産業廃棄物処理の基礎知識!種類と中間処理の重要性 | PCB処理 完全攻略ガイド
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産業廃棄物処理の基礎知識!種類と中間処理の重要性
公開:2024.09.26 更新:2024.09.26産業廃棄物の処理は、環境への影響を抑えながら、廃棄物を適切に管理するための重要な取り組みです。産業廃棄物にはさまざまな種類があり、処理方法も異なりますが、その中で重要な役割を果たすのが「中間処理」です。
中間処理では、焼却、破砕、脱水などの処理を通じて廃棄物の量を減らし、有害物質を除去して環境への負荷を軽減します。こちらでは、産業廃棄物の基本的な種類と、処理過程における中間処理の重要性について詳しく解説します。
目次
一般廃棄物と産業廃棄物の違い
日本では、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けて取り扱われ、それぞれに異なる処理方法と規制が適用されています。廃棄物の分類は発生源や性質によって異なるため、正確な理解が必要です。
◇廃棄物とは
廃棄物とは、使用後に不要となり、処分する必要がある物品や材料を指します。これには家庭や事業所から出るさまざまな物が含まれます。例えば、家庭から出る生ゴミや紙くず、空き缶、ペットボトル、粗大ごみなどが一般的な廃棄物です。
また、事業所から出る廃棄物には、使用済みの文房具、破損したオフィス用品、廃棄された機器、廃油などがあります。これらの廃棄物はその性質によって異なる処理方法が求められるため、発生源や種類によって分類・処分する必要があります。
◇一般廃棄物と産業廃棄物の違い
産業廃棄物とは、工場や事業所などから発生し、法律で指定されている廃棄物のことです。具体的には、製造業から発生する金属くずやプラスチックの廃材、化学薬品の残留物、食品廃棄物などが含まれ、廃棄物処理法で20種類が定められています。
一方、一般廃棄物とは、上述した産業廃棄物以外の廃棄物を指します。家庭から出る廃棄物は「家庭系廃棄物」、事業所などから出る廃棄物は「事業系一般廃棄物」、さらに「特別管理一般廃棄物」の3つに分類されます。
特別管理一般廃棄物とは、有害性があり、適切に管理しないと環境や健康に悪影響を及ぼす可能性がある廃棄物のことです。特別管理一般廃棄物は、その特性から通常の一般廃棄物よりも厳格な管理と処理が求められます。
産業廃棄物の種類と処分の流れ
画像出典:フォトAC
日本の産業廃棄物は、廃棄物処理法にもとづいて20種類に区分されています。それぞれの廃棄物の特徴と分類は以下のとおりです。
種類 | 具体例 | |
1 | 燃え殻 | 石炭や重油の燃焼後に残る灰など |
2 | 汚泥 | 排水処理施設や工場から出る液状や固体の汚泥 |
3 | 廃油 | 工業用や車両などで使われた廃棄された油 |
4 | 廃酸 | 工業プロセスで使用されて排出された酸性物質 |
5 | 廃アルカリ | 工業で排出されるアルカリ性の廃棄物 |
6 | 廃プラスチック | 使用後のプラスチック製品や、製造過程で出るプラスチックくず |
7 | ゴムくず | 工場などから出る使用済みや加工途中のゴム製品 |
8 | 金属くず | 金属加工や解体作業で発生する金属片やスクラップ |
9 | ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず | ガラス製品や陶磁器、コンクリートの破片 |
10 | 鉱さい | 金属精錬や燃焼過程で生じる鉱石の残りかす |
11 | がれき類 | 建築物の解体や改修で発生するコンクリートや瓦礫 |
12 | ばいじん | 工場の煙突などから排出される微細な粒子状物質 |
13 | 紙くず | 工業過程や商業活動で排出される紙類。 |
14 | 木くず | 建設現場や木材加工で生じる木片 |
15 | 繊維くず | 繊維製品の製造や加工で発生する廃棄物 |
16 | 動植物性残さ | 食品工場や農業活動で発生する動物や植物の残り |
17 | 動物系固形廃棄物 | 畜産や食肉加工場から発生する動物の部位 |
18 | 動物のふん尿 | 畜産業などで発生する動物のふんや尿 |
19 | 動物の死体 | 畜産業や動物病院で発生する死体 |
20 | その他の産業廃棄物 | 上記に該当しない特殊な産業廃棄物 |
◇産業廃棄物の処分の流れ
産業廃棄物の処分は、いくつかの段階を経て進められます。まず、廃棄物が発生した事業所で、廃棄物を種類ごとに適切に分類し、回収します。この分類は、リサイクルできるものや有害な物質が含まれていないかどうかを確認するために重要です。
次に、分類された廃棄物は収集・運搬され、リサイクル可能なものはリサイクル施設へ、それ以外の廃棄物は処理施設へ運ばれます。
処理施設では、まず中間処理が行われます。(中間処理については、次章で詳しく解説します。)最後に、中間処理された廃棄物は、最終処分場で埋立や固化処理などが行われ、適切に処分されます。
これにより、環境負荷を最小限にしながら廃棄物の安全な処分が完了します。この一連のプロセスは、環境保護と廃棄物の適正処理を両立させるために欠かせない流れです。産業廃棄物の処分は、以下のような流れで進められます。
中間処理とは?分別の重要性と処分方法
産業廃棄物の処理において、中間処理は非常に重要なプロセスです。中間処理は、廃棄物の量や有害性を減少させ、最終処分を効率的かつ安全に行うための準備段階として行われます。これにより、資源のリサイクルが促進され、環境への負荷を軽減することが可能です。
◇中間処理による分別の重要性
中間処理の最大の目的は、廃棄物を適切に分別し、再利用できるものをリサイクルに回し、環境への影響を最小限に抑えることです。廃棄物をそのまま最終処分するのではなく、事前に適切な処理を行うことで、処分場への負荷を減らし、有害物質の影響を抑えることができます。
また、中間処理によって廃棄物の体積や重量を減少させ、輸送コストの削減や最終処分場の効率的な利用が可能になります。
◇種類によって異なる処理方法
中間処理には、廃棄物の性質に応じてさまざまな方法があります。代表的な処理方法は以下のとおりです。
焼却
廃棄物を高温で燃やして量を減らす処理方法です。可燃物は燃やすことで体積が大幅に減少し、腐敗を防いで無害化されます。焼却後に残った灰は、セメントの原料などに再利用されることが多いです。特に医療系廃棄物やリサイクルが困難な廃棄物の処理に使われます。
破砕
大きな廃棄物を細かく砕くことで、処理をしやすくする方法です。例えば、プラスチックや紙くずなどを細かく砕くことで、体積を減らし、運搬や処理を効率化します。破砕機には一軸や二軸の破砕機、ハンマー式などがあり、廃棄物の種類に応じて使い分けられます。
溶融
廃棄物を非常に高温で溶かすことで有害成分を無害化し、再利用可能な材料を取り出す方法です。焼却灰や金属類を溶融することで、道路の基盤材や建築資材に再利用されることがあり、リサイクル率の向上に貢献しています。
脱水
汚泥などの水分を含む廃棄物から水分を取り除き、体積や重量を減らす処理です。脱水された汚泥は、堆肥として再利用されることがあり、残った水分は無害化処理を経て放流されます。これにより、運搬コストや最終処分時の負担が軽減されます。
選別
廃棄物を素材ごとに分けて適切に処理するための工程です。磁力選別やアルミ選別、風力選別などの技術が使われ、リサイクル可能な資源を分別します。また、手選別も行われ、目視で細かな分別をすることでリサイクル率を高めます。
特別管理産業廃棄物と特定有害産業廃棄物
産業廃棄物のなかでも、有害性の高い廃棄物には特別な管理や処理が求められます。これに関連して「特別管理産業廃棄物」と「特定有害産業廃棄物」という2つの分類が存在します。それぞれに異なる規制が適用されており、適切な取り扱いが必要です。
◇特別管理産業廃棄物と特定有害産業廃棄物の違い
「特別管理産業廃棄物」は、環境や人の健康に重大な影響を及ぼす恐れがある産業廃棄物で、有害性が非常に高い物質が含まれています。アスベストやPCB(ポリ塩化ビフェニル)など、処理の際に厳重な管理が必要とされるものが該当します。
一方、「特定有害産業廃棄物」とは、特別管理産業廃棄物のなかでも特に有害性の高い廃棄物を指します。
◇特定有害産業廃棄物の種類
特定有害産業廃棄物に該当する廃棄物は、法令で指定されています。具体的な例としては以下のものがあります。
・PCB処理物
PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む使用済みの電気機器や油
・鉱さい・廃水銀等
鉛や水銀などの重金属を含む廃棄物
・廃石綿等
石綿(アスベスト)を含む建築資材や廃棄物
・ばいじん
重金属など、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定の濃度を超えて含むもの
◇特定有害産業廃棄物の判断基準
特定有害産業廃棄物の判断基準は三つの要素にもとづきます。
1.廃棄物に含まれる有害物質が特定のリストに含まれているかどうか
2.化学工場や製造業など、特定の業種や施設から排出された廃棄物であるかどうか
3.有害物質の量が法令で定められた基準値を超えているかどうか
特定有害産業廃棄物の判断基準を満たしていない場合は、普通産業廃棄物とみなされます。しかし、その廃棄物が将来的に環境や健康に重大な影響を与える可能性があると判断された場合には、予防的に特定有害産業廃棄物として扱われることがあります。
日本では、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類され、それぞれ異なる処理方法が適用されます。産業廃棄物には20種類があり、金属くずや廃プラスチック、化学薬品の残留物などが含まれ、法律で定められた規制に基づいて処理されます。
処理の流れとしては、まず廃棄物を分類・回収し、収集・運搬を経て中間処理が行われ、最終的に埋立やリサイクルが行われます。中間処理には、焼却や破砕、溶融、脱水、選別などがあり、廃棄物の量や有害性を減少させ、最終処分を効率化します。 また、有害性が高い廃棄物には「特別管理産業廃棄物」と「特定有害産業廃棄物」という分類があり、厳重な管理と処理が求められます。
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