PCB産業廃棄物で必要な届出とは?掘り起こしの重要性と届出進捗状況 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
PCB産業廃棄物で必要な届出とは?掘り起こしの重要性と届出進捗状況
公開:2024.03.27 更新:2024.03.27PCB産業廃棄物の適切な処理と管理は、法的義務としての届出が欠かせません。その一方で、掘り起こし作業は未届出の廃棄物を発見し、適切な処理を可能にする重要な手段です。現在の状況では、53自治体が調査を完了し、残りの2自治体も近い将来に完了する見通しです。この取り組みは、PCB廃棄物に関する透明性と安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。
目次
PCB汚染物や廃棄物は届出が義務
全てのPCB廃棄物について、PCB特措法に基づく届出が必要です。この届出は、保管場所が属する都道府県知事または政令市長に行われます。届出は保管や処分に関する情報を提供し、公表されることで透明性が確保されます。届出を怠ると、または虚偽の届出をすると、懲役や罰金の対象となります。
また、PCB廃棄物の保管は、特別措置法に基づいて行われます。保管施設は、PCBの保管状況を定期的に報告し、都道府県知事や政令市長が公表します。また、保管場所の責任者は、PCB廃棄物を定められた期限内で適正に処理する義務があります。
中でも高濃度PCB廃棄物については、その危険性と処理期限の関係から注意が必要です。高濃度PCB廃棄物の処理を完了させるために、PCB廃棄物の掘り起こし調査が重要です。これは、高濃度のPCBを含む廃棄物や製品を特定するための作業です。
掘り起こし調査が完了すると、使用中のPCBを含む製品が全て使用を終了する必要があります。PCB廃棄物の処分には、JESCOへの委託が必要です。JESCOは、PCB廃棄物を適切に処理する専門機関です。処分委託が行われた後は、速やかにPCB廃棄物がJESCOに搬入されます。
届出がされていないPCB廃棄物も存在する
画像出典先:低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイト
PCB廃棄物の保管や処理を行う場合、都道府県知事または政令市長へ届出を行うよう義務づけられています。しかし、実際には、届出がされていないものも存在しています。
こちらでは、PCBにおける掘り起こしの状況と見通し、掘り起こしにより、実際に発見された事例について、詳しくご紹介いたします。
◇掘り起こしの状況と見通し
これまでの掘り起こし調査の状況を考えると、PCB廃棄物の問題に対する取り組みが進んでいるものの、調査完了までには相当な時間がかかる可能性があります。
例えば、平成26年12月時点で行われたアンケート調査では、ほとんどの自治体が調査を今後実施する予定であると回答しています。しかし、実際の掘り起こし調査は、今年度以降に本格化する見込みです。
また、北九州市のように積極的な取り組みを行っている自治体でも、掘り起こし調査には5年以上の時間がかかった例があります。北九州市では、事業場の数万件にわたる調査を行い、高濃度のPCBを含む機器を発見しました。しかし、アンケート調査の回収率が49%であり、また蛍光灯などのPCB含有の疑いがある機器の調査には更に数年を要する見込みです。
このように、掘り起こし調査は広範囲にわたり、時間と労力がかかる作業であることが分かります。そのため、基本計画の達成に向けては、各自治体が迅速かつ効果的に調査を進める必要がありますが、それでも調査完了までには数年から数年半かかる可能性があります。
◇掘り起こしにより発見された事例
実際に掘り起こし調査により、PCB廃棄物が発見された事例は少なくありません。そのため、掘り起こし調査は非常に価値のある調査方法であると言えるでしょう。なお、掘り起こし調査により、PCB廃棄物が実際に発見された事例として、以下の2つが挙げられます。
・昼間でも薄暗い場所に置かれていたステンレス製の箱の中
・電機室内の壁面に立て掛けられた資材に隠れたところ
上記のいずれの場合も訪問調査や聞き取り調査の際、『PCB含有機器はない』との回答を受けていました。しかし、いずれの場合も実際に調査が行われた後に見つけにくい場所から発見されています。
この他にも、掘り起こしにより、PCB廃棄物が発見された事例は多数報告されています。このように、届出がされていないPCB廃棄物が潜んでいる可能性もあるため、掘り起こし調査の際は細心の注意を払うとよいでしょう。
PCB廃棄物処理の届出進捗状況
PCB廃棄物は令和9年(2027年)3月31日までにすべてのものの処理を完了させていなければなりません。もし、定められた期限までに処理を行っていない場合、処理を行えなくなるだけではなく、場合により、3年以下の懲役や300万円以下の罰金を科されるおそれがあります。こちらでは、PCB廃棄物処理の届出進捗状況について、ご紹介いたします。
掘り起こし調査の届出進捗状況
令和4年12月に行われたアンケート調査によると、55自治体のうち、53自治体は既に掘り起こし調査が完了しており、残りの2自治体では、令和5年1~3月までに調査が完了する予定であると報告されています。
PCB産業廃棄物に関する届出
PCB廃棄物の保管や処分を行う場合、都道府県知事に届出を行うよう法律で義務づけられています。届出を行わなかったり、虚偽の届出を行ったりすると、罰則に処されることとなるため、忘れずに届出を行うとよいでしょう。こちらでは、PCB廃棄物に関する届出について、詳しくご紹介いたします。
◇毎年行う届出
毎年行う届出には、「PCB廃棄物の保管及び処分状況等届出書」と「使用中のPCB製品の使用状況報告書」の2つがあります。これらの届出は、前年度の3月31日時点での状況を記載し、次年度の4~6月に提出します。
まず、「PCB廃棄物の保管及び処分状況等届出書」では、前年度に保管していたPCB廃棄物や新たに保管するPCB廃棄物、そして処分したPCB廃棄物などを記載します。保管場所が属する都道府県に提出されるこの届出書は、PCB廃棄物の保管や処分状況を報告するためのものです。
次に、「使用中のPCB製品の使用状況報告書」では、前年度の3月31日時点で使用しているPCB製品の機器名や型式、濃度区分、保管予定などを記載します。これも同様に、次年度の4~6月に提出される報告書であり、使用中のPCB製品に関する情報を提供するものです。
◇変更がある場合に行う届出
以下は変更が生じた際に必要な届出です。
PCB廃棄物の保管届出書(様式第2号)
建物の改築にあたり、PCB廃棄物を保管することとなった場合やPCB廃棄物が発見された場合などに行う届出です。後者に該当する場合、これに加え、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置・変更届出の届出もまた求められます。
使用中のPCB製品の使用届出書(様式第1号)
ご使用中の製品にPCB廃棄物が含まれていると判明された場合に行う届出です。
PCB廃棄物保管場所変更運搬計画書
建て替えなどに伴い、PCB廃棄物の保管場所が変更される場合に行う届出です。なお、こちらの届出は実際にものを移動させる前に提出しなければなりません。
使用中のPCB製品譲渡し届出書
ご使用中のPCB製品を他の事業者に譲り渡す場合に行う届出です。ご使用中のものの譲渡は認められていますが、保管しているものの譲渡は認められていません。
◇処分に関する届出
以下は処分の際に必要な届出です。
PCB廃棄物の処分終了又は高濃度PCB使用製品の廃棄終了届出書
PCB廃棄物を処分した日、処分を委託した日、高濃度PCB製品の廃棄を終えた日から20日以内に県知事あてに行う届出です。
高濃度PCB廃棄物の処分又は高濃度PCB使用製品の廃棄の特例処分期限日に係る届出
高濃度PCB廃棄物は期間内に処分しなければなりません。しかし、届出を提出することにより、処分期間を定められた期間の末日から1年を経過した日までに延長が可能です。
PCB廃棄物の処分終了届出書
保管している低濃度PCB廃棄物および高濃度PCB廃棄物を処分した日、処分を委託した日から20日以内に県知事あてに行う届出です。
PCB廃棄物や汚染物の管理には、PCB特措法に基づく届出が義務付けられています。これにより、保管や処分に関する情報が公表され、透明性が確保されます。特に高濃度PCB廃棄物の処理には掘り起こし調査が必要であり、JESCOに委託された後は迅速に処分されます。しかしながら、届出が怠られるか虚偽の情報が提供されるケースもあります。
掘り起こし調査は時間と労力を要する作業であり、自治体によっては5年以上の期間が必要とされる場合もあります。調査によっては昼間でも見つけにくい場所からPCB廃棄物が発見されることがあり、このようなケースが多く報告されています。
PCB廃棄物処理の進捗状況については、53自治体が掘り起こし調査を完了しており、残りの2自治体も近いうちに完了する予定です。処理期限は2027年3月31日までであり、期限を過ぎると懲役や罰金の対象となります。
届出は毎年行うものと変更がある場合に行うものに分かれ、特に処分に関する届出は期限内に提出することが重要です。保管場所や製品の変更があった場合にも届出が必要であり、届出が怠られると罰則が科されます。PCB廃棄物の管理には確実な届出と迅速な処分が求められています。
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