PCBに関する事件と関連法令
公開:2023.12.18 更新:2023.12.18PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、ビフェニル基の塩素置換により構成され、異なる塩素の数や位置により209種類の異性体が存在します。特にコプラナーPCBはダイオキシンやポリ塩化ジベンゾフランに似た構造を持ち、強い毒性を示すことがあります。これらはダイオキシン類として扱われ、日本では「ダイオキシン類対策特別措置法」により規定されています。
目次
PCB(ポリ塩化ビフェニル)の構造式と特性
PCBの構造式
PCBはポリ塩化ビフェニル化合物の総称です。塩素の数や位置の違いによって、209種類の異性体が存在します。
PCBは、ビフェニル基の基本的な骨格に塩素が置換される位置によって、2つのベンゼン環が同一平面上に配置され、扁平な構造をとることがあります。このような構造を持つものを「コプラナーPCB」と呼びます。(コプラナーとは、共平面状構造を指します。)
これは構造的にダイオキシン(PCDD)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)に類似し、他のPCBよりも強い毒性を示すことがあります。
世界保健機関(WHO)や米国環境保護庁(EPA)では、以前からコプラナーPCBをダイオキシン類に含めて位置付けていましたが、日本でも「ダイオキシン類対策特別措置法」において、PCDDおよびPCDFにコプラナーPCBを含めて、ダイオキシン類として定義されています。
PCBの特性
水にほとんど溶けず、高い沸点を持つ主に油状の物質で、非常に不燃性で電気絶縁性が高く、化学的に安定しています。PCBは、電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などに利用されてきましたが、1972年以降、その製造は禁止されています。
PCBに関連する実際に起きた事件を紹介
カネミ油症事件
1968年に発生したカネミ油症事件は、西日本各地で発生した食中毒事件です。原因は米ぬか油(ライスオイル)中に、脱臭工程で使用されたPCBなどが混入したことに起因しています。この事件は、世界的に見てもPCBが口から摂取される稀な事例とされています。多くの人が、体の吹出物、爪の変形や色素沈着、関節の腫れ、手足のしびれなどの症状を訴えました。
ライスオイル自体は健康食として広く知られています。しかし、その臭いを取るために、加熱の過程で間接的にPCBが使用されました。この過程で、PCBがライスオイルに混入し、らせん状の管のピンホールや溶接の不備などが原因とされるカネミ油症が発生しました。当時の患者数は約1万3千人に上りました。
最近の研究によれば、熱媒体として使用されていたPCBの一部が熱やその他の要因により酸化し、より強力な毒性を持つポリ塩化ジベンゾフラン(ダイオキシン類)に変化した可能性があり、これが被害の拡大に寄与したと考えられています。
PCBに汚染された電気機器
2002年頃、高濃度のPCBを使用していない電気機器に使われている電気絶縁油などの油の中に、微量のPCBに非意図的に汚染されているものが多く存在していることが明らかになりました。
微量のPCBが混入した電気機器の油の中では、PCB濃度が50mg/kg(0.005%)以下であることが多いことが調査結果から分かっており、検出されたケースの約97%がこれに該当します。
電気絶縁油などの油を使用した電気機器の例としては、変圧器、コンデンサ、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器、ブッシングなどが挙げられます。
再生絶縁油の製造が1990年頃に中止されるまで、鉱油などを再生利用する過程で微量のPCBが非意図的に絶縁油に混入し、微量のPCBが汚染された電気絶縁油が数十年にわたり市場に出回り、機器の製造や機器保守用の油として使用されていました。そのため、電気絶縁油などの油に微量のPCBが混入している可能性は完全に否定できません。
PCBに関連する法令
PCB 特措法
PCBはその有用性ゆえに幅広く使用されましたが、その毒性が判明し、1972年にはその製造が中止されました。その後、約30年にわたり、民間主導で処理施設の設置が試みられましたが、地元住民の理解を得ることができず、結局立地には至りませんでした。
PCBの保管が長期化する中で、紛失や漏洩による環境汚染の進行が懸念され、これらを確実かつ適正に処理するために、2001年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)が公布され、同年7月15日から施行されました。
この法律の施行により、国が主導して中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)を活用し、2004年から北九州事業を含む全国5箇所に処理施設が整備されました。さらに、2016年には高濃度PCB廃棄物の処理進捗状況を考慮し、PCB特別措置法を改正して、処理を迅速に進めるための法整備が行われました。
廃棄物処理法
「廃棄物処理法」(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、廃棄物の排出抑制および適正な処理により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的としています。廃棄物は、その種類と性質に基づいて、一般廃棄物、特別管理一般廃棄物、産業廃棄物、特別管理産業廃棄物の4種類に分類されています。
PCB関連の規定においては、PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物に該当し、その保管、運搬、処分、委託などについて基準が定められています。
また、PCB廃棄物の中でも微量PCBの廃棄物は、微量PCB汚染廃電気機器などに関する規定があり、同様にその保管、運搬、処分、委託などに関する基準が定められています。
化学物質審査規制法
「化学物質審査規制法」(通称:化審法)は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」の略で、PCBによる環境汚染問題を契機にして1973年に制定され、翌年の1974年から施行されました。
1974年には、PCBが「特定化学物質」として指定され、その製造、輸入、使用などが原則として禁止されました。
電気事業法
「電気事業法」は、電気事業の公正で効率的な運営を規定し、これによって電気使用者の権益を保護し、電気事業の健全な発展を促進すると同時に、電気工作物の安全確保により公共の安全と環境の保全を目指しています。
PCBに関する法令としては、電気事業法および電気関係報告規則に基づく、PCBを含む電気工作物の届出制度が設けられています。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、ビフェニル基の塩素置換によって構成され、異なる塩素の数や位置により209種類の異性体が存在します。特にコプラナーPCBはダイオキシンやポリ塩化ジベンゾフランに似た構造を持ち、他のPCBよりも強い毒性を示すことがあります。これらはダイオキシン類として扱われ、日本ではダイオキシン類対策特別措置法で規定されています。
PCBは水に溶けにくく、高い沸点を持つ非燃性で電気絶縁性が高い物質であり、電気機器の絶縁油として使われていましたが、1972年に製造が禁止されました。その後、PCBを含む電気機器の油が微量PCBに汚染され、2002年頃にその実態が判明しました。この微量PCB汚染は電気機器の中でも微量であり、検出されたケースの約97%は濃度が50mg/kg以下でした。
PCB廃棄物は環境への悪影響が懸念され、特別措置法が2001年に制定され、処理施設の整備が行われました。また、廃棄物処理法や化学物質審査規制法もPCBに関する法規制を含んでいます。電気事業法では、PCBを含む電気工作物の届出制度が定められています。
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