PCB産業廃棄物の処分期限に注意!濃度の判別方法は? | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB産業廃棄物の処分期限に注意!濃度の判別方法は?
公開:2024.01.26 更新:2024.01.26PCB産業廃棄物の処分を検討している方は、処分期限が定められていることを知っておくことが重要です。PCB産業廃棄物には低濃度と高濃度の2種類が存在し、それぞれ処分期限や方法が異なります。
低濃度PCB産業廃棄物は、濃度が0.00005%~0.5%のもののことです。2027年3月31日までに処分する必要があります。高濃度PCB産業廃棄物は、濃度が0.5%以上のもののことです。処分期限はすでに終了してしまいましたが、PCB廃棄物処理基本計画の改定により、一定の期間処分体制が継続されることになりました。
目次
PCB産業廃棄物の濃度とは?何が違う?
電子機器や冷却装置などの絶縁体として以前は広く使用されていたPCB(ポリ塩化ビフェニル)は、環境に対する毒性が高いことがわかり、1972年には製造が中止されました。PCB産業廃棄物は、PCBの濃度によって「低濃度PCB産業廃棄物」と「高濃度PCB産業廃棄物」に分類されています。
低濃度PCB産業廃棄物
低濃度のPCB産業廃棄物とは、PCBが意図的に使用されたわけではないにもかかわらず、製造過程でPCBに汚染された絶縁油が使用された結果、PCBが含まれる廃棄物のことです。
低濃度PCB産業廃棄物は濃度が0.00005%(=0.5mg/kg)を超え、0.5%以下のものが基準となっていますが、感圧複写紙などの可燃性のPCB汚染物に関しては、10% (=100,000mg/kg)以下であれば低濃度PCB廃棄物に分類されます。
低濃度PCB産業廃棄物に含まれるのは、紙くずや木くず、繊維くず、汚泥、廃プラスチック類などです。
ちなみに、低濃度PCB廃棄物には電気機器やケーブルなどに微量のPCBによって汚染された絶縁油が塗布され、染み込んだり付着したりしている「微量PCB廃棄物」も含まれます。
高濃度PCB産業廃棄物
低濃度PCB産業廃棄物と違って、意図的にPCBが使用されており、PCB濃度が0.5%(=5,000mg/kg=ppm)を超える機器は高濃度PCB産業廃棄物に指定されます。高濃度PCB廃棄物として挙げられるのは、金属くずやコンクリートくず、陶磁器くず、廃油、廃酸、廃アルカリなどです。
PCB産業廃棄物の処分期限について
PCB産業廃棄物は、低濃度と高濃度では処分手順や期限に違いがあります。
低濃度PCB産業廃棄物の処分期限・手順
低濃度PCB廃棄物は、PCB特措法によって2027年3月31日までに適切な処分を行わなければならないことが定められています。たとえ低濃度であっても、PCB廃棄物が長期間保管されていると、破損や漏洩などのトラブルにつながりかねません。
低濃度PCB廃棄物は、都道府県の許可施設や環境大臣の無害化処理認定施設で処理できます。
収集運搬業者や処分業者に処理を委託する際には、書面での委託契約が必要です。さらに、特別管理産業廃棄物の情報を書面で業者に通知し、廃棄物を引き渡す際にマニフェストを交付しなければなりません。
許可を受けていない業者に処分を委託したり、マニフェストに虚偽の記載をしたりすると、罰則が課せられます。
高濃度PCB産業廃棄物の処分期限・手順
高濃度PCB廃棄物の処分期限は既に終了しています。しかし、令和4年5月31日に「PCB廃棄物処理基本計画」が改定されたため、一定の期間のみ処理体制が継続されることになりました。
高濃度PCB廃棄物を処分するためには、都道府県知事に届け出ると共に、高濃度PCB廃棄物の処理施設を管理・運営しているJESCOへの登録が必要です。
資本金や従業員数などに関して、一定の条件に合致した中小企業であれば、処理料金を70%軽減できます。また、個人であれば費用の95%を軽減することが可能です。軽減制度を適用するには、事前にJESCOへの申し込みを行う必要があります。
申請手続きが終了した時点で高濃度PCB産業廃棄物をJESCOに運搬しますが、JESCOは収集運搬業務を行っていませんので、許可を得ている業者と委託契約を結ばなければなりません。高濃度PCB産業廃棄物の処分を申請してから実際に処分するまでには、種々の事務手続きが必要なため、最低でも6ヶ月程度の期間がかかります。ですから、手続きには早めに着手しましょう。
処分する際の注意点!期限を過ぎたら?
PCB産業廃棄物は環境に悪影響を及ぼす物質ですので、環境保護の面からも健康保護の面からも、できるだけ早く、適切に処理することが大切です。期限内に処理できなかった場合には罰則が用意されていますので、十分に気をつけなければなりません。
処理の注意点
PCB産業廃棄物を処分するまでは、飛散や流出、地下浸透、悪臭発生などを防止するために適正な方法で保管をしなければなりません。保管場所の周囲に囲いを設置し、特別管理産業廃棄物の保管場所である旨を表示した掲示板設けることも義務付けられています。
また、管理責任者を置くことも重要で、責任者をおかない場合には、30万円以下の罰金が課せられるため、注意が必要です。処理を業者に依頼する場合にも、無許可業者で処理を行うと、5年以下の懲役か1千万円以下の罰金、若しくはその両方が課せられることになります。
基準不適合な業者に委託した場合にも、3年以下の懲役か3百万円以下の罰金、若しくはその両方が課せられる場合もあるでしょう。高濃度PCB産業廃棄物を適切に処分せずに、不法投棄した場合なども、1億円以下の罰金など重い罰則が課せられます。
違反・期限内に処理できなかった場合
PCB特措法では、処理期限内に適正処理を行わなかった、あるいは環境大臣・都道府県知事の改善命令に従わなかった場合には、3年以下の懲役か1千万円以下の罰金、若しくはその両方を課すことが定められています。
尚、処分期限が過ぎた後に高濃度PCB廃棄物が見つかった場合には、JESCOでは処分はできませんので、危険物として厳重な保管管理が必要です。PCB廃棄物の保管および処分状況を届出なかったり、虚偽の申告を行ったりすると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が罰則として課せられます。
さらに、法人においてPCB保管事業者を相続などによって承継したにもかかわらず、届出をしない場合にも30万円以下の罰金が課されるため、注意が必要です。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は幅広い用途で使用されてきましたが、高い毒性を持つことが分かったため、濃度ごとに適切な方法での処分が義務付けられました。
低濃度PCB産業廃棄物は、製造過程で汚染された絶縁油が使用されたことによって意図せず発生し、濃度が0.00005%~0.5%以下のもののことです。高濃度PCB産業廃棄物は、意図的にPCBが使用され、濃度が0.5%以上のものを指します。
また、低濃度PCB産業廃棄物の処理期限は2027年3月31日までです。都道府県の許可施設での処理が可能とされています。高濃度PCB産業廃棄物の処理期限は既に終了していますが、「PCB廃棄物処理基本計画」の改定により処理体制が継続中です。
処分には都道府県知事への届け出とJESCOへの登録が欠かせません。期限内に処理できない場合は罰則があり、違反や不法投棄には重い罰金が科せられます。
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