毎日、家庭や工場から出るゴミや廃棄物は、廃棄物処理施設で適切に処理されています。その中には、産業廃棄物と呼ばれるものも含まれます。これらの産業廃棄物の種類は多岐に渡り、中には毒性を持つものや爆発の可能性があるものも存在します。
これらの廃棄物は特殊な処理が必要であり、その一部はJX金属苫小牧ケミカル株式会社によって適切に処理されています。こちらの記事では、JX金属苫小牧ケミカルの事業内容について詳しくご紹介します。
目次
jx金属苫小牧ケミカルとは
JX金属苫小牧ケミカル株式会社は、北海道苫小牧市に拠点を置く産業廃棄物処理業者であり、産業廃棄物事業、リサイクル事業、硫酸関連事業を展開しています。
産業廃棄物事業
同社は硫酸製造と微量有価金属回収事業で磨き上げた技術を活用し、一般的な産業廃棄物から特別管理産業廃棄物まで、幅広い種類の廃棄物を適切に処理しています。その技術力と設備は、北海道内においては最高水準とされています。
リサイクル事業
OA機器、携帯電話、リチウムイオン電池などの電子機器に含まれる貴金属や有価物質をリサイクルし、再利用可能な資源として利用します。
硫酸関連事業
硫酸の製造から輸送まで一貫して手がけています。専用のタンクローリーと貨物輸送車を活用し、北海道内に硫酸を運んでいます。また、北海道外への硫酸輸送は苫小牧港からタンカーを利用して行っています。同社が保有する硫酸タンクは27,000トンの貯蔵能力を有し、これは国内でもトップクラスの規模です。
金属リサイクルは何故必要なのか、金属リサイクルのメリットとは
金属は様々な製品に使われており、有限の資源です。限られた資源の金属は可能な限りリサイクルします。
金属リサイクルのメリットとは
鉄やアルミなどの金属は限りある資源です。リサイクルして資源を大切にすれば地球を守ることになり、削る鉱山を減らし環境保護にも繋がります。またゴミを減らし、焼却や埋め立てる金属を少なくすることにも繋がります。また天然資源が少ない日本にとって、リサイクルすればそれだけ使える資源を増やします。
鉱山から金属を取り除くときは、不純物が多いために精製に多くのエネルギーを使います。しかしリサイクルする金属は、すでに不純物が取り除かれているので、不純物除去の必要がありません。それだけエネルギーを節約できます。
プラスチックや紙とは違い、金属はリサイクルしても劣化しません。金属をリサイクルすると、鉱山から取り出す金属と同じ品質を保てます。
リチウム電池リサイクルの難しさと利点とは?
リチウム電池は乾電池のような小さい電池から、EVや蓄電に使われる大型の電池まであります。中でも大型のリチウム電池はリサイクルが難しく、確立されたリサイクル方法がまだありません。
解体作業が難しい
EVに使われるようなリチウム電池は、メーカーによってサイズが違い形がバラバラです。また外装が頑丈に作られており解体しにくく、発火の危険もつきます。これらの要因で解体しにくくなっています。
品質とコストのバランス
リサイクルするには、小型のリチウム電池と同じく焼却、酸溶解、溶媒抽出処理という過程を経て電池に含まれる金属を回収します。ただし回収するコストと、リサイクルできた金属の品質を考えると、採算性が悪いのも課題です。
ニッケル、コバルト、銅を取り出しますが、自動車メーカーは電池に含むコバルトの量を減らす方針です。そして電池材料として求められる金属品質の水準が高いことも、リサイクルを難しくしています。
さらに必要な処理設備への投資やリサイクル手法の開発のコストと、リサイクルした金属の価格を踏まえると、リサイクル事業の採算性が不透明です。コバルトやニッケルなどのレアメタルは価値がありますが、価格は変動しやすいです。また正極活物質としてリン酸鉄リチウムを使うリチウム電池が増えており、リン酸鉄リチウムの原料は鉄であり、リチウム電池製造を安価にしていますが、リサイクルという点では採算性を下げています。
jx金属苫小牧ケミカルが行うリサイクル事業
jx金属苫小牧ケミカルのリサイクル事業では、鉄、銅、コバルト、金や銀などの貴金属などをリサイクルし資源として取り出しています。リサイクル元となる製品は、パソコンやコピー機などのOA機器、リチウムイオン電池で、これらから金属を取り出します。また電子機器部品や通信線、基板などから貴金属を取り出します。
金属を取り出すときは、OA機器を最初に手で解体します。選別後に粉砕や焼却の過程を経てリサイクルされます。リチウムイオン電池は、焼却、粉砕、選別後に金属を取り出します。貴金属も焼却、粉砕、選別して製錬所に送りリサイクルします。金属スクラップは月間200tの処理能力があり、金は月間40kgをリサイクルで取り出します。
JX金属苫小牧ケミカルが展開する事業は、産業廃棄物事業、リサイクル事業、硫酸関連事業の3つです。産業廃棄物事業では、有害な廃棄物の処理を含む、北海道内最高水準の設備での処理を提供しています。リサイクル事業では、金属および非金属の再利用に取り組んでいます。そして硫酸関連事業では、硫酸の製造から輸送まで一貫して手がけ、北海道だけでなく北海道外への硫酸輸送も行っています。