PCB産業廃棄物の生物濃縮による影響とは?ポリ塩化ビフェニルの特性 | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB産業廃棄物の生物濃縮による影響とは?ポリ塩化ビフェニルの特性
公開:2023.12.25 更新:2023.12.28PCB産業廃棄物は生物濃縮性が高く、食物連鎖を通じて下位の生物から上位の生物に移動・蓄積されます。このため、生態系内でPCBが拡散し、健康リスクが生じる可能性があります。さらに、母体を通じて胎児や赤ちゃんにも影響を及ぼすことが指摘されており、PCB産業廃棄物の適切な管理と食品の選択が重要です。
目次
問題を引き起こすPCB産業廃棄物の3つの特性
PCB 産業廃棄物とは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃棄物のことを指します。PCB 産業廃棄物は、地球環境や人間を含む生物の健康に影響を及ぼす、さまざまな特性を持っています。
こちらでは、さまざまな問題を引き起こすPCB産業廃棄物の3つの特性について、詳しくご紹介いたします。
◇生物蓄積性と濃縮性と難分解性
生物蓄積性とは、特定の物質が生物の体内で蓄積され、その量が増加し続ける現象を指します。この現象は、生物が外部環境から取り込んだ物質を代謝によって排出できないために起こります。
上位の生物が下位の生物を摂取することで、下位の生物が蓄積した物質が上位の生物に移動し、その結果、上位の生物の体内にも蓄積されてしまいます。特に水中生物の場合、その濃縮係数は非常に高いことが知られています。この現象は、特に水生生物の場合、水中の濃度から数百万倍もの高濃度にまで物質が濃縮されることがあることを示しています。
難分解性は、特定の物質が環境中で分解されにくい性質を指します。つまり、一度環境中に放出されると、その物質が長期間残存し、生物や環境に影響を与え続ける傾向があります。PCBなどの有機塩素系化合物は難分解性が高く、環境中で分解されずに蓄積しやすい物質です。
◇揮散性と移動性
PCB産業廃棄物は半揮発性を持つため、大気中を経由して、他の国や地域に移動する移動性を持ち合わせています。これにより、PCB産業廃棄物による環境汚染が地域間で拡散し、遠く離れた地域においても、PCB産業廃棄物によるリスクなどが発生してしまうのです。そのため、PCB産業廃棄物による環境および健康に対するリスクを最小限に抑えるためにも、PCB産業廃棄物の早急かつ適切な方法による処理は非常に大切であると言えるでしょう。
生物に蓄積されることで人体に影響がある
画像出典:フォトAC
こちらでは、大気中や水および食物連鎖を通じて、PCB 産業廃棄物による人体の影響について、詳しくご紹介いたします。
◇食物連鎖によって人間にも影響がある
特に食物連鎖の中で、PCBが環境中に放出されると、下位の生物から上位の生物へとPCBが移動し、濃縮されていきます。これは、上位の捕食者が下位の生物を多く摂取することで、下位の生物が蓄積したPCBをさらに取り入れ、体内に蓄積させていくからです。
PCBは環境中で分解されにくく、水には溶けにくく、脂肪には溶けやすいため、生物濃縮が起こりやすいのです。また、PCB産業廃棄物が大気や水を介して広がり、食物連鎖に組み込まれることから、人間もPCBの影響を受ける可能性があります。
なお、PCB 産業廃棄物によるリスクは、母親を通じて、胎児および赤ちゃんにまで影響を及ぼしてしまう可能性があると言われているため、それによるリスクを最小限に抑えたい場合はPCB 産業廃棄物などに汚染されている可能性の低いものや適切に調理されたものを積極的に摂取するとよいでしょう。
◇イヌイットの人たちからも発見されている
氷と雪に覆われた地域で暮らし、アザラシなどの生肉を主食とするイヌイットの方たちはPCB 産業廃棄物の製造および使用を行っていません。しかし、それにも関わらず、イヌイットの方たちの体内からPCB 産業廃棄物が検出されています。このことから、食物連鎖などにより、PCB 産業廃棄物による影響が人間にまで及ぶ可能性があると言えるでしょう。
PCB 産業廃棄物を溜め込まないためには?
PCB 産業廃棄物によるリスクを抑えるためにも、汚染されている可能性の低いものを摂取したり、適切に調理されたものを摂取することが大切です。
こちらでは、PCB 産業廃棄物を体内に溜め込まないために行いたいことなどについて、詳しくご紹介いたします。
◇汚染の低い魚や緑色野菜を食べる
日本人に馴染み深い食材のひとつである魚介類ですが、肉類や野菜類などの他の食品と比較すると、PCB 産業廃棄物などの化学物質が非常に多く含まれています。しかし、汚染されている可能性の低い魚や緑色野菜を食べることにより、PCB 産業廃棄物などによる健康に対するリスクの軽減が期待できるでしょう。
なお、食物連鎖の頂点にいる生物、つまり、海に生息する生物の場合はマグロなどの大型肉食魚は他の魚と比較すると、PCB 産業廃棄物の蓄積量が高い傾向にあるとされています。そのため、それを体内に溜め込まないためには、汚染されている可能性の低い小魚や緑色野菜を積極的に摂取するよう、心がけるとよいでしょう。
◇加熱調理して食べる
多くのPCB 産業廃棄物が含まれている可能性が高いとされている魚ですが、加熱調理をして摂取することにより、含まれているそれの量を減らせることが報告されています。そのため、PCB 産業廃棄物を体内に溜め込まないためには、危険性の高い魚介類を摂取する際は生身の状態で摂取するのではなく、加熱調理を行うとよいでしょう。
PCB産業廃棄物は、地球環境や生物の健康に深刻な影響を及ぼす特性を持っています。その特性のうち、生物蓄積性、濃縮性、難分解性は主要なものです。生物蓄積性は、特定の物質が生物体内で蓄積し、上位の生物に移動して濃縮される現象で、水生生物では特に高い濃縮係数が見られます。難分解性は、PCBなどの有機塩素系化合物が環境中で分解されにくく、長期間残存し、生物に影響を与える傾向がある性質です。
また、PCB産業廃棄物は揮散性と移動性も持ち、大気中を経由して他の地域に広がり、環境汚染を拡散させる可能性があります。さらに、PCBは食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼすため、健康へのリスクも存在します。
PCB産業廃棄物を溜め込まないためには、汚染の低い魚や緑色野菜を摂取し、特に大型肉食魚の生食を避けることが重要です。また、加熱調理を行うことでPCBの含有量を減少させることができます。これらの対策を講じることで、PCB産業廃棄物による健康リスクを最小限に抑えることができます。
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