ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書の届け出方法とは? | PCB処理 完全攻略ガイド
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ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書の届け出方法とは?
公開:2023.12.21 更新:2023.12.28ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書は、PCB含有電気工作物の適切な廃止を実現するための重要な手続きです。PCB含有電気工作物を設置している事業用電気工作物設置者は、高濃度PCB含有電気工作物に関して届出する義務があります。該当する電気工作物について、正確な届出を行うことが法令遵守の一環となります。
目次
PCB含有電気工作物の法的背景とは?
ポリ塩化ビフェニル(PCB)含有電気工作物に関する法的規制は、環境保護や人体への健康への配慮から生まれたもので、その法的背景は環境保全と公衆衛生に対する懸念から形成されました。以下では、この法的背景と規制について詳しく解説します。
◇PCB特措法と電気事業法
平成28年8月1日、PCB特措法が改正され、高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品・産業廃棄物についての所定期間内の廃棄・処分等が定められました。一方、高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品のうち、高濃度PCB含有電気工作物は、廃棄の義務がPCB特措法により適用除外となり、取扱いは電気事業法により以下のように定められています。
・所定の期限後の使用禁止
・判明時の届出、管理状況(廃止予定年月)の届出等
・電気主任技術者による有無の確認
高濃度PCB含有電気工作物のみ、電気事業法で定義がされていることに注意しましょう。
◇高低濃度PCB含有電気工作物の定義と分類
高低濃度PCB含有電気工作物は、絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)の重量割合に基づいて定義されます。具体的には、絶縁油中のPCBの重量割合が0.5%を超える電気工作物が高濃度PCB含有電気工作物とされ、それ以外の電気工作物が低濃度PCB含有電気工作物とされます。
高低濃度PCB含有電気工作物の分類
高濃度PCB含有電気工作物は、以下の12種類の電気工作物に該当します。
・変圧器
・電力用コンデンサー
・計器用変圧器
・リアクトル
・放電コイル
・電圧調整器
・整流器
・開閉器
・遮断機
・中性点抵抗器
・避雷針及びOFケーブル
一方、低濃度PCB含有電気工作物は、上記の12種類のうちいずれかに該当し、絶縁油中のPCBの重量割合が0.5%を超えない電気工作物です。低濃度PCB含有電気工作物は、高濃度PCB含有電気工作物を除くすべての電気工作物に該当します。
このように、PCB含有電気工作物はその絶縁油中のPCBの重量割合に基づいて高低濃度に分類され、それぞれ異なる規制や処理が適用されることになります。
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書の届け出方法
画像出典:フォトAC
PCB含有電気工作物を適切に廃止するためには、ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書の正確な提出が必要です。この届出書は、法的な要件を満たし、環境保全に寄与する重要なステップとなっています。以下では、ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書の届け出方法について詳しく説明します。
◇届出の必要性と対象
PCB含有電気工作物を設置している事業用電気工作物設置者は、高濃度PCB含有電気工作物に関して届出の義務があります。この届出は、環境への影響を抑え、適切な管理を確保するために必要です。適切な届出を行うことで、法令に適合し、PCB含有電気工作物の廃止を進めることができます。
対象となる高濃度PCB含有電気工作物は、PCB特措法に基づき定義されます。これは、絶縁油に含まれるPCBの濃度が0.5%を超える電気工作物です。この対象に該当する電気工作物については、届出が必要です。
◇届出書の種類と内容
PCB含有電気工作物に関する届出について、主なものをご紹介します。
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物設置等届出書
PCB含有電気工作物であることが判明した場合、この届出書を使用します。届出内容には、設置者の情報、PCB含有電気工作物の詳細情報、絶縁油の漏洩事故の有無、廃止予定年月などが含まれます。
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物変更届出書
PCB含有電気工作物に関する情報に変更が生じた場合、この届出書を使用します。たとえば、廃止予定年月の変更などが対象になり、届出内容には、変更事項と変更理由が含まれます。
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物廃止届出書
PCB含有電気工作物を廃止した場合、この届出書を使用します。届出内容には、廃止した工作物の詳細情報と廃止の日付が含まれます。
ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の絶縁油漏洩に係る事故届出書
絶縁油の漏洩事故が発生した場合、この届出書を使用します。届出内容には、漏洩事故の詳細情報が含まれます。
高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物管理状況届出書
毎年度末に廃止されていない高濃度PCB含有電気工作物がある場合、その管理状況を届け出るための書類です。届出内容には、各高濃度PCB含有電気工作物の管理状況や廃止予定年月が含まれます。
◇届出書の提出方法と期限
届出書はPCB含有電気工作物の設置場所によって、届出書に記載する宛名及び届出書類の提出先(相談窓口)が異なります。以下に詳しく記載します。
・北海道電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・北海道産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・北海道産業保安監督部電力安全課
〒060-0808
北海道札幌市北区北八条西二丁目 札幌第1合同庁舎
・東北電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・関東東北産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・関東東北産業保安監督部 東北支部 電力安全課
〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町三丁目2番23号 仙台第2合同庁舎
・東京電力パワーグリッドの一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・関東東北産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・関東東北産業保安監督部 電力安全課
〒330-9715
埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1 さいたま新都心合同庁舎 1号館11階
・中部電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・中部近畿産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・中部近畿産業保安監督部 電力安全課
〒460-8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目5番2号 中部経済産業局総合庁舎 3階
・北陸電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・中部近畿産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・中部近畿産業保安監督部 北陸産業保安監督署
〒460-8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目5番2号 中部経済産業局総合庁舎 3階
・関西電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・中部近畿産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・中部近畿産業保安監督部 近畿支部 電力安全課
〒540-8535
大阪府大阪市中央区大手前一丁目5番44号 大阪合同庁舎1号館2階
・中国電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・中国四国産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・中国四国産業保安監督部 電力安全課
〒730-0012
広島県広島市中区上八丁堀6番30号 広島合同庁舎2号館4階
・四国電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・中国四国産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
〒760-8512
香川県高松市サンポート3番33号 高松サンポート合同庁舎5階
九州電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・九州産業保安監督部長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・九州産業保安監督部 電力安全課
〒812-0013
福岡県福岡市博多区博多駅東二丁目11番1号 福岡合同庁舎本館8階
・沖縄電力の一般送配電事業供給エリア
届出書の宛名・・・那覇産業保安監督事務所長
届け出書類の提出先(相談窓口)・・・那覇産業保安監督事務所 保安監督課
〒900-0006
沖縄県那覇市おもろまち二丁目1番1号 那覇第2地方合同庁舎1号館4階
期限については、廃止した後、遅滞なく提出するように定められています。電力供給エリアによって提出場所が異なるため、注意しましょう。
電気主任技術者による役割と責任
主任技術者内規改正により、電気主任技術者には高濃度PCB含有電気工作物の確認と管理が新たに課せられました。電気主任技術者の主な役割と責任について解説します。
◇電気主任技術者の義務と役割
電力設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保守の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないと法令で定められています。以下の記載するように、取り扱う電圧によって第一種から第三種までの3種類あります。
・第一種・・・すべての事業用電気工作物
・第二種・・・電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
・第三種・・・電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
平成28年10月の主任技術者内規では、未判明・未届出となっている高濃度PCB含有電気工作物の掘り起こしを促進するため、高濃度PCB含有電気工作物の有無の確認については、電気主任技術者が行うこととしました。
◇届出に関する電気主任技術者の責任
PCB内規には、報告規則による管理状況の届出に係る高濃度PCB含有電気工作物を設置しているかを把握するため、事業用電気工作物設置者においては、電気主任技術者による高濃度PCB含有電気工作物の有無を確認させることが必要と規定しています。届出には、電気主任技術者の確認が必要となるため、責任が大きくなっているといえるでしょう。確認にあたっては、以下の注意事項があります。
・設置者は、高濃度PCB含有電気工作物の有無の確認について、必ず電気主任技術者、電気管理技術者又は電気保安法人に依頼して行う
・確認方法は、毎年度、年次点検等により目視で確認すること(現場確認)を原則とする
現場確認が基本となりますが、これまでに行った確認の記録等を確認すること(記録等確認)でも差し支えないとされています。
PCB特措法と電気事業法におけるポリ塩化ビフェニル(PCB)含有電気工作物の法的背景は、環境保護と公衆衛生への懸念から生まれました。PCB特措法は高濃度PCB使用製品の廃棄や処分を規制し、電気事業法では高濃度PCB含有電気工作物に関する規制を定めています。高濃度PCB含有電気工作物は、絶縁油中のPCB濃度が0.5%を超えるものを指し、具体的な法的規制が適用されます。
PCB含有電気工作物の廃止に関する届出は重要で、事業用電気工作物設置者は高濃度PCB含有電気工作物について届出が必要です。届出書の種類には設置、変更、廃止、絶縁油漏洩事故などがあり、提出方法は地域によって異なります。また、廃止後の提出期限も設けられています。
電気主任技術者の役割と責任は大きく、高濃度PCB含有電気工作物の有無の確認を行う義務が課せられています。具体的には、現場での目視確認や記録の確認を通じて、高濃度PCB含有電気工作物を管理し、届出の正確性を確保する役割を果たします。これにより、法的規制の遵守と環境保全に貢献します。
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