廃棄物はリサイクルできる?産業廃棄物リサイクルの重要性と状況 | PCB処理 完全攻略ガイド
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廃棄物はリサイクルできる?産業廃棄物リサイクルの重要性と状況
公開:2024.02.22 更新:2024.03.05廃棄物は、適切な処理とリサイクルによって再利用可能な資源として生まれ変わります。産業廃棄物のリサイクルは、環境保護や資源の有効活用において極めて重要です。大量生産に伴う廃棄物の増加が環境への負荷を高める中、リサイクルは資源の再利用と環境への負荷軽減を両立させます。現在、産業廃棄物のリサイクルは法的規制や技術の進歩により着実に進展しており、持続可能な廃棄物管理の実現に向けて積極的な取り組みが行われています。
目次
産業廃棄物のリサイクルが求められる理由と現在の状況
産業廃棄物のリサイクルが注目されているのは、環境への影響や資源の有限性に関する懸念からきています。現代社会では、大量生産と大量廃棄が進み、これによって埋立地の枯渇や環境汚染が深刻な問題となっています。この状況を打破するためには、産業廃棄物をリサイクルし、再利用可能な素材を適切に分別することが不可欠です。
◇産業廃棄物のリサイクルが求められる理由
産業廃棄物のリサイクルにはいくつかの重要な理由があります。まず、リサイクルによって廃棄物の量を減らすことで、埋立地の使用を抑制し、環境への負荷を軽減します。また、再利用可能な素材を有効に利用することで、新たな資源の採掘や生産を制限し、資源の有効活用を実現します。
資源の有限性も懸念されており、化石燃料などの自然資源の枯渇を避けるためにも、リサイクルは不可欠です。これによって、将来的な資源不足に対処し、持続可能な社会を築く一助となります。
さらに、不適切な廃棄物処理が地域の健康に与える悪影響も考慮されています。リサイクルは、環境汚染や有害物質の広がりを防ぎ、地域社会の健康へのリスクを最小限に抑える役割を果たします。
法規制の強化も背景にあり、企業や組織は環境保護に関する法的要件を遵守する必要があります。リサイクルはこれらの法的規定を守り、企業の信頼性を向上させる要素となります。
これらの理由から、企業や一般消費者は積極的な産業廃棄物のリサイクルに対する取り組みを求められており、企業が環境に対する社会的責任を果たし、良好な企業イメージを構築することが期待されています。
◇産業廃棄物のリサイクル状況
環境省が発表している「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度実績)」によれば、平成29年度の産業廃棄物総排出量は約3億8,354万トンで、その主要構成要素は汚泥(約1億7,069万トン)、動物のふん尿(約7,789万トン)、がれき類(約5,977万トン)などです。総排出量の8割以上は、これら上位3品目が占めています。
処理状況において、リサイクルが最も主要な処理方法であり、その処理量は約2億22万トンで全体の52.2%を占めています。次に減量化が約1億7,363万トンで45.3%、最終処分が約970万トンで2.5%です。全体的には、リサイクル割合が過半数を超え、再利用が中心となっていることが明らかです。
産業廃棄物全体では、がれき類、動物のふん尿、金属くず、鉱砂などに関しては90%以上がリサイクルされています。しかし、廃油、廃酸、廃アルカリなどは低いリサイクル率を示しており、特に汚泥に関しては全体の7%しかリサイクルが行われていません。
この情報から見て取れるのは、全体的にリサイクル率は高いものの、特定の廃棄物においては改善の余地があり、持続可能な廃棄物管理のためにはさらなる取り組みが求められます。
産業廃棄物のリサイクルを行うために許可は必要?
画像出典先:株式会社ダイヤリサイクル
産業廃棄物のリサイクルは環境保護や資源の有効活用に向けた重要な取り組みですが、その過程で法的規制や安全基準の遵守が不可欠です。このため、産業廃棄物のリサイクルを行うには、適切な許可や認可を取得することが必要です。
◇産業廃棄物のリサイクルを行うための許可
廃棄物処理法の趣旨は、廃棄物の排出を抑制し、適正な処理を通じて生活環境を保全し、公衆衛生を向上させることです。
環境省の通知によれば、再生利用やエネルギー源としての利用を目的として有償で譲り受ける者が占有者となった時点からは、少なくともその時点以降においては廃棄物に該当しないとされています。ただし、この判断には特定の条件が適用され、引渡し側に経済的損失が生じている場合でも、一定の条件を満たせば廃棄物に該当しないとされます。
リサイクル企業の収益構造は、通常、廃棄物の処理料金とリサイクル製品の販売による利益から成り立っています。重要なのは、収益が処理料金よりもリサイクル製品の販売による利益が大きい場合でも、依然として廃棄物処理法に基づく許可が必要であることです。
リサイクル事業者は、産業廃棄物の収集運搬業の許可と、産業廃棄物の処分業の許可が不可欠です。前者は廃棄物の集めての運搬に関するものであり、後者は廃棄物の適正な処理を担当します。
法的要件を順守し、許可を取得することがリサイクル事業者にとって重要です。また、環境省の通知に示された条件を確認し、事業運営において必要な手続きを遂行することが求められます。
◇産業廃棄物のリサイクルの流れ
産業廃棄物のリサイクルは、まず最初にリサイクル業者との契約が行われます。この契約では、廃棄物の処理方法や範囲が明確に取り決められ、収集、運搬、処分などの業務がニーズに合わせて調整されます。一部の業者は、廃棄物がリサイクル可能かどうかの分析を行うこともあります。
契約が成立すると、リサイクル業者は専用のリサイクル車を手配し、GPSを搭載した正確な配車が行われます。これにより、到着時刻や運搬の進捗状況が的確に把握されます。
リサイクル車が現場に到着すると、廃棄物の収集が行われ、その後、処理工場まで運搬されます。中間処理施設では、手選別や機械選別などが実施され、廃棄物は異なる種類に分類され、それぞれの適切な処理が行われます。
中間処理を経て、リサイクル可能な素材は加工され、再利用可能な形に変換されます。一方、原材料化が難しい素材は再生エネルギーとして利用されることがあります。このように、産業廃棄物のリサイクルプロセスは環境への影響を最小限に抑えつつ、有効に資源を再利用することを目指しています。
PCB廃棄物の処理とリサイクル処理例
PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理とリサイクルは、環境保護や公衆安全の観点から重要です。適切な処理方法を選択し、廃棄物を安全に処理することが求められます。また、リサイクル処理を行うことで、有用な資源を再利用し、廃棄物の量を減らすことが可能です。以下では、PCB廃棄物の処理とリサイクル処理の具体的な例について解説します。
◇PCBの主な処理方法
PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理とリサイクルは、環境安全と資源の効果的な利用の観点から極めて重要です。日本においては、PCB特別措置法に基づき、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が全国5箇所の処理施設でPCB廃棄物の処理を行っています。
PCB廃棄物の主な処理方法には、以下のような化学処理が採用されています。一つ目は「脱塩素化分解」であり、この方法ではPCBです次に「水熱酸化分解」は、超臨界水や超臨界状態に近い水を利用し、PCBを塩、水、二酸化炭素に分解します。
「還元熱化学分解」は、還元雰囲気条件の下で熱化学反応を用い、PCBを塩や燃料ガスに分解する手法です。他にも、「光分解」は紫外線を用いてPCBを構成する塩素を取り外し、PCBを分解する手段であり、「プラズマ分解」ではアルゴンガスなどのプラズマによりPCBを二酸化炭素や塩化水素に分解します。
これらの処理を経て、無害化されたPCBおよびその含有・付着対象物は、それぞれの性状に基づいてリサイクルが行われます。リサイクルにおいては、再利用や資源回収が適切な方法で実施されます。
一方で、処理後には無害性が確認されたものであっても、管理型埋立処分が行われることがあります。これは、安全な施設で処理物質を埋め立て、環境への悪影響を最小限に抑えるための手段です。
PCBの処理とリサイクルは環境への負荷を軽減し、有害物質を効果的かつ環境に配慮した方法で取り扱うことが求められています。
◇産業廃棄物のリサイクル処理例
産業廃棄物のリサイクル処理方法は多岐にわたります。廃油に対するアプローチでは、潤滑油再生、再生重油化、補助燃料化などが一般的です。これにより、劣化した油が再び潤滑油として使われたり、鉱油系廃油が重油に変換され、特殊な加工を施すことで補助燃料として再利用されます。
他にも、ばいじん、汚泥、金属くず、木くずのリサイクルも広く行われています。ばいじんは融解処理や中間処理を経て、建設資材や改良土などに再資源化されます。汚泥は脱水や乾燥、混錬などの処理を経て、セメント原料や補助燃料として再利用されます。
金属くずは精錬技術を用いて高純度の金属に戻され、再利用が可能です。木くずも細かく破砕され、燃料や原料として利用されたり、建材や紙として再製品化されたり、セメント製品や敷きわら代替物として再資源化されます。
ただし、PCBが染み込んだ木材については厳格な取り扱いが求められます。通常のリサイクルプロセスでは処理できず、国が指定する特別な処理施設で焼却処理が行われる必要があります。低濃度のPCB廃棄物に対する処理方法としては、水熱酸化分解や溶融分解などがあり、これらは環境大臣の認定を受けた施設で主に実施されます。
産業廃棄物のリサイクルは、環境保護や資源の有効活用に不可欠な取り組みです。法的規制の遵守が求められ、リサイクル企業は許可を取得して活動します。産業廃棄物の処理方法は多岐にわたり、化学処理やリサイクルプロセスを経て再利用可能な素材が生産されます。
具体的には、ばいじんや汚泥、金属くず、木くずなどが再資源化され、建設資材や補助燃料、原料として再利用されます。ただし、PCB廃棄物においては、専門的な処理が必要であり、国が指定した特別な施設での処理が行われます。 これらの取り組みは、環境負荷を軽減し、有害物質を安全かつ効果的に処理することを目指しています。
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