PCB産業廃棄物の種類と代表的なポリ塩化ビフェニル使用製品 | PCB処理完全攻略ガイド

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PCB産業廃棄物の種類と代表的なポリ塩化ビフェニル使用製品

公開：2023.12.21　更新：2023.12.28

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、かつて幅広い産業分野で広く使用されていた化学物質です。その優れた電気的特性や絶縁性能から、様々な電気機器や工業製品に利用されました。しかし、PCBが環境への悪影響と健康へのリスクを抱えていることが明らかになり、今日ではPCB廃棄物の適切な管理が厳格に求められています。この記事では、PCB産業廃棄物の主要な種類と、かつてPCBが使用されていた代表的な製品について詳しく探求します。

3種類のPCB産業廃棄物と代表的な使用製品

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、かつて多くの産業用途で用いられました。しかし、毒性や環境への悪影響が明らかになり、今日では廃棄物として厳しく管理されています。ここでは、PCB廃棄物の3つ分類と、それらが使用されていた代表的な使用製品などについて、詳しく説明します。

◇PCB産業廃棄物は3つに分類される

PCB産業廃棄物のカテゴリーは、主に以下の3つです。

廃PCB等（廃PCB及びPCBを含む廃油）

廃PCB等には、電気機器などに使用されたPCBを含む変圧器、コンデンサー、リアクトル、およびPCBを含む絶縁油や熱媒体が含まれます。PCBの含有量が0.5 mg/kgを超えるものが廃PCB等に該当します。

PCB汚染物

PCB汚染物には、PCBが塗布されたり、付着したり、封入されたりした物質が含まれます。これには廃感圧複写紙、PCBが付着した布や容器、PCBに汚染された汚泥などが含まれます。PCBの含有量に応じて分類され、泥状や固形状のものがこれに該当します。一般的には、PCB含有量が一定の基準を超える場合にPCB汚染物として扱われます。

PCB処理物

PCB処理物は、廃PCB等やPCB汚染物を処理するために生成された廃棄物で、特定の基準に満たないものがこれに該当します。廃PCB等やPCB汚染物を処理した際に、一定の基準を満たさない場合にPCB処理物として分類されます。たとえば、廃油中のPCBが0.5 mg/kgを超え、廃酸や廃アルカリ中のPCBが0.03 mg/リットルを超える場合が該当します。

◇PCB産業廃棄物が使用されている代表的な電気機器

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、電気機器の絶縁油として広く使用されていました。変圧器やコンデンサー、安定器などの機器に使われる絶縁油です。これらには、PCBが含まれている可能性があり、古い工場やビル、学校などに設置されていることがあります。

PCBは、熱媒体や潤滑油のほか、感圧複写紙（ノンカーボン紙）にも使用されていました。これらの電気機器や材料は、現在、PCB産業廃棄物として特別な処理が必要です。

◇濃度によって分類される

PCB産業廃棄物は、その濃度によって高濃度と低濃度の2つに分類されます。環境へのリスクを適切に管理し、適切な処理方法を選択するためです。なお、濃度が0.5mg/kg以下のものは、PCB廃棄物として扱われません。

高濃度PCB廃棄物

高濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が5,000mg/kg（0.5%）を超えるものとされます。特に危険性が高く、専門の処理施設での取り扱いが必要です。

低濃度PCB廃棄物

低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が5,000mg/kg以下で、0.5mg/kgを超えるものを指します。ただし、可燃性のPCB汚染物などは、100,000mg/kg以下で0.5mg/kgを超えるものも含まれます。

PCB産業廃棄物の濃度の判別方法

画像出典：フォトAC

かつて電気機器の絶縁油などに広く使用されていたポリ塩化ビフェニル（PCB）は、環境と健康への悪影響から、現在は使用を制限されています。PCB産業廃棄物の濃度を正確に判別するのは、極めて重要です。

濃度によって分類され、処理方法が異なります。環境と健康へのリスクを最小限に抑えるための、適切な処理方法です。これは、環境保護だけでなく、法的な要件を遵守する上でも欠かせません。

◇変圧器やコンデンサーは高濃度か低濃度かは銘板で確認できる

変圧器やコンデンサーに含まれるPCBの濃度は、主に機器に取り付けられた銘板で確認できます。製造年やメーカー情報が、PCB含有量の重要な手がかりなのです。ただし、正確に判断するためには、専門的な知識と経験を持つ電気保安技術者に確認してもらいます。特に古い電気機器の場合、正しい評価を得るのが重要です。

◇安定器も銘板で判断できる

蛍光灯などに使用される安定器も、銘板の情報によってPCB濃度を判断できます。安定器に貼付された銘板に記載されている、製造年やメーカー名により判断できるのです。各メーカーに直接問い合わせてもよいし、日本照明工業会などの関連団体のウェブサイトを参照すると、PCB含有の有無を確認できます。

◇汚染物等は環境省の測定方法を参照しよう

PCBが付着したり染み込んだりしている汚染物等は、含まれているPCBの濃度を正確に測定することが重要です。この測定方法は、環境省のウェブサイトに詳しく記載されています。測定には、特定の化学分析技術必要なので、専門の検査機関やラボに依頼するのが一般的です。測定結果が出たら、そのPCB廃棄物の分類に応じて、適切に処理します。

PCB産業廃棄物を処分しなければどうなる？

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、環境などへの悪影響から現在は使用禁止ですが、過去に製造されたPCBを含む産業廃棄物が今も存在します。PCB産業廃棄物の適切な処理は、環境保護と公衆衛生のために極めて重要です。決められた処分期間を守らないと、重い責任と追加コストを負います。

期間が設定されている理由は、地域社会との約束や、環境リスクの早期低減です。全ての関係者は、PCB産業廃棄物の処分に、責任を持たなければなりません。

◇処分期間を過ぎて高濃度PCB産業廃棄物が発見された場合は自己保管

高濃度PCB産業廃棄物の処分は、法律により期間が定められています。処分期間を過ぎてから、高濃度PCB産業廃棄物が発見された場合、事業者は自己責任で保管しなければなりません。期間内に処理施設が満杯になってしまうことや、地域社会との約束を守ならければならないことが理由です。自己保管では、事業者が適切な保管方法や安全対策を取る責任を負い、それに伴うコストも自己負担となります。

◇処分期間が設けられている理由

PCB産業廃棄物の処理に関して、法律で処分期間が設けられているのには、以下のような理由があります。

処理施設に運営期限がある

PCB廃棄物を処理するための施設は、地域住民との合意の下に建設されました。これらの施設の条件は、一定の期間内に限って運営されることです。しかだって、期間が終了すると、施設は撤去されます。この取り決めは、地域住民に受け入れられるつめに必要でした。

早期の環境リスクの低減

処分期間を設定するのは、事業者に、高濃度PCB廃棄物の処理を促進するからです。これにより、早期に環境リスクを低減できます。

PCB（ポリ塩化ビフェニル）産業廃棄物には、廃PCB等、PCB汚染物、そしてPCB処理物の3つの主要なカテゴリーがあります。廃PCB等には、電気機器に含まれたPCBを含む変圧器、コンデンサー、リアクトル、絶縁油や熱媒体が含まれます。PCB汚染物には、PCBが付着したり封入されたりした物質が含まれ、PCB処理物はこれらの廃棄物を処理する過程で生成されるものです。これらの廃棄物は、濃度に応じて高濃度と低濃度に分類され、適切な処理が必要です。

PCBはかつて電気機器の絶縁油や潤滑油、感圧複写紙に広く使用されましたが、その毒性と環境への悪影響から現在は制限されています。古い電気機器や建物にはまだ存在し、これらの廃棄物は特別な処理が必要です。

PCB産業廃棄物の濃度判別は、銘板や専門的な知識を持つ技術者によって行われます。高濃度PCB廃棄物は特に危険で、専門の処理施設で取り扱われます。処分期間が設定されている理由は、適切な処理施設の運営期限や早期の環境リスク低減を確保するためです。

PCB産業廃棄物の適切な処理は、環境保護と公衆衛生のために非常に重要であり、期間内に処理しないと重大な責任と追加コストが発生します。高濃度PCB廃棄物は期間を過ぎても処理できない場合、自己保管が求められ、それには適切な保管方法とコスト負担が含まれます。