中小企業者等軽減制度とは?PCB産業廃棄物の処分等の費用を軽減する支援制度 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
中小企業者等軽減制度とは?PCB産業廃棄物の処分等の費用を軽減する支援制度
公開:2024.04.17 更新:2024.04.17PCB産業廃棄物の処理や分析費用を軽減する「中小企業者等軽減制度」が注目されています。この制度は、高濃度のPCB廃棄物に関する処理費用の一部を補助することで、中小企業や特定の事業者に負担を軽減する目的で設けられています。さまざまな支援を通じて、環境保護と経済活動の両立を目指しています。
目次
PCB産業廃棄物を排出・保管する事業者にかかる責任
PCB産業廃棄物は譲渡や譲り受けが禁止されているため、PCB廃棄物を排出・保管する事業者には様々な責任を負います。ここでは排出事業者と保管事業者についての概要と伴う責任について解説します。
◇排出事業者・保管事業者について
排出事業者とは、廃棄物処理法上で廃棄物の発生源となる事業活動を行う事業者のことを指します。一方、保管事業者は、PCB廃棄物を長期間保管している事業者であり、PCB特措法においては「保管事業者」または「所有事業者」として規制の対象とされます。
保管事業者は、PCB廃棄物の譲受けや譲渡は禁止されており、都道府県の特別な認可がない限り変更されません。「所有事業者」とは、現在PCB製品を所有している者を指します。
「排出事業者」は「保管事業者」にほぼ包含されています。
PCB廃棄物の処理費用は、保有する事業者が負担することになります。政府主導で処理が進められているため、一般的に政府が負担するという期待は持たれがちですが、実際にはPCB廃棄物の処理責任は保有者にあります。そのため、処理期限内に処理費用を負担し、処理計画を早急に立てる必要があります。
PCB産業廃棄物処分にかかる費用
PCB産業廃棄物の処分は保管事業者の義務ですが、処分費用が高額になる事があります。また、運搬や安全対策のための設備投資なども必要とされることもある為注意が必要です。
◇高濃度PCB廃棄物処分の費用
高濃度のPCB廃棄物の処理費用は、その機器の重量に応じて設定されています。例えば、3kg以上10kg未満の機器の場合、処理料金は1台当たりの総重量に基づいて計算され、30,800円/kgで算出されます(kg未満は切り捨て)。また、10kg以上の機器については、その重量に応じて料金が段階的に設定されており、重量が大きくなるほど料金が高くなります。
コンデンサ類についても、10kg未満の場合はトランス類と同様の料金が適用されますが、10kg以上の場合は最低で494,000円(税込)が設定されています。なお、これらの料金には運搬費は含まれておらず、別途発生します。
情報引用元:PCB廃棄物の処理料金 JESCO
◇低濃度PCB廃棄物処分の費用
低濃度のPCB廃棄物の処理費用は、無害化処理認定施設ごとに異なる単価が設定されているため、一律に公開することが難しいです。一般的には、高濃度のPCB廃棄物よりも安価に処理されることがありますが、処分費用以外にも分析や重量搬出、収集運搬など、さまざまな費用がかかることがあります。業者に処理を依頼する際には、幅広い業務に対応している業者を選ぶことで手間が省けるため、おすすめです。
中小企業者等軽減制度を利用して費用負担を軽減
中小企業者等が、PCB産業廃棄物の処理に伴う費用負担を軽減するために利用できる手段として、政府や関連団体が提供する軽減制度があります。この制度を活用することで、中小企業者等は処理費用の一部を補助金として受け取ることができ、経済的な負担を軽減することが可能です。
◇中小企業者等軽減制度とは
中小企業者等軽減制度は、高濃度のPCB廃棄物を処理する際の費用を一部補助する仕組みです。この制度は、災害時の環境汚染リスク低減や温室効果ガス排出削減、地域外への資金流出防止等の目的を達成するために設けられています。
具体的には、JESCOによって処理される高濃度PCB廃棄物に対して処理費用の一部が軽減されます。各都道府県が「PCB廃棄物処理基金」をJESCOに拠出し、これを活用して処理費用の助成を行います。
申請は必要ですが、注意すべき点として、申請できるのはJESCOから案内があった方のみです。
◇中小企業者等軽減制度の対象
補助対象事業の要件は、以下の通りです。まず、低濃度PCBに汚染された変圧器の分析や調査を行う事業が含まれます。次に、これらの変圧器を高効率変圧器に交換する事業が挙げられます。この交換に際しては、リースによる導入も補助の対象となります。さらに、前述の分析調査と変圧器交換を一体的に行う事業も補助対象となります。
補助対象となる高効率変圧器は、産業廃棄物処理事業振興財団が定める省エネルギー基準を満たすものです。また、複数の変圧器交換を一括して行う場合は、事前に相談が必要です。
2024年4月1日からは、処理費用の軽減率が44%に変更され、収集運搬費用は軽減の対象外となります。ただし、一部の地域では処理費用と収集運搬費用の軽減率に変更はありません。
◇補助金の交付額
中小企業等が利用できる軽減制度の補助金額は、以下のように設定されています。PCB使用照明器具の調査費用の10分の1が上限50万円まで補助されます。また、工事費、設備費、事務費、その他必要な経費で承認された経費の3分の1が補助されます。
補助金額は地域や対象者の種類によって異なります。北九州・大阪・豊田エリアの「安定器及び汚染物等」や大阪エリアの「変圧器・コンデンサー等」では、処理費用の44%が補助されますが、収集運搬費用は補助されません。
一方、豊田エリアの「変圧器・コンデンサー等」では、処理費用と収集運搬費用の両方が70%補助されます。個人の場合、処理費用が95%、収集運搬費用も95%が補助されます。東京エリアと北海道エリアでは、処理費用と収集運搬費用の両方が70%補助されます。個人の場合、処理費用が95%、収集運搬費用も95%が補助されます。
このように、地域や事業の種類によって補助金の額や対象が異なります。
中小企業者等軽減制度以外の支援制度
PCB産業廃棄物の処理費用を軽減するために利用できる支援制度は、中小企業者等軽減制度以外にも存在します。ここではPCBに汚染された変圧器の高効率化によるCO2削減推進事業について紹介します。
◇PCBに汚染された変圧器の高効率化によるCO2削減推進事業
PCBに汚染された変圧器の高効率化によるCO2削減推進事業は、環境省の予算を使って、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が執行する補助金制度です。この事業の主な目的は、以下の3つの事業を通じて、CO2削減を推進することです。
調査事業(補助率1/10)
1993年以前に製造された低濃度PCB汚染の疑いがある使用中の油入変圧器について、PCB汚染の有無を調査する費用を補助する事業です。補助率は調査費用の1/10です。
交換事業(補助率1/3、上限:変圧器1台当たり100万円)
現在使用中のPCB汚染変圧器を高効率の変圧器に交換する費用を補助する事業です。補助率は交換費用の1/3であり、変圧器1台当たりの補助上限は100万円です。
調査交換事業
調査事業と交換事業を一体的に行う事業です。
これらの事業を通じて、古いPCB汚染変圧器の調査や交換を促進し、高効率の変圧器への更新を支援することで、CO2の削減を目指します。
◇補助金の要件と主な内容
PCBに汚染された変圧器の高効率化推進事業において、補助対象となる費用は導入する変圧器の設置に関する費用です。具体的には、変圧器の導入に必要な設置費用や関連する足場の設置・撤去、高所作業車などの費用が補助の対象となります。
一方、既存の変圧器の撤去、運搬、保管、処分にかかる費用や、発注者が行う作業や管理に関連する費用は補助の対象外です。また、調査事業の対象となる変圧器は、平成5年以前に製造された変圧器や、特定の条件に該当する変圧器が対象となります。
調査や交換に際して必要な足場の設置・撤去や高所作業車の費用は補助対象ですが、交換に際しては既存の変圧器の撤去に要した足場の設置・撤去や高所作業車等の費用は補助対象外となります。
申請について
PCBに汚染された変圧器の高効率化推進事業の補助金を受けるためには、交付申請が必要です。
申請を取り下げる場合は、以下のような手続きがあります。
交付申請書の申請中(交付決定通知以前)の場合、取り下げは可能です。
交付決定通知日以降、15日以内であれば、書面をもって取り下げが可能です。
交付決定通知日から15日を過ぎる場合は、中止又は廃止の手続きが必要です。中止又は廃止までに実施した内容の完了実績報告書の提出も必要です。
申請手続きや取り下げに関する詳細は、事前に充分に検討し、申請を行うことが重要です。
PCB産業廃棄物の排出・保管には、事業者に重い責任が課されています。排出事業者と保管事業者は、PCB廃棄物の処理費用を負担し、処理計画を早急に立てる必要があります。処分費用は高額であり、特に高濃度の場合は機器の重量に応じて算出されます。
中小企業者等軽減制度は、高濃度のPCB廃棄物の処理費用の一部を補助する制度です。この制度は、環境リスク低減や地域経済の支援を目的に設けられています。具体的には、JESCOが処理する高濃度PCB廃棄物の一部費用が補助され、各地域で処理費用の44%から70%が補助されます。
対象事業には、低濃度PCBの調査や変圧器の交換が含まれ、補助金額は地域や事業の種類によって異なります。PCBに汚染された変圧器の高効率化推進事業もCO2削減を目指す取り組みの一環であり、補助金制度を通じて支援されます。
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