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水銀廃棄物の適正処理を目指して!改定のポイントと変更点 | PCB処理 完全攻略ガイド

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水銀廃棄物の適正処理を目指して!改定のポイントと変更点

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公開:2024.10.30 更新:2024.10.30

水銀血圧計

水銀廃棄物は、適切に処理されないと自然環境に放出され、食物連鎖を通じて人々の健康に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。このため、国際的な規制が強化され、日本でも水俣条約に基づいて廃棄物処理法が改定されました。

今回の改定では、水銀廃棄物の処理方法がさらに厳格化され、産業廃棄物や使用済み製品の管理基準が細分化されています。こちらでは、改定の主なポイントと変更点を詳しく解説し、適正な処理の重要性に迫ります。

水銀廃棄物の種類と廃棄物の違い

水銀は、その特性からさまざまな製品に利用されてきましたが、環境や健康に重大な影響を及ぼすことから、廃棄時には特別な処理が必要です。水銀廃棄物の処理には廃棄物処理法に基づく厳しい基準が設けられており、適切な処理が義務づけられています。この章では、水銀廃棄物の種類やそれぞれの基準について詳しく解説します。

◇水銀廃棄物とは

水銀廃棄物は、水銀または水銀化合物を含む廃棄物のことであり、産業廃棄物として扱われることが多いです。これにはPCB(ポリ塩化ビフェニル)など他の有害廃棄物と同様、厳重な管理が必要です。

水銀は工業製品や家庭用製品に使用されることがあり、これらが使用済みとなった際に排出される廃棄物が水銀廃棄物に該当します。水銀は自然界に放出されると大気や水を汚染し、微生物によって有害なメチル水銀に変化することで、食物連鎖を通じて魚介類などに蓄積され、人間にまで影響を及ぼすリスクがあるため、特別な管理が必要です。

水銀廃棄物は、製造業で使用される水銀や水銀化合物を含むもの、製品として使用される水銀使用製品の廃棄時に発生するものなど、多岐にわたります。これらの廃棄物は、その水銀濃度や発生源に応じて異なる基準で管理され、適切な処理が行われなければなりません。

◇水銀廃棄物の種類と基準

水銀廃棄物は、大きく分けて「廃水銀等」「水銀含有ばいじん等」「水銀使用製品」の3つに分類されます。これらの分類に基づき、処理方法や管理基準が異なるため、適切な知識を持つことが重要です。

「廃水銀等」は、水銀そのものや水銀化合物を含む廃棄物であり、特に高濃度の水銀を含むものが該当します。例えば、使用済みの水銀温度計や血圧計などの医療機器が廃棄される際、廃水銀等として適切な処理が必要です。これらは、高濃度の水銀を含むため、特別管理産業廃棄物として分類され、専門の業者によって厳重な処理が行われます。

次に、「水銀含有ばいじん等」は、水銀を含む廃棄物の一種で、その処理に厳しい基準があります。ばいじん、燃え殻、汚泥、鉱さいの場合、水銀含有量が15mg/kgを超えるものは、規制対象となります。廃酸や廃アルカリについては、水銀含有量が15mg/Lを超えると同様に規制されます。

これらの廃棄物は、水銀回収が必要な場合もあり、特に水銀含有量が1,000mg/kgまたは1,000mg/Lを超える場合は、回収処理が義務付けられます。ただし、特別管理産業廃棄物に該当するものは、この水銀含有ばいじん等の規制に該当しません。


最後に、「水銀使用製品」とは、水銀を含む製品が使用済みとなった際に発生する廃棄物です。これには、電池や蛍光灯、計測器などが含まれ、これらは廃棄される際に専門の回収業者によって適切にリサイクルされるか、安全に処分されなければなりません。

◇3つの廃棄物の違い

水銀廃棄物は、その性質に応じて「産業廃棄物」「特別管理一般廃棄物」「特別管理産業廃棄物」の3つに分類されます。それぞれの違いを理解することは、正しい廃棄方法を選択するために重要です。

産業廃棄物

産業廃棄物は、工場や建設現場などの事業活動に伴って発生する廃棄物です。水銀やその化合物を含む場合もありますが、有害性がそれほど高くない場合は一般的な産業廃棄物として扱われます。

特別管理一般廃棄物

「特別管理一般廃棄物」は、主に家庭から発生する有害性の高い廃棄物です。家庭や一般の事業活動で使用された水銀製品(例:水銀温度計、蛍光灯など)が廃棄された際、これらは特別管理一般廃棄物に分類されます。

特別管理産業廃棄物

「特別管理産業廃棄物」は、特に有害性の高い産業廃棄物を指します。水銀やアルキル水銀化合物などの有害物質を多く含む廃棄物は、このカテゴリに分類されます。例えば、工場で使用された水銀や水銀含有製品が廃棄物となった場合、それが特定の施設(焼却施設など)で処理される際に生じた廃水銀や、ばいじん、汚泥などは「特定有害産業廃棄物」として分類され、さらに厳しい基準で処理される必要があります。

特に、廃酸・廃アルカリや、鉱さい、ばいじん、汚泥などは水銀含有量が基準を超えた場合、処理や水銀回収が義務付けられます。具体的には、溶出量が0.005mg/L以下、含有量が0.05mg/L以下でないと安全基準を満たさず、特定有害廃棄物として扱われます。

廃棄物処理法改定のきっかけとなった水俣条約

水俣病慰霊の碑

画像出典:フォトAC

2017年に日本で施行された廃棄物処理法の改定は、水銀に関する国際的な取り組みの一環である水俣条約の影響を受けています。水俣条約は、地球規模での水銀による汚染を防ぐために制定された国際条約であり、日本ではこれに基づいて国内の廃棄物処理法が改定されました。水俣条約の背景と廃棄物処理法改定の内容について詳しく解説します。

◇水俣条約とは

水俣条約は、2013年に国際的に採択され、水銀の採掘、輸出入、使用、排出、廃棄に関する管理を強化することを目的としています。この条約は、1950年代に発生した水俣病の経験から、水銀による環境汚染と健康被害の防止が急務とされたことが背景にあります。

水俣病は、熊本県水俣市で工場からの有機水銀が海に流出し、魚介類を通じて住民に深刻な被害をもたらした公害病です。この痛ましい経験を踏まえ、水銀の利用を世界的に規制することを目的として水俣条約が制定されました。

水俣条約の目的は、水銀の生産から使用、廃棄までのすべての過程において適切な管理を行い、地球規模での水銀排出を削減することです。特に、開発途上国における水銀使用の削減や、金採掘における水銀の使用禁止などが条約の主要な内容となっています。日本もこの条約に署名し、国内法の整備を進めることで、国際的な取り組みに貢献しています。

◇廃棄物処理法改定の背景

廃棄物処理法の改正は、水俣条約の目的を実現するために行われました。条約の第11条では、水銀廃棄物が適正に管理されるよう、締約国に対し適切な措置を講じることが求められています。

日本では、この条約に基づき、中央環境審議会から「水銀廃棄物対策」の答申が行われました。この答申をもとに、2015年11月に廃棄物処理法施行令が改正され、水銀廃棄物の処理方法がより厳格に規制されることになりました。

さらに、2017年にも追加の改正が行われ、水銀廃棄物の処理方法が細分化され、より環境に配慮した適正処理が求められています。この改正の背景には、水銀による環境汚染と健康被害を防ぐため、国際的な基準に合わせて日本国内でも水銀廃棄物の管理を強化する必要があったことが挙げられます。

改定で変更になった水銀廃棄物の廃棄

廃棄物処理法の改定により、水銀廃棄物の処理に関して大きな変更が加えられました。廃水銀等や水銀含有ばいじん等の分類が明確化され、それぞれに適した処理方法が定められています。

◇改定の変更点

改定により、特に水銀使用製品産業廃棄物の廃棄に関する規制が強化されました。これまで水銀を含む製品は、通常の廃棄物として処理されていたケースが多かったですが、改定後はこれらの製品が厳格に管理され、適切な処理が求められるようになりました。

また、廃水銀等や水銀含有ばいじん等に関しても、処理基準が見直され、安全な処分が可能となるよう新しいガイドラインが策定されました。これにより、廃棄物の管理体制が強化され、不法投棄や違法な処理が防止されるよう、監視体制も強化されています。

◇水銀使用製品産業廃棄物の廃棄

水銀使用製品産業廃棄物とは、電池や蛍光灯、計測器など、水銀を含む製品が廃棄された際に発生する廃棄物です。これらの製品は、廃棄時に専門の回収業者によって適切にリサイクルされるか、安全に処分される必要があります。

廃棄物処理法の改定により、これらの製品を不法に廃棄した場合、罰則が科せられることが明確化され、環境への影響を最小限に抑えるための取り組みが進められています。

◇廃水銀等の廃棄

廃水銀等は、特別管理産業廃棄物として分類され、廃棄には許可を受けた専門業者の関与が必要です。特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、廃棄物の排出や処理を適切に監視する体制が義務づけられています。これにより、不適切な処理や管理不足による環境汚染を防ぐための仕組みが強化されました。


水銀廃棄物は、水銀やその化合物を含む廃棄物で、環境や健康に深刻な影響を与えるため、適切な処理が義務づけられています。これには「廃水銀等」「水銀含有ばいじん等」「水銀使用製品」の3つに分類され、それぞれに厳しい基準が設けられています。

特に水銀含有量が高い廃棄物は、特別管理産業廃棄物として扱われ、専門業者による処理が求められます。2017年には、水俣条約を受けて廃棄物処理法が改正され、水銀廃棄物の適正な処理が強化されました。

この改正により、水銀使用製品や産業廃棄物の処理基準が細分化され、厳格な管理が進められています。

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