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アスベストの危険性は?健康被害を防ぐための対策と法規制 | PCB処理 完全攻略ガイド

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アスベストの危険性は?健康被害を防ぐための対策と法規制

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公開:2024.10.16 更新:2024.10.16

アスベストは、かつて建築材料や産業機械などに広く使用されてきましたが、その有害性が明らかになり、深刻な健康被害を引き起こすことが問題視されています。アスベストの繊維は非常に細かく、空気中に飛散しやすいため、吸い込むことで石綿肺や肺がん、中皮腫などの重大な疾患を引き起こすリスクがあります。

こちらでは、アスベストの危険性に加え、健康被害を防ぐための具体的な対策や、現在施行されている法規制について詳しく解説します。

アスベストの概要と使用箇所

アスベストは、産業廃棄物におけるPCBなどと同様に、身近な環境問題として広く認知されています。まずは、アスベストの概要や使用箇所など、問題の基礎となる部分を見てみましょう。

◇アスベストとは

アスベストとは、クリソタイル(白石綿)やクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトなど、天然の繊維状けい酸塩鉱物の総称です。

その直径は0.02~0.06㎛、髪の毛の5000分の1程度と非常に細く、ほぐすと綿のようになる特性から、「せきめん」や「いしわた」と呼ばれることもあります。比較的安価なうえ、熱・火・薬品・酸・アルカリ・摩擦に強く、電気もほとんど通しません。

◇アスベストが使用されていた箇所

アスベストはその優れた特性から、建築材料・産業機械・化学設備など幅広く、3,000種類以上の製品に使用されました。中でも多くを占めたのが建築材料であり、全体の9割以上にも上ったといわれています。


具体的な使用方法としては、吹き付けアスベスト、アスベスト含有保温・断熱材などが挙げられます。

吹き付けアスベスト

アスベストとセメント、水を混ぜて吹きつけたものであり、1956年から1975年ごろにかけて、鉄骨の柱や梁、空調室・ボイラー室の壁や天井などに広く利用されました。

アスベスト含有保温・断熱材

アスベストを0.1%以上含んだ保温・断熱材であり、化学プラントやボイラーの本体・配管の保温に広く利用されました。

その他にも、ブレーキライニングやブレーキパッド、スレート材、スラグ石膏板、パルプセメント板、押出成形セメント板など、アスベストの用途は多岐に渡ります。

アスベストのばく露について

吹き付けられたアスベスト含有吹付材

画像出典:フォトAC

アスベストは優れた特性を持ち、柱や梁、壁、天井などに広く使われてきましたが、やがてそのリスクが明らかになりました。

◇アスベストは飛散しやすい

アスベスト(石綿)は、非常に飛散しやすい繊維であることが知られています。特に「吹きつけアスベスト」はその綿状の性質から、解体作業や風によって周囲に広がりやすくなります。

例えば、吹きつけアスベストが使われたビルを対策せずに解体すると、周囲の空気中に高い濃度のアスベストが飛散し、風下にある隣のビルでもその影響が見られました。また、石綿工場の近くや高速道路の料金所周辺でも、空気中のアスベスト濃度が上昇することが確認されています。

このように、風や距離によって濃度は変化しますが、アスベストが周囲に飛散しやすく、健康に影響を与えるリスクがあるため、取り扱いには慎重な対策が必要です。

◇ばく露のリスクと影響

飛散したアスベストは、その細さや軽さゆえに長く空気中に留まり、呼吸と共に体内に吸い込まれ、大部分が肺に蓄積されていきます。これは、石綿肺や肺がん、中皮腫などといった疾患の原因と言われており、身体の痛みや呼吸機能の低下、ふらつきはもちろん、最悪の場合は死にもつながりかねません。


アスベストの有害性は、繊維が細くて長いほど増すと言われており、実際にWHOの報告書には、クロシドライトはクリソタイルに比べ500倍の発がん性が、アモサイトはクリソタイルに比べ100倍の発がん性があると記載されています。


また、基本的には量が多いほどリスクが上がるとされていますが、少量でも長時間さらされ続けるとリスクが上がるという見方もあり、量とリスクの相関関係については未だはっきりとは明らかになっていません。

ばく露の経路としては、近隣のアスベスト鉱山・工場が原因となる近隣ばくろ、仕事が原因となる職業ばく露の他、職業ばく露した家族の服などが原因となる家庭内ばく露が知られています。

アスベストの人体への影響

世界保健機関(WHO)や国際がん研究機関(IARC)は、アスベストが石綿肺や肺がん、中皮腫などといった疾患の原因となりうることを発表しています。それぞれの疾患の定義や特徴、アスベストとの関連性を見てみましょう。

◇石綿肺

肺が線維化する肺線維症(じん肺)のうち、特にアスベストを原因とするものを指します。慢性的な咳や痰、息切れなどの症状が現れるのはもちろん、重症化すると呼吸機能の低下や死にもつながりかねません。肺がんや肺結核、気管支拡張症、気胸、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの合併症がみられることがあります。


仕事で10年以上アスベストにばく露してきた方に多く見られ、15~20年程度の潜伏期間を経て、既にアスベストと関りがなくなってから発症することもあります。

◇肺がん

肺にできる悪性腫瘍を指します。慢性的な咳や痰、血痰、息切れ、動悸、胸の痛み、発熱はもちろん、脳や骨に転移すると頭や背中、肩の痛み、ふらつきなどの症状が現れます。
アスベストがなぜ肺がんを引き起こすのかは、未だはっきりとは明らかになっていません。

現在のところは、肺細胞に取りこまれたアスベストの繊維が物理的刺激により肺がんを誘発し、15~40年程度の潜伏期間を経て表出すると考えられています。また、多くのアスベストを吸うほどリスクが上がるとされており、アスベストにばく露すると罹患確率が約5倍になるともいわれています。

◇中皮腫

肺を囲む胸膜、肝臓や胃を囲む腹膜、心臓を囲む心膜などにできる悪性の腫瘍であり、悪性中皮腫とも呼ばれます。咳や胸の痛み、胸水による呼吸困難や胸部圧迫感などの他、発熱や体重減少といった症状が現れることもあります。


20~50年と潜伏期間が非常に長く、20年以下での発症例はこれまでほとんどありません。若い内にばく露するほど罹患しやすく、進行が速いといわれています。

健康被害を防ぐ!アスベストに対する法規制

アスベストの毒性が知られるようになるにつれ、1975年には原則禁止、2006年には0.1%超を超えるものの製造・使用が全面禁止と、法律による規制が進められてきました。現在でも、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、さまざまな面からの規制がかけられています。

しかし、規制が進んだからといって、過去にアスベストが使用されたものが無くなるわけではありません。特に吹き付けアスベストは、劣化すると飛散するリスクが高く、現状の適切な調査やそれに基づいた対処が求められています。

◇調査

現在は、建築基準法や宅地建物取引業法、不動産鑑定評価基準など多くの法律によって、不動産取引時、日常使用期間、解体・改修時いずれかの過程において、必ずアスベスト調査が入るように仕組み化されています。

また、2023年10月以降は、厚生労働大臣が指定した講習を受け、考査をクリアした「建築物石綿含有建材調査者」のみが、アスベスト調査を行えるようになりました。

◇アスベスト対策について

調査においてアスベストが明らかになった場合は、以下のいずれかの方法にて早急な対策が求められます。

除去工事

アスベストを除去する工事であり、これを行えば、解体・改修時、災害での倒壊時に、アスベストが飛散するリスクが無くなります。

封じ込め工法

薬剤や造膜剤でアスベストを封じ込める工事であり、除去工事よりも安い価格で、飛散を防止する効果が得られます。ただし、解体・改修時には、あらためて除去工事をしなければなりません。

囲い込み工法

板などでアスベストを覆う工事であり、除去工事よりも安い価格で、飛散や損傷を防止する効果が得られます。封じ込め工法と同じく、解体・改修時には、あらためて除去工事をしなければなりません。


アスベストは、クリソタイルやアモサイトなどの天然繊維状鉱物で、熱や摩擦に強い特性から建築材料や産業機械に広く使用されてきました。

しかし、その有害性が明らかになり、特に飛散しやすい「吹きつけアスベスト」は解体時や風の影響で周囲に拡散し、人体に吸い込まれることで石綿肺や肺がん、中皮腫などの健康被害を引き起こすリスクがあります。

現在ではアスベストの使用が法律で厳しく制限されており、調査や除去工事などの対策が義務付けられていますが、過去に使用されたアスベストの適切な管理と処理が引き続き求められています。

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