PCB産業廃棄物は一般家庭にもある?見つけたときの対処方法を解説 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
PCB産業廃棄物は一般家庭にもある?見つけたときの対処方法を解説
公開:2024.05.25 更新:2024.05.25PCB(ポリ塩化ビフェニル)は1972年以降製造が中止されましたが、それ以前の機器に含まれており、高濃度と低濃度に分類されます。健康被害や法的責任を避けるため、一般家庭の所有者は早急に適切な処分を行う必要があります。自治体や専門業者に相談することが推奨されます。中小企業向けには処分コストの割引制度があり、早期処理でリスクを軽減できます。
目次
PCB産業廃棄物とは?
PCBは、電気機器の絶縁油などに使われていましたが、毒性が強く有害なため1972年以降は製造がされていません。PCBによる健康被害としては、1972年に発生したカネミ油症事件がよく知られています。PCB廃棄物は濃度によって、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。
◇PCBとは
ポリ塩化ビフェニル(Poly Chlorinated Biphenyl)のことです。有機塩素化合物の一種で、かつては電気機器の絶縁油などに使用されていましたが、1972年以来製造が中止されています。
毒性が強く人体に有害であり、1972年に発生したカネミ油症事件などが大きな社会問題となりました。この事件では、西日本を中心に米ぬか油による食中毒が発生し、1万3千名以上が被害に遭いました。
PCB中毒の主な症状は、目やに、色素沈着、ざ瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたの腫れなどです。放出されたPCBは化学的に安定していて食物連鎖によって濃縮されやすく母乳からも検出されているため、人体への悪影響が懸念されています。
◇濃度
PCB廃棄物はPCBの濃度によって、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。高濃度PCBは、意図的にPCBが使用された機器で、PCB濃度が5,000mg/kgを超える場合です。PCBの含有率は、トランスでは濃度が60%、コンデンサでは100%と非常に高濃度とされます。
PCBは昭和47年に生産が中止されているため、昭和48年以降に生産された機器には高濃度PCBは含まれません。一方、低濃度PCB廃棄物は、濃度が0.5超~5,000mg/kg
(※可燃性のPCB汚染物などは100,000mg/kg以下)のものを指します。
2002年(平成14年)の調査により、PCBを使用していないとされていた電気機器が誤ってPCBに汚染されたことが判明しました。そのため、1972年(昭和47年)までのPCBを使用していないとされる機器およびこれ以降の機器にも、低濃度のPCBが含まれる可能性があります。
一般家庭のPCB産業廃棄物はどうすればいい?
一般家庭に保有されている家電製品でも、1953年から1974年に製造された一部の冷暖房機、テレビ、電子レンジなどにはPCBが含まれている可能性があります。
一般家庭で見つかったPCB廃棄物は、所有者が早期かつ適切に処分しなければいけません。違反した場合には、懲役や罰金が科される可能性もあります。
◇一般家庭の家電に含まれている可能性あり
家電製品へのPCBの使用量は約800トンで、国内の総使用量の1.8%に過ぎません。しかし、現在も各家庭で保有されていると推計される数は約540トンにも上ります。かつては法律でPCBの使用が禁止されていなかったため、1953年(昭和28年)から1974年(昭和49年)8月末までに製造された一部の家電には、PCBを含有している可能性があります。
PCBが含まれている可能性が高い家電は、冷暖房機、テレビ、電子レンジなどです。町工場を経営されていた方が廃業した際、工場で使用されていたPCBが含まれる高圧トランスや高圧コンデンサの処理を先延ばしするために、自宅の倉庫で保管していた事例もあります。
◇早期かつ適切な処分が必須
PCB廃棄物の処理責任は所有者にあります。一般家庭でPCB産業廃棄物が見つかった場合は、環境や人々の健康を守るため所有者が期間内に適切な処分を行わなくてはいけません。
適切な処分方法としては、地元の自治体や環境保護機関に相談して指導を仰ぐ、自治体のごみ処理施設や専門の廃棄物処理業者に相談するなどがあります。
政令で定めるPCB廃棄物の処理期限を過ぎると処分することが困難になるだけでなく、厳しい規制が適用されます。処理せずに放置したり、改善命令に違反したりした場合には、懲役や罰金があるため注意が必要です。
PCB廃棄物処理の流れと費用
PCB廃棄物の処理に関する取り組みは、迅速かつ慎重に行う必要があるため、事前に処理の流れと費用を確認しておくことが大切です。PCB廃棄物は、PCBが含まれているか確認し、PCBが含まれているものは行政窓口で処理を依頼します。トランス類の処分費用は総重量で決まり、別途運搬料金が必要です。
◇PCB廃棄物処理の流れ
まずは、廃棄物にPCBが含まれているか確認します。変圧器、コンデンサ、蛍光灯機器は、安定器が製造された年を調べ、該当する機器があればメーカーに問い合わせることでPCBが含まれているか確認することが可能です。
低濃度含有が疑われる場合は、専門業者に濃度分析を依頼します。PCBを含む機器が判明した場合、地域の行政窓口にその機器を届け、処理の申込みを行います。
◇処分費用の目安
トランス類の処分費用は、廃棄物の総重量で決まります。3~10kg未満の場合は、一律1台当たりの総重量(kg)×30,800円です。(総重量のkg未満は切り捨てとします。)10kgを超える場合は別途料金表が設定されているため、料金表の確認が必要です。処分費用には、運搬料金が含まれていないため、別途費用がかかります。保管容器ごと処分する場合は、保管容器の重さも総重量に加算されます。
早期のPCB廃棄物処理で安心・安全を
事業継承や合併などにより、PCB廃棄物を知らないうちに保有することがあります。行政から措置命令を受けたり罰則が科せられたりしないようにするためには、早期発見と迅速な処理が重要です。早期に処理してすれば、中小企業向けの割引で処分コストを軽減できるメリットもあります。
◇隠れたPCB廃棄物を早期発見できる
PCB廃棄物は、廃棄物処理法に基づく特別管理産業廃棄物保管基準に従って保管し、毎年保管や処分状況について届け出なければいけません。基準に適合していない場合、都道府県知事(特定市では市長)から、期限を定めて必要な措置を講じるよう命じられ、届け出を怠った場合は罰則が科せられます。
事業継承、相続、合併などにより、知らないうちにPCB廃棄物を保有している可能性があります。早めにPCB廃棄物に取り組んでおけば、隠れたPCB廃棄物を早期に発見でき、罰則を受けるリスクも軽減できます。
◇中小企業者向けの割引で処分コストを削減
中小企業者などの保管事業者が保管するPCB廃棄物の処理費用、および収集運搬費用には、軽減措置が適用されます。PCB廃棄物の量によっては、処分に多額の費用がかかりますが、割引を活用することで処分コストを44%削減することが可能です。
軽減措置の対象範囲は、中小企業者、法人、個人で、軽減措置を受けるためには、必要要件をすべて満たし申請手続きを行う必要があります。
PCBは1972年以降製造が中止され、健康被害も知られている有害物質で、高濃度と低濃度の廃棄物に分かれます。一般家庭でも電気機器に含まれ、早期かつ適切な処分が必要です。自治体や専門業者に相談し、処分コストの割引制度を活用することが重要です。また、PCB廃棄物の処理手続きや費用を事前に確認し、中小企業向けの割引制度もあります。
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