1972年以前の建物を改修・解体する際は注意!PCB含有シーリング材 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
1972年以前の建物を改修・解体する際は注意!PCB含有シーリング材
公開:2024.08.19 更新:2024.08.19シーリング材は建物の隙間を埋め、気密性や防水性を高めます。1成分形と2成分形があり、ポリサルファイド系は1972年以前に使用され、PCBを含む可能性があります。改修や解体時にはPCB含有の有無を分析し、0.5mg/kg超えで保管、10.0重量%超えはJESCOで処理、以下は認定業者で処分します。
目次
シーリング材とは?種類と役割
シーリング材とは、建築物の隙間を埋めるために使用される材料で、外壁の気密性や防水性を向上させる役割があります。シーリング材は、製品形態や、硬化の方法により複数の種類があり、用途に合わせて選ぶことが可能です。
◇シーリング材とは
シーリング材の「シーリング」とは、建築物の隙間を埋める作業のことを指します。建物の壁は、複数のパネルやボード(外壁部材)を組み合わせて作られているため、その間に隙間が生じます。
この隙間を放置すると、温度や湿度の変化、地震や風圧による影響で、伸縮や位置ずれが発生しやすくなり、水や空気が入り込んで外壁の機能が低下してしまいます。
そこで、シーリング材と呼ばれるパテなどの材料を使って隙間を埋めることで、建物の気密性や防水性を高めることができます。
◇シーリング材の種類
シーリング材は、大きく分けて1成分形と2成分形の2種類があります。
1成分形は、カートリッジ式で専用のガンにセットし、そのまま使用できるシーリング材です。このタイプにはさらに3つの種類があり、1つ目は空気中の水分と反応して表面から硬化する「湿気硬化タイプ」、2つ目は含まれている水分や溶剤が蒸発して硬化する「乾燥硬化タイプ」、3つ目は空気中の酸素と反応して表面に皮膜を形成する「非硬化タイプ」です。
一方、2成分形は、基剤と硬化剤を混ぜて使用するシーリング材です。基剤の主成分と硬化剤が化学反応を起こし、硬化します。
シーリング材は、水密性や気密性を保つために、対象の部材にしっかりと接着し、連続した不浸透層を形成する必要があります。
そのため、用途に応じてさまざまな種類があり、主なものとして、シリコーン系、シリル化アクリレート系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリル系のシーリング材があります。
PCB含有の可能性があるシーリング材
1972年以前に使用されていたポリサルファイド系シーリング材には、PCBが含まれている可能性があります。このシーリング材は、-20度から80度の耐熱性があり、ゴミやほこりが付きにくいという特徴があります。そのため、当時は主に大きな窓ガラスや高層建築物に使用されていました。
◇含有の可能性があるシーリング材
建築用シーリング材にはシリコーン系やポリウレタン系などさまざまな種類がありますが、PCBが含まれている可能性があるのは、ポリサルファイド系シーリング材だけです。
このシーリング材は、1940年代に米国で開発され、1958年に日本へ輸入され、1963年からは国内でも生産が始まりました。
当時、ポリサルファイド系シーリング材には、柔軟性を持たせるためにPCBが可塑剤として使用されていましたが、1972年1月のPCB使用自粛通達により、その使用は中止されました。
1973年以降に製造されたシーリング材にはPCBが含まれていないため、この年以降に建設された建物については、PCBが含まれている心配はありません。
◇ポリサルファイド系シーリング材とは
ポリサルファイド系シーリング材は、耐久性に優れ、表面にゴミやほこりが付きにくい特性があり、耐熱温度は-20度から80度まで対応しています。しかし、柔軟性に欠けるため、振動が多い場所には適していません。
このシーリング材が適している場所としては、サッシ、大理石、PCコンクリート、ガラスとサッシのグレージング、笠木のジョイント部、屋上シート防水の下地、端末部の目地、配管・ダクト回りの目地などがあります。
ポリサルファイド系シーリング材に含まれるPCBは、気温や湿度の変化による目地の動きに追従するため、可塑剤として使用されていました。PCBの配合割合はおよそ10%です。
このシーリング材は、主に大きな窓ガラスを有する建物や高層建築物の窓ガラスなどで使用されていたとされています。
建物の改修や解体の際に分析が必要
産業廃棄物やシーリング材に含まれるPCBは健康被害を引き起こす可能性があるため、1972年以前に建てられた建物を改修や解体する際には、シーリング材の分析が必要です。ただし、分析が必要なのはポリサルファイド系シーリング材に限られ、PCBの含有率が0.1重量%以上である場合、そのシーリング材にはPCBが含まれていると判断されます。
◇分析が必要とされる条件
PCBは発がん性や催奇形性などの健康被害を引き起こす可能性があるため、PCBを含むシーリング材が使われている可能性がある建物を改修や解体する際には、事前に分析が必要です。
シーリング材にはシリコーン系や変成シリコーン系、ポリウレタン系などさまざまな種類がありますが、PCBを含むシーリング材は、1972年(昭和47年)までに製造されたポリサルファイド系シーリング材に限られます。
◇分析の流れや基準
シーリング材にPCBが含まれているかどうかは、サンプルを採取して分析することで判定されます。判定基準はドイツの管理基準と同様で、ポリサルファイド系シーリング材の化学分析を行い、PCBの含有率が0.1重量%以上である場合、そのシーリング材はPCBを含むと見なされます。
分析の流れは次の通りです。
まず、部材が異なる目地から3cm角程度のシーリング材をナイフで切り取り、サンプルを採取します。次に、日本シーリング材工業会がPCBの含有について一次判定を行い、ポリサルファイド系の材質であるかを確認します。最後に、ポリサルファイド系である場合は、試験分析を行い、PCBが0.1%以上含まれているかどうかを判定します。
0.5mg/kg以上のPCB含有が確認されたら
撤去したシーリング材のPCB含有量が0.5mg/kgを超えていた場合、建物の所有者はそのシーリング材を保管しなければなりません。また、PCB含有量が10.0重量%を超える高濃度PCB廃棄物は、地域の規定に従い、指定された期限内にJESCOで処理します。もしPCBの漏洩が確認された場合は、PCB汚染物として適切に対応する必要があります。
◇適切な保管と処分
改修や解体で撤去されたPCB含有シーリング材について、PCBの含有量が多いものは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理を推進するための特別措置法(PCB特別措置法)に基づき、建物所有者が保管する必要があります。
具体的には、専門分析機関での第二次判定でPCBの含有量が0.5mg/kgを超えていることが確認された場合です。
シーリング材のPCB含有量が1kgあたり100,000mg(10.0重量%)を超える場合は、高濃度PCB廃棄物として、令和3年3月31日または令和5年3月31日までに中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理する必要があります。処理の期限は地域によって異なる場合があります。
一方、PCB含有量が10.0重量%以下のものについては、令和9年3月31日までに認定または許可を受けた無害化処理事業者に委託して適切に処分します。
◇漏洩が確認された場合
PCB廃棄物について、PCB汚染物の判定基準や測定方法は、令和元年10月11日付の環境省通知「低濃度ポリ塩化ビフェニルの該当性判断基準について」で示されています。PCBを含むポリサルファイド系シーリング材からPCBが表面に染み出し、その下地や周辺のコンクリートにPCBが付着した場合、その付着したすべてのものがPCB汚染物として扱われます。
シーリング材は、建物の隙間を埋めるために使われ、外壁の気密性や防水性を高める役割を果たします。主に1成分形と2成分形の2種類があり、それぞれ使用方法や硬化の仕組みが異なります。1成分形は、カートリッジ式で湿気硬化、乾燥硬化、非硬化の3タイプがあります。一方、2成分形は、基剤と硬化剤を混ぜて使用します。
シーリング材にはシリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系などがあり、それぞれ異なる特性を持っています。
ポリサルファイド系シーリング材は、耐久性が高く、ゴミやほこりが付きにくい特性がありますが、柔軟性が不足しているため振動が多い場所には適していません。この材は1972年以前に使用されていたもので、当時はPCBが可塑剤として使用されていました。
PCB含有の可能性があるのはポリサルファイド系シーリング材だけで、1972年までに製造されたものが該当します。1973年以降に製造されたシーリング材にはPCBが含まれていません。
建物の改修や解体の際、PCB含有のシーリング材がある場合は分析が必要です。分析では、サンプルを採取し、PCBの含有率が0.1重量%以上であるかを確認します。
PCB含有量が0.5mg/kgを超える場合、建物所有者はそのシーリング材を保管しなければなりません。含有量が10.0重量%を超える高濃度PCB廃棄物は、JESCOで処理し、含有量が10.0重量%以下の場合は認定業者に委託して処分します。
PCB汚染物の判定基準や測定方法は、環境省の通知に基づいて行われ、PCBが染み出した場合、付着したすべてのものがPCB汚染物とみなされます。
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