PCBの水中汚染が深海に及ぶ原因と汚染水処理対策 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
PCBの水中汚染が深海に及ぶ原因と汚染水処理対策
公開:2024.07.23 更新:2024.07.23PCBは水生生物に吸着し、食物連鎖を通じて生物濃縮されることで、人間にも健康被害を及ぼす可能性があります。PCBは長距離を移動しやすく、極域や深海にまで広がり、長期間にわたって蓄積されます。これに対して、アステック東京は効果的な汚染水処理対策として、凝集沈殿処理を提案しています。こちらでは、PCBの深海汚染の原因とその対策について詳しく解説します。
目次
水中の汚染も深刻なPCB
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、かつて広く使用されていた産業用化学物質で、その優れた絶縁性や耐熱性から電気機器や建材に多用されていました。しかし、PCBは非常に有害で、環境中に放出されると長期間にわたって分解されずに残留します。
◇PCBによる水質汚染
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、電気的特性に優れオイルのように活用できることから、機械設備や施設で幅広く使用されてきました。PCBは人体や生物に対して極めて強い毒性を持つため、現在は生産・輸入が禁止されていますが、河川や海へ放出されたPCBによる水質汚染が深刻な問題となっています。
その理由は、PCBは非常に安定した性質を持ち、分解されず残留しやすいためです。水中に不法投棄された機械製品から漏れ出したPCBが海洋生物に吸着すると、食物連鎖を通じて生物濃縮され、最終的には人間にも深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
◇PCBの影響が極域や深海に及ぶ理由
極域や深海でのPCB汚染は、主にPCBが長距離を移動する特性によるものです。熱帯や亜熱帯地域で放出されたPCBは、大気の循環によって広範囲に広がります。特にPCBが海洋生態系に溶け込み蓄積されやすいのが、大気中から海水への移行が活発な高緯度地域です。
また、化学物質の揮発性が低いPCBは、海水の温度が低いと大気中からの沈着が盛んになります。そのため、水温の低い極域や深海はPCBの「たまり場」として機能し、長期間にわたってこれらの物質が蓄積されます。
深海の二枚貝から残留性有機汚染物質を検出
画像出典:毎日新聞
海洋研究開発機構の研究チームの深海底の調査により、深海でのPCB汚染が予想以上に広がっていることが明らかになりました。検出されたPCBの数値は規制値を下回っていましたが、生物への影響が懸念されるため、引き続き注意深く見守る必要があります。
◇深海性二枚貝からPCBを検出
海洋研究開発機構の研究チームは、有害物質による汚染状況を把握するために、2019年8~9月に有人潜水調査船「しんかい6500」で相模湾・初島沖の水深約900mの深海底を調査しました。
この地域の海底から湧き出る水には豊富なミネラルを含んでおり、それらを栄養源にする生物が生息しています。湧水の周辺では、体長約10cmの二枚貝が密集しているのが確認されました。
二枚貝はシロウリガイの仲間で、エラに生息する細菌が作る有機物を栄養源とする、餌を食べずに生きる貝です。研究チームはロボットアームを使用してこれらの貝を採取し、実験室で分析したところ、貝に含まれる脂肪分1gあたり平均24ng(ナノグラム)のPCBが検出されました。
◇予想以上に広がっていた影響
この調査結果は、深海の化学合成生態系が予想以上に汚染されていることと、人間活動が比較的影響を受けにくい地域でもPCBの汚染が広がっている可能性を示唆しています。検出されたPCBの数値は、内湾や遠洋での魚介類に設定されている暫定的な規制値を下回っていました。
それでも、固有かつ脆弱な生物に対する汚染の影響が懸念されるため、注意深く見守る必要があります。この研究成果は、深海の化学合成生態系を構成する生物におけるPCB汚染に関する初めての詳細な報告であり、今後の研究において重要な基礎データとなるでしょう。
汚染水の浄化を行うアステック東京
これ以上PCBによる水質汚染を広げないためは、適切な対策が必要です。アステック東京は、浅層VOCs化学処理(オンサイト浄化・原位置浄化)を用いた汚染水の浄化方法を提案しています。
◇自然力で環境技術のグローバル化を目指す
アステック東京は、東京都江戸川区にある企業です。設立は2009年で、工場排水・汚染水処理、土壌汚染対策工事の設計、環境整備に関する設計など幅広い事業を展開しています。天然資源と自然力を活用した環境技術を得意とし、中国、東南アジア、オーストラリアなどの企業と連携し、グローバル化を目指しています。
◇アステック東京の汚染水浄化
アステック東京は、浅層VOCs化学処理工法を用いて汚染水浄化を行っています。化学処理方法には、オンサイト浄化と原位置浄化の2種類があり、それぞれの違いは以下のとおりです。
オンサイト浄化
浅層の汚染土を掘削して隣地に一時的に置き、化学処理を行った後に埋め戻します。この方法は、地下水が汚染されていない場所で効果的です。地下水モニタリングが1度で済むため、施工に時間がかかりません。
原位置浄化
掘削した汚染土を仮置きせずに、そのまま現地で化学処理を行います。通常は年に4回、2年間にわたる定期的な地下水のモニタリングが必要です。条令適用工事などでモニタリングが不要な場合は、オンサイト浄化と同様に短期間での施工が可能です。
凝集助剤を用いたPCB汚染水の処理
水中のダイオキシン類およびPCBは、粒子径0.22~1μmのSSに多く吸着します。これらを除去するために、凝集沈殿処理が有効です。アステック東京では、凝集助剤「Minelco」を用いた処理を提案しています。
◇凝集助剤を用いた処理の概要
排水に含まれるダイオキシン類およびPCBは、水中のSSに吸着しますが、特に粒子径0.22~1μmのSSに多く付着していることが確認されています。このため、水中からダイオキシン類およびPCBを除去する方法としては、懸濁物質(SS)を凝集沈殿させて上澄水を得る凝集沈殿処理が有効と考えられます。
◇凝集沈殿処理の流れ
アステック東京が行う凝集沈殿処理は、汚染水からダイオキシン類やPCBを含む懸濁物質(SS)を除去し、清澄な水を得るためのプロセスです。この処理の大まかな流れを以下に説明します。まず、汚染水を凝集反応槽(3槽ノッチタンク)に入れます。固液比を1:10にするようにMinelcoと水を混ぜ合わせ、撹拌します。
次に、凝集反応槽の1槽目にMinelco、2槽目に鉄系凝集剤を添加し、それぞれ撹拌します。そして、凝集反応槽から沈殿分離槽へ移送する配管内でPAC、高分子凝集剤の順で添加し混合します。
最後に、沈殿分離槽で沈殿物を沈殿分離し、上澄水は活性炭ろ過槽へ移します。沈殿物は汚泥として処理し、活性炭ろ過槽で有機物や着色を除去します。
この一連のプロセスにより、汚染水から有害物質が効果的に除去され、安全で清潔な水が得られます。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、かつて電気機器や建材に広く使用されていた有害物質で、環境中に放出されると分解されずに残留し、水質汚染の深刻な原因となります。特に水中での汚染は深刻で、PCBは海洋生物に吸着し、食物連鎖を通じて生物濃縮されることで人間にも健康被害をもたらします。
PCBは極域や深海にも広がり、長期間にわたり蓄積されるため、その影響が懸念されています。海洋研究開発機構の調査では、深海の二枚貝からPCBが検出され、深海生態系が汚染されていることが示されました。
この問題に対し、アステック東京は浅層VOCs化学処理を用いた汚染水浄化を提案しています。Minelcoや鉄系凝集剤、PAC、高分子凝集剤を用いて汚染水を処理し、最終的に活性炭ろ過槽で有機物や着色を除去します。この方法により、安全で清潔な水を提供し、PCBによる水質汚染を効果的に防ぐことができます。
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