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濃度で異なるPCB産業廃棄物の管理とは?適正保管について | PCB処理 完全攻略ガイド

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濃度で異なるPCB産業廃棄物の管理とは?適正保管について

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公開:2024.02.22 更新:2024.02.22

PCB産業廃棄物は、その濃度によって異なる管理手続きが求められます。高濃度の場合、5,000㎎/㎏を超えるものは特別な措置が必要であり、適切な保管が不可欠です。保管にはPCB漏洩を防ぐ基準があり、特別管理産業廃棄物管理責任者の役割も重要です。

濃度で異なるPCB産業廃棄物の管理方法

PCB産業廃棄物はPCB濃度によって、5,000㎎/㎏を超える高濃度PCB廃棄物と、0.5 ㎎/㎏を超え、5,000 ㎎/㎏以下である低濃度PCB廃棄物に分かれます。どちらも保管や処理についてはPCB特別措置法によるPCB廃棄物の保管および処分の状況に関する届け出が義務付けられており、処理については高濃度と低濃度で異なる処理施設にて行われています。


そのためPCB産業廃棄物を取り扱う際には、PCB濃度を予め把握して適切な処理を行うことが重要です。

◇高濃度PCB廃棄物の特徴と管理

PCB濃度が5,000㎎/㎏を超える機器は高濃度PCB廃棄物として扱われます。昭和48年以降に製造された機器には高濃度PCBが含まれることはありませんが、高濃度PCB廃棄物は現在でも全国に残存しているのが現状です。


高濃度PCB廃棄物を処理するにはまずPCB特別措置法の届け出及びJESCOへの登録が必要となります。その後処分までPCBが漏洩しないよう適正保管を行い、PCB廃棄物の収集運搬業許可を受けている業者によって収集、運搬されます。


そしてこれらの高濃度PCB廃棄物はJESCOが全国5ヵ所に設置した廃棄物処理施設での処理が必要となりますが、稼働を停止している施設もあるため、確認が必要です。また高濃度PCB廃棄物を取り扱うには収集業者、運搬業者、保管事業者、処分事業者それぞれに委託契約の締結とマニフェストの交付及び5年間の保存が義務付けられています。

◇低濃度PCB廃棄物の特徴と管理

PCB濃度が0.5 ㎎/㎏を超え、5,000 ㎎/㎏以下である機器は低濃度PCB廃棄物として扱われます。また紙くずや木くず、繊維くず、汚泥、廃プラスチック類等の可燃性があるものは0.5 ㎎/㎏を超え、100,000 ㎎/㎏以下のものがPCB廃棄物として扱われます。


平成14年にPCBを使用していないとされてきたトランス、コンデンサー、OFケーブルなどの電気機器等にも微量のPCBに汚染されている可能性があることが判明したため、電気機器等の使用を終えた際には低濃度PCB廃棄物に該当するのか注意が必要です。


低濃度PCB廃棄物の処分については高濃度PCB廃棄物と同様にPCB特別措置法の届け出及びJESCOへの登録、適正保管、PCB廃棄物の収集運搬業許可を受けている業者にる収集及び運搬、各業者との委託契約の締結とマニフェストの交付及び5年間の保存が求められます。


そしてこれらの低濃度PCB廃棄物は、環境大臣の無害化処理認定施設と、都道府県の許可施設にて焼却によって処理されます。

PCB廃棄物の適切な保管について

画像出典先:電設資材・金物製作.com

PCB廃棄物は廃棄物処理法に基づいて特別管理産業廃棄物管理責任者の管理の下、適切な保管が求められます。またPCB廃棄物を保管している事業者は毎年度、PCB廃棄物の保管および処分の状況に関する届け出が必要です。

◇PCB廃棄物の適切な保管

PCB廃棄物を保管する場合には、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物保管基準」に従わなければなりません。この基準においては雨水が当たらない場所とし、周囲に囲いを設け、特別管理産業廃棄物を保管している旨の表示するなど保管場所に関する条件が定められています。


またPCBが環境中に飛散・流出・地下浸透しないよう適切な容器に収納することや、長期間の保管による腐食の進行や地震等の転倒による損傷等でPCBが漏洩することがないよう処置を施すよう定められています。

◇特別管理産業廃棄物管理責任者とは

特別管理産業廃棄物が発生する事業者は特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が廃棄物処理法第12条の2第8項によって義務付けられています。さらに都道府県・政令市によっては特別管理産業廃棄物管理責任者の届出等を条例等で定めている場合もあります。

廃棄物処理法で定められた設置義務を怠ると、30万円以下の罰金に処すると規定されているので注意が必要です。特別管理産業廃棄物管理責任者は設置された事業場が廃棄物処理法に基づいて運営がなされているかを管理することが主な業務となります。


特別管理産業廃棄物管理責任者の業務内容は特別管理産業廃棄物についての事業場における排出量や排出状況の把握、適正な処理計画の立案、保管状況の確認や委託業者の選定などであり、特別管理産業廃棄物が適正に処理されるよう徹底した管理が求められます。

◇保管および処分の届け出

高濃度のPCB廃棄物や使用製品を管理する事業者は、特例処分期限日(廃棄予定日の1年後)までにJESCO(日本環境衛生センター)に処分を委託する契約書の写しを都道府県市長に提出する必要があります。同様に、使用中の高濃度PCB製品についても廃棄予定や処分状況を報告する必要があります。

一方、低濃度のPCB廃棄物を保管する事業者は、毎年度、都道府県知事や市長に保管・処分の状況を届け出る必要があります。この届け出は6月末までに提出し、届出漏れや虚偽の届出は法律で罰せられます。

届出書の様式は都道府県ホームページや環境省ホームページから入手可能です。こうした規定は、環境保護や公衆衛生の観点からPCB廃棄物の適切な管理と処分を確保するために設けられています。

PCB産業廃棄物の処分は早急に行おう

高濃度PCB産業廃棄物の処分については、PCBに汚染された電気機器が当初想定していた量を上回ることが判明し、JESCOのPCB産業廃棄物の処理が想定よりも遅れていることが原因で延長されることとなりました。ここでは、延長に至った経緯や、北九州エリアの高濃度PCB廃棄物処理の状況について解説します。

◇処理延長が決まったPCB産業廃棄物

環境省は、高濃度のPCBを含む産業廃棄物の処理完了時期を最大2年延長する方針を発表しました。これは、新たに企業からの保管分が見つかり、処理量が予想を上回ったためです。

処理完了時期は、北海道室蘭市が2026年3月末まで、他の都市は2024年3月末までとなります。これまでの予定では、室蘭市が2024年3月末、東京都江東区と愛知県豊田市が2023年3月末、大阪市と北九州市が2022年3月末でした。環境省は各自治体に延長方針を伝え、理解を求めています。

JESCOの施設ごとの処理完了期限は、地元との合意により最短で平成30年度末まで延長されています。この措置は、処分が委託されなかったり、使用中のPCB製品が存在するなどの課題があったため、平成28年度にPCB特別措置法が改正された経緯があります。

このようにPCB産業廃棄物の処分には期限が定められているため、処分は早急に行う必要があるでしょう。

◇北九州エリアは高濃度PCB処理継続

北九州エリアにおけるは高濃度PCB産業廃棄物処理については元々、令和4年3月末に完了する計画とされていました。しかし想定以上の高濃度PCB産業廃棄物の存在がわかったことから、国は令和3年9月に2年間の処理期間の延長を北九州エリアに要請しました。
これを受け現在、北九州エリアにおけるは高濃度PCB産業廃棄物処理については処理の完了期限を令和6年3月末とし、処理の実施を継続して行なっています。


PCB産業廃棄物の管理は、その濃度に応じて異なる手続きと規制が存在します。高濃度のPCB廃棄物は、機器の製造年によらず、5,000㎎/㎏を超える濃度を持つものであり、JESCOへの登録や適切な保管が必要とされます。特に、高濃度の場合はPCB漏洩の防止という観点から、運搬業者や処分業者との厳格な契約が要求され、専用の処理施設での処理が行われます。

一方、低濃度のPCB廃棄物は、0.5㎎/㎏を超えるが5,000㎎/㎏以下の濃度を持つものや、可燃性廃棄物であるものが該当します。こちらも高濃度と同様に登録や保管が必要であり、環境大臣の認定施設や都道府県の許可施設での焼却処理が行われます。

PCB廃棄物の保管には、雨水や環境中への漏洩を防ぐための基準があり、特別管理産業廃棄物管理責任者の存在が求められます。また、処分に関しては、処分期限の延長や処理の遅れが発生することもあるため、事前の計画と早急な処分が重要視されます。このように、PCB廃棄物の管理は厳格な規制と適切な処理が必要な課題です。

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