低濃度PCB産業廃棄物のみなし処理とは? | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
低濃度PCB産業廃棄物のみなし処理とは?
公開:2024.05.25 更新:2024.05.25低濃度のPCB廃棄物は、通常は濃度を確認して処理しますが、「みなし処理」では濃度確認を省略し、適切な保管と自治体への報告が必要です。特定の機器や製造年に基づいて適用され、手続きや保管方法が決まります。専門業者による収集や運搬、環境大臣認定の処理施設での処分が必要で、保管にも基準があります。
目次
低濃度PCB廃棄物のみなし処理とは
本来、PCB廃棄物はPCB濃度を確認してから処分を行いますが、PCB濃度を確認せずに低濃度PCBを含有しているとみなして処理することも可能です。みなし処理を行う場合は、廃棄物を適正に保管し、毎年6月30日までに自治体に報告する必要があります。みなし処理は、分析の省略とコスト削減ができるのがメリットです。
◇低濃度PCB廃棄物とみなした処理
PCB濃度を確認せずに、低濃度PCBを含有しているとみなして処理することを、みなし処理といいます。ただし、みなし処理が適用されるのは、使用中の機器と、特定の期限前に製造された機器のみです。
みなし処理をする場合は、廃棄物を適正に保管し、保管場所を管轄する自治体に毎年6月30日までに報告しなくてはいけません。
◇本来は絶縁油で濃度を調査
PCB含有電気工作物は、適正な保管および処理が必要で、本来は絶縁油で濃度を調査してから処理を行います。参考までに、変圧器やコンデンサに使用されている絶縁油を処理する流れを、ご紹介します。
まずはPCB混入の可能性の有無を確認するために、絶縁油の濃度を調査します。調査方法は、定量分析法と迅速判定法のふたつです。0.5mg/kgを超えるPCBが検出された場合は、PCB廃棄物と判定します。みなし処理の場合はこの分析を行わないため、分析をする手間が省け、分析にかかる費用もかかりません。
低濃度PCB廃棄物のみなし処理が認められるケースとは?
低濃度PCB廃棄物のみなし処理が認められているのは、封じ切りのコンデンサや1990年以前の封じ切り機器や小型変圧器に限定されています。その理由は、以下のとおりです。
◇封じ切りのコンデンサなど
絶縁油の採取口が設けられていない封じ切り機器は、絶縁油を採取するためには穴を開けなくてはいけません。しかし、穴を開けると使用不可となるため、PCB汚染の疑いがある機器としてみなし処理が認められています。
みなし処理で処理することを予定していても、管轄する自治体への届出は必要です。なお、使用を終えて廃止した自家用電気工作物を再び接続することは、電気事業法により禁止されています。
◇1990年以前の封じ切り機器や小型変圧器
製造年からPCB汚染が疑われていても、高濃度 PCBに該当しないとことが明らかになった封じ切り機器や小型変圧器についても、みなし処理が認められています。1990年(平成2年)以前に製造された封じ切り機器や小型変圧器で、銘板情報などから高濃度PCBでないことが確認できれば、PCB濃度の分析値がなくても低濃度PCB廃棄物とみなし処分することが可能です。
具体的な処理方法は、無害化処理認定事業者などの許可を得た業者に相談できます。製造年からみなし処理する予定の機器でも、保管基準に従った適正な保管と、管轄する自治体への届出が必要です。
低濃度PCB廃棄物の処理手続き
低濃度PCB廃棄物を安全にかつスムーズに処理をするためには、処理フローを自前に確認しておくことが大切です。低濃度PCB廃棄物を処理するためには、都道府県知事または政令で定める市長に届出をします。使用中の電気機器が低濃度PCB含有電気工作物に該当することが判明した場合も、管轄する産業保安監督部に届出を行わなくてはいけません。届出には、経産省が定める様式が必要です。
◇低濃度PCB廃棄物の処理フロー
PCB廃棄物の処理フローは、下記のとおりです。
届出を行う
保管と処分の状況について、毎年6月末までに都道府県知事(または政令で定める市長)に届出を行います。届出様式は、都道府県のホームページまたは環境省のホームページから入手することが可能です。
適正に保管する
処分するまでの期間、PCB廃棄物を適正に保管・管理しなければなりません。PCB廃棄物にはPCB廃棄物であることを示すラベルの貼り、PCBが漏洩した際は処置も必要です。PCB廃棄物を保管する事業者は、各事業場に資格要件を満たした特別管理産業廃棄物管理責任者を配置します。
収集・運搬
PCB廃棄物の収集運搬業許可を取得している業者に、収集・運搬を委託します。搬出の際は立会いが必要です。
処分
低濃度PCB廃棄物は、環境大臣認定の無害化処理認定施設や都道府県市長許可施設で処分します。
◇必要書類
PCB含有電気工作物に関して、2001年(平成13年)7月にPCB特措法が施行されたことを受けて、同年10月に報告規則を改正し、PCB含有電気工作物に関する届出制度を導入されました。
使用中の電気機器が低濃度PCB含有電気工作物に該当することが確認された場合は、電気事業法の電気関係報告規則に基づき、該当する場所を管轄する産業保安監督部に速やかに届出る必要があります。
低濃度PCB含有電気工作物の届出には、経産省が定める様式を使用します。設置者の氏名や住所の変更、事業場の名称や所在地の変更、機器の廃止、または事故が発生した場合も同様に、届出が必要です。
低濃度PCB廃棄物の保管と処理方法
低濃度PCBの収集運搬、処理は、許可を得た専門業者に依頼します。専門業者が収集に来るまでは、保管基準を守り適切に保管しておくことも重要です。
◇専門業者へ処理・収集運搬を依頼
低濃度PCB廃棄物の処理が行えるのは、環境大臣による認定施設または都道府県知事による許可施設のみです。廃棄物処理法第15条の4の4の第1項に基づく無害化処理認定事業者の一覧を確認し、処理を依頼します。
収集運搬に関しても、搬入できる事業者が決まっています。東京PCB処理施設にPCB廃棄物を搬入できる収集運搬事業者一覧と北海道PCB処理施設にPCB廃棄物を搬入できる収集運搬事業者一覧を確認し、収集運搬を依頼します。
◇収集運搬までは適切に保管
専門業者が収集に来るまでは、低濃度PCB廃棄物を廃棄物処理法施行規則第8条の13で定める保管基準に従って保管しなくてはいけません。保管基準は以下のとおりです。
・周囲に囲いがある場所を選ぶ
・見やすいところに掲示板を設置する
・飛散、流出、地下浸透、悪臭発散を防止するための措置を講じる
・他の物質が混入しないように仕切りを設けるなどの措置を講じる
・容器に入れて密封するなど、揮発を防止するために必要な措置を講じる
・高温にさらされないように必要な措置を講じる
・腐食を防止するために必要な措置を講じる。
・保管施設ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を配置する
低濃度のPCB廃棄物は、通常はPCBの濃度を確認してから処理されますが、特定の条件下ではPCB濃度を確認せずに処理できる「みなし処理」が認められています。この場合、適切な保管と自治体への定期的な報告が必要で、省力化とコスト削減がメリットです。
特定の機器や製造年に基づいてみなし処理が適用され、処理のための手続きや保管方法が定められています。また、専門業者による収集や運搬、環境大臣認定の処理施設での処分が必要で、保管にも基準があります。
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