PCB使用安定器が発見されたら?処分と確認方法を事例と共に解説 | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB使用安定器が発見されたら?処分と確認方法を事例と共に解説
公開:2024.06.27 更新:2024.06.27PCB使用安定器が発見された場合、その処分と確認方法について理解することが重要です。PCBは健康への影響が懸念され、特定期間内に適切に処理されなければなりません。安定器の銘板情報や製造年月を基にPCBの有無を確認し、必要に応じて専門業者に相談することが推奨されます。
目次
かつて蛍光灯に使用されていたPCB
蛍光灯は長い間、オフィスや家庭の照明として広く使用されてきました。しかし、その歴史の中で、蛍光灯の安定器にはポリ塩化ビフェニル(PCB)という化学物質が使用されていた時期がありました。
◇PCB使用照明器具とは
PCB使用照明器具とは、安定器に力率改善を目的にPCB(ポリ塩化ビフェニル)入りの安定器(コンデンサ)を使用した照明器具です。1957年(昭和32年)1月〜1972年(昭和47年)8月までに製造された蛍光灯器具・水銀灯器具・低圧ナトリウム器具に使用されています。
PCBが含有している器具なのかは力率で確認でき、85%以上で尚且つ1957年1月〜1972年8月までに生産されたものはPCB入り安定器を使用している場合が多いです。そもそもPCBが何故使用されなくなったのか、分からない方もいるかもしれません。
PCBは1950年代にトランスの絶縁油として使用されていましたが、1968年(昭和43年)にカネミ油症事件が発生し、肝機能障害などさまざまな健康被害を引き起こしました。結果、製造・輸入が中止になり現在に至ります。
◇安定器について
安定器とは、蛍光灯などの電流・電圧を制御して安全・安定して利用できるようにする装置です。安定器にもいくつか種類があり、グロースタータ形・ラピットスタート形・インバータ形の3つに分けられます。それぞれの違いとしては以下のとおりです。
グロースタータ形
スイッチを入れるとグロースタータが放電を開始、電極が余熱され点灯します。安定器がコンパクトで尚且つ安価なタイプで、点灯するまでに時間がかかるのが特徴です。
ラピットスタート形
グロースタータを使用しない安定器で、フィラメント変圧器による電極加熱と導電性物質の塗布によりスイッチを入れるとすぐに点灯します。
インバータ形
現在、主流の安定器です。電子部品で構成されており、電源周波数を高周波に変換し点灯します。
PCBを含む安定器の見分け方
画像出典:環境省_ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト
上述した通り、PCBには危険性もあるため、使用する際や処分する際にはPCBを含む安定器なのか、慎重に見極める必要があります。ここでその見分け方について解説します。
◇銘板が確認出来る場合
銘板には重要な情報が記載されており、それに基づいてPCB(ポリ塩化ビフェニル)の有無を判断することができます。
銘板にはメーカー名が記載されています。メーカー名がわかる場合は、まずそのメーカーに問い合わせて、PCBが使用されているかどうか確認してください。もしメーカーが廃業しているなどの理由で問い合わせができない場合は、銘板に記載された情報から判断します。
例えば、銘板に「高力率」の記載がない場合、銘板に記載された電気特性から力率を計算して求める必要があります。また、製造年月が記載されていない場合もありますが、銘板に記載された情報を基に判断可能です。
さらに、銘板に三角逓番号(電気用品型式認可番号)が記載されている場合、この番号からPCBの有無を判断することができます。三角逓番号は「〒●●-」という形をしており、●●が10か61であることを確認します。
三角逓番号が4742以上の場合、その安定器は昭和47年9月以降に製造されたものであり、PCBは使用されていません。ただし、東芝や日立の関連会社製の一部には微量のPCBが混入している可能性があります。
一方、三角逓番号が1から4741までの場合、リストに記載されている安定器でコンデンサの別置きがないことが確認できれば、PCBは使用されていないと判断できます。
◇銘板が確認出来ない場合
銘板が確認出来ない場合、安定器が設置された建物の完成年や改修・交換した時期から判別することができます。
1977年3月以降に設置された安定器はPCBが使用されていないと考えられます。しかし、建物の完成年が不明の場合や銘板が読めない場合は、PCB使用の安定器として処理されるのが一般的です。
また、PCB使用か確認する手段として、X線撮影があります。安定器内部にコンデンサが見つからなければPCB不使用と判断できますが、コンデンサがあればPCB使用の可能性が高いです。
すでに処分期限は終了?PCBを含む安定器が見つかったら
PCB使用照明器具は、他の産業廃棄物のようにいつでも処分できるわけではありません。処分できる期限が設けられているため、処分する前に期限をしっかり確認しておくのが重要です。
◇安定器の処分期限
PCBが含まれている安定器を処分するには期限内に処分する必要があります。過去にPCBによる健康被害が出た事例もあるため、正しい方法で処分しなければなりません。安定器といってもPCBの濃度やエリアによっても期限が異なるため、注意が必要です。
高濃度のPCB入り安定器は2021年(令和3年)3月と2023年(令和5年)3月までと既に終了しています。低濃度の処理期限は、まだ余裕があり2027年(令和9年)3月までです。低濃度の安定器を所持している場合は、できるだけ早く処分しておくと忘れずに処分できます。今一度、PCBが含まれている器具を使用していないか確認するのがおすすめです。
◇処分期限後にPCB使用安定器が発見されたら?
PCBが高濃度の安定器は既に処分期間が過ぎてしまっていますが、後から見つかる場合も多く、これまでに期限が過ぎてからPCBが含まれる安定器が見つかった事例も多く報告されています。PCBが含まれている安定器は処分する期限が過ぎると原則処分できなくなってしまい、最悪罰せられる可能性があるため早めの処分が必要です。
しかし、高濃度PCB廃棄物の処理を行うJESCOの事業所の中で、継続して処理を行っている施設もあります。このことから、期限が過ぎてしまっていても対応してもらえる可能性があります。処分期限が過ぎてしまってから見つけた場合は、早急に自治体などに連絡して相談するのが重要です。
PCB使用安定器の処分は実績とノウハウをもつ業者に依頼
PCBが含まれる安定器を処分する際は厳重な処理が必要なため、莫大なコストがかかります。しかし、処分にかかるコストは少しでも削減したいものです。PCBが含まれている安定器を処分する際は、実績豊富で信頼できる業者に依頼すると安全に処分できます。
◇安定器の適切な仕分けと処理で処分費を削減
安定器を適切に仕分けし、分解することで、処分費を削減した事例をご紹介します。静岡県内の工場から依頼された蛍光灯安定器の仕分け作業では、安定器にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれているかを確認し、分解と分析を行いました。
仕分け作業の結果、コンデンサが外付けされている安定器が見つかりました。コンデンサ外付けタイプの安定器では、露出しているコンデンサ部分のみが高濃度PCBとして処分の対象となります。そこで、コンデンサと安定器本体を分解し、コンデンサ部分のみを高濃度PCBとして処理し、残りの安定器本体は分析後、低濃度PCBとして適切に処理しました。
これにより、処分費を大幅に削減することができました。具体例として、蛍光灯安定器本体が2.8kgの場合、0.3kgのコンデンサ部分を高濃度PCBとして処分し、残りの2.5kgの安定器本体を低濃度PCBとして処分しました。
◇高濃度・低濃度PCB共に対応可能
丸両自動車運送は、上述した事例を行った業者であり、これまでに蛍光灯の安定器仕分け作業を全国で約30万本行った実績がある会社です。高濃度・低濃度問わず処分でき、さらに対応エリアも限定されておらず、全国に対応しています。地方の企業でも依頼できるため、近場に相談できる業者がない場合や何から手をつけたらよいか分からない方でも相談できるため安心です。
蛍光灯の安定器にはかつてPCB(ポリ塩化ビフェニル)が使用され、その処分には特別な注意が必要です。PCBは健康被害が問題視され、1972年以降の製造で使用が禁止されました。
安定器にはグロースタータ形、ラピットスタート形、インバータ形の3種類があり、特に昭和32年から47年にかけての製造品にはPCB入りの可能性が高いです。PCBの有無は銘板情報や電気特性から判断可能で、処分期限にも注意が必要です。
適切な仕分けと処理を行うことで、処分費を効果的に削減する事例もあります。地域を問わず全国対応の業者に相談することで、安全かつ経済的にPCB含有安定器を処分できます。
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