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現在は製造・販売禁止!PCB廃棄物として注意が必要なPCBを含む製品 | PCB処理 完全攻略ガイド

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

現在は製造・販売禁止!PCB廃棄物として注意が必要なPCBを含む製品

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

公開:2024.03.26 更新:2024.03.26

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて広く利用された化学物質でしたが、その有毒性が認識され、現在は製造・販売が禁止されています。特に、高圧変圧器や家電製品など幅広い製品に使用されていたため、廃棄時には十分な注意が必要です。安全な処理が重要であり、環境保護と健康被害の防止に向けた取り組みが求められています。

今は製造が禁止されているPCB使用製品

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、過去に広く利用された化学物質でしたが、その有毒性が認識され、現在は製造・輸入が禁止されています。PCBは水溶性でありながら高沸点であり、電気絶縁性が高く、化学的に安定した性質を持ちます。これらの特性から、電気機器の絶縁油や熱媒体、ノンカーボン紙の溶剤など幅広い分野で利用されました。しかし、PCBは脂肪に溶けて蓄積しやすく、発がん性があり、皮膚障害や内臓障害を引き起こすことが知られています。

特に、昭和43年のカネミ油症事件では、ライスオイルに混入したPCBが原因とされ、多くの被害が発生しました。この事件を契機に、昭和47年には製造中止と回収が指示され、国内でのPCBの製造は行われなくなりました。PCBの有毒性が広く認識され、その危険性から製品の回収や製造・販売の禁止が進むこととなりました。

PCBを含む電気工作物

画像出典先:保安点検ドットコム

PCBは電気工作物にも使用されていました。こちらでは、電気工作物の概要と、PCBを含む電気工作物をご紹介いたします。

◇電気工作物とは

電気工作物とは、変電、送電、発電、蓄電、配電の等、電気供給に必要な設備や施設を指します。その種類は、事業用電気工作物、自家用電気工作物、一般電気工作物の3つに分けられます。

事業用電気工作物は、電力会社が電気を供給するための大規模な設備であり、変電所や発電所などが該当します。自家用電気工作物は、600Vを超える電圧で電力会社から受電し、施設や個人が所有する設備で、病院や公共施設での利用が一般的です。

一般電気工作物は、低圧の電気設備を指し、住宅や小規模店舗などで使用されます。これらの設備は、安全性や適正な利用のために、電気工事法で定められた技術基準に基づいて設置・管理される必要があります。

◇PCBを含む電気工作物

PCBを含む電気工作物は、高圧変圧器、高圧コンデンサー、安定器などがあります。これらの装置は、電力供給や電圧調整に使用されますが、過去にはその絶縁油にPCBが使用されていました。

具体的には、高圧変圧器ではPCBとトリクロロベンゼンの混合液が使用され、その量は50kVAの場合で約115kgにもなります。この混合液は高圧変圧器の内部を満たしており、電気の変換作業中に使用されていました。

また、高圧コンデンサーも同様にPCBで満たされています。これは電気を一時的に蓄える装置であり、PCBが絶縁油として使用されていたため、内部に含まれています。

さらに、安定器もPCBを含む電気工作物の一例です。安定器は蛍光灯器具に内蔵されており、そのコンデンサー内にもPCB油が含浸されることがあります。この油が含浸された巻紙が一部の安定器に使用されており、これがPCBを含む要因の一つです。

これらの装置は、PCB特別措置法の対象となっており、適切な処理が必要です。つまり、廃棄される際には、専門の業者によって適切に取り扱われる必要があります。また、新しい装置の導入や既存の装置のメンテナンスなどでも、PCBを含むかどうかを確認し、安全な取り扱いが求められます。

低濃度及び微量PCB汚染廃電気機器について

低濃度PCB廃棄物は、低濃度PCB廃棄物と微量PCB汚染廃電気機器等に分類されます。低濃度廃棄物と微量PCB汚染廃電気機器の概要は、以下のとおりです。

◇低濃度PCB廃棄物

低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が0.00005%を超え0.5%以下のPCB廃棄物を指します。意図せずにPCBで汚染されているため、1972年(昭和47年)までに製造された機器だけでなく、それ以降に製造された機器も低濃度のPCBで汚染されている可能性があります。

PCB汚染の可能性は、メーカーまたは(一社)日本電機工業会で確認できます。処分期間は2027年(令和9年)3月31日で、処分を委託できるのは環境大臣が認定した施設と都道府県知事が許可する施設のみです。

◇微量PCB汚染廃電気機器等について

PCBを使用していないにもかかわらず、微量のPCBに汚染された絶縁油を含む電気機器のことで、以下の3種類に分類されます。

・微量PCB汚染絶縁油
光ファイバーケーブルや電気機器に使用される絶縁油で、微量のPCBに汚染されたもの
・微量PCB汚染物
微量のPCB汚染絶縁油が塗布、付着、封入された状態で廃棄物になったもの
・微量PCB処理物
微量PCB汚染絶縁油と微量PCB汚染物を廃棄するために処理されたもの

PCB汚染の可能性メーカーや(一社)日本電機工業会で確認できます。微量PCB汚染廃電気機器等と判明した場合は、PCB特別措置法または電気関係報告規則に基づく届け出を行い、廃棄物処理法に基づいて保管しなくてはいけません。

かつて家庭で使用されていたPCBを含む家電製品

家電製品にPCBを使ったコンデンサなどを部品に使用することは、行政指導により1972年(昭和47年)8月末で事実上禁止されました。しかし、それ以前に製造された家電製品の一部に、PCBが使用されていた可能性があります。こちらでは、かつて家庭で使用されていたPCBを含む家電製品の種類、危険性、判断方法などをご紹介いたします。

PCBを含む家電製品の種類

PCBが使用されているのは、1953年(昭和28年)以降に製造された家電製品です。PCBを含む家電製品は、電子レンジ、テレビ、冷暖房機、テレビの3つで、全体の95%を占めています。

PCBを含む家電製品の危険性

使用量は約800トン(日本のPCB総使用量の1.4%)と少なく、製品単位の含有量も微量です。家電製品に使われていたPCBを含むコンデンサは、PCBを含浸させたペーパーをアルミ箔で重ねて巻き、アルミ板や鉄板などで覆い密封し、ビスなどで固定されています。そのため、使用中にPCBがもれたり、発散したりして、環境汚染を引き起こすおそれはありません。

判断方法

家電機器の製造年を確認します。1991年(平成3年)以降に製造された家電製品は、PCB汚染の可能性は低いと考えられます。それ以前に製造された家電製品は、コンデンサなどの部品を取り外して絶縁油を採取し、PCB濃度を測定しますが、メーカーに依頼することも可能です。

廃棄の仕方

メーカーに点検とPCBの除去を依頼します。メーカーから検査済みの証票を受け取った家電製品は、粗大ごみ収集の申告を行って粗大ゴミとして廃棄します。


PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、過去に広く利用された化学物質であり、その有毒性が認識された結果、現在は製造・輸入が禁止されています。電気工作物にも幅広く使用されており、特に高圧変圧器や高圧コンデンサー、安定器などにおいて絶縁油として用いられていました。これらの装置は、PCB特別措置法の対象とされ、適切な処理が求められます。

さらに、PCBは家電製品にも含まれており、製造年が1953年以降の電子レンジ、テレビ、冷暖房機などに広く使用されていました。しかし、1972年8月末以降には、行政指導によりPCBを使用した家電製品の製造が事実上禁止されました。1991年以降に製造された製品はPCB汚染の可能性が低いとされますが、それ以前に製造された製品については注意が必要です。

不要な家電製品の廃棄に際しては、メーカーに点検とPCBの除去を依頼し、検査済みの証票を受け取った後、粗大ゴミとして廃棄する必要があります。このように、PCBを含む製品の安全な処理が重要であり、環境保護と健康被害の防止に向けた取り組みが行われています。

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