汚染土壌は、重金属や有機化合物などの有害物質により汚染された土壌のことを指し、周辺環境や人々の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。土壌汚染対策法では、特定有害物質が基準値を超えると土壌汚染とみなされ、調査や対策が必要になります。
特に、特定施設の廃止や土地の大規模な変更時、または健康被害が懸念される場合には、法に基づく調査が義務付けられます。PCB汚染に関しても、一定の条件下で調査が必要となります。
目次
汚染土壌の特徴と環境への影響

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汚染土壌の適切な管理と処理は、環境保全と人々の健康を守るために非常に重要です。汚染された土壌は、農作物や地下水にも影響を与えるため、早期の対策と適切な処理が求められます。
◇汚染土壌とは?

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汚染土壌とは、有害物質によって汚染された土壌のことを指します。汚染が発生する主な原因として、工場の操業や工事の際に、有害な物質が不適切に取り扱われて排出され、地下に浸透することが挙げられます。
具体的には、重金属や有機溶剤、農薬など、自然環境や人々の生活・健康に悪影響を及ぼす物質が、排水や地表から浸透して土壌に蓄積します。これらの有害物質が蓄積することで、周囲の環境や地下水に影響を与え、健康被害や環境汚染のリスクを高める可能性があります。
特に、工場や建設現場から発生する汚染土壌は、土壌環境基準値を超える有害物質を含むことが多いため、通常の産業廃棄物としての処理が困難です。このため、汚染された土壌は汚泥として特別な処理が必要となり、適切な処理が行われない場合、さらなる環境問題を引き起こす恐れがあります。
◇過去に起きた汚染土壌による問題

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汚染土壌や産業排水による深刻な環境破壊と健康被害は、日本の近代化過程の裏側に隠された重要な教訓です。
ここでは、かつて日本国内で起きた代表的な土壌・水質汚染による被害、足尾銅山鉱毒事件(栃木県足尾町)、イタイイタイ病(富山県神通川流域)、水俣病(熊本県水俣市)を取り上げ、それぞれの発生背景・被害の状況・特徴を整理します。
これら3つの事例に共通してみられるのは、以下の点です。
- ①産業活動による有害物質の環境への排出
- ②その排出物が土壌・水質・生態系を通じて人間の生活環境に侵入したこと
- ③被害住民の救済・補償・環境修復に長い時間を要したこと
日本の公害問題を振り返るうえで、これらの教訓は今後の持続可能な社会構築にとって、非常に貴重なものとなっています。
足尾銅山鉱毒事件(栃木県足尾町)
まず「足尾銅山鉱毒事件」は、明治時代中期以降、栃木県日光市足尾町(かつての足尾町)で起きた、日本における最初期の公害問題のひとつです。
この事件の背景には、銅山の近代化・大規模化がありました。山の伐採や製錬所からの排煙・鉱毒水が山林や川に流出し、山地の保水力を奪うとともに、有害金属を含む鉱毒水や土砂が渡良瀬川を通じて下流の農地・集落に流れ込んでいきました。
被害としては、魚の激減、田畑の完全な収量喪失、山林の荒廃・裸山化、さらには洪水被害の拡大という多重の環境破壊が起きました。たとえば、被害農地面積は3万4千町歩/侵水戸数1万8千戸に上ったという記録もあります。政治的にも大きな波紋を呼び、田中正造が議会で取り上げるなど、政府・産業界・被害住民の構図が初めて明確になったとも言われています。
このように、足尾銅山鉱毒事件は土壌・水質・山林という“地形”を含む環境全体が汚染された例であり、その後の公害対策・環境政策の出発点とも位置づけられています。
イタイイタイ病(富山県神通川流域)
続いて「イタイイタイ病」は、主に富山県の神通川流域で発生した、重金属による慢性中毒を原因とする公害病です。
具体的には、岐阜県飛騨市の鉱山(三井金属鉱業神岡鉱業所)から排出されたカドミウムが、神通川およびその流域の農地・水系を汚染。そこから米や野菜にカドミウムが濃縮され、地域住民の体内に蓄積していったものです。
症状としては、腎機能障害・骨軟化症が典型的で、骨が脆く折れやすくなることで「痛い、痛い」と泣くことから病名がついたとされています。発症者の多くは女性で、特に出産経験のある中年期の女性が多かったという特徴もあります。1968年には厚生省が「カドミウムの慢性中毒によるもの」との見解を示し、1969年には指定地域・指定疾病として制度的に認められました。
この事件も、流域全体の土壌・水の汚染が住民の健康へ大きな影響を及ぼした典型であり、環境・健康・産業が交錯する問題として、日本の公害問題を象徴しています。
水俣病(熊本県水俣市)
最後に「水俣病」は、1956年(昭和31年)に熊本県水俣市で初めて確認された、日本を代表する公害病のひとつです。
原因は、新日本窒素肥料株式会社(後のチッソ株式会社)水俣工場から海に排出された有機水銀化合物で、魚介類に蓄積され、それを食べた住民に神経系疾患が発生しました。主な症状は、感覚麻痺、運動失調、視野狭窄、聴力障害など多岐にわたり、胎児性の発症例もあるなど、その破壊力は甚大でした。
この病害が引き起こした環境・社会への影響は根深く、汚染された地域社会の生活だけでなく、漁業・生業・地域文化までも揺るがしたものでした。現在も被害者・その家族による訴訟や救済が続いており、完全な解決には至っていません。
水俣病は、汚染物質が食物連鎖を通じて人体に入り込み、地域・世代を超えて健康被害を拡げるというモデルケースとなり、環境政策・公害対策・人権問題の観点から今もなお学びの被験地となっています。
その他
1980年代にはトリクロロエチレンなどの有機溶媒による地下水汚染が社会問題となり、水質汚濁防止法の改正が行われるきっかけとなりました。環境庁は1991年に「土壌の汚染に係る環境基準」を定め、調査や除去のガイドラインを作成し、土壌汚染対策を推進しました。
21世紀に入ると、大型マンションやショッピングセンターの再開発に伴い、土壌汚染への社会的な関心が高まり、これを背景に2002年に土壌汚染対策法が制定されました。その後、2017年に土壌汚染対策法が改正され、2018年と2019年に二段階で新たな法律が施行されました。
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汚染土壌の処分に関する法律

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汚染土壌の処分に関しては、主に「土壌汚染対策法」が適用されます。土壌汚染対策法は、再開発に伴う土壌汚染の状況を把握し、人の健康被害を防ぐための措置を定めた法律です。
◇土壌汚染対策法

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土壌汚染対策法は、2003年に施行されました。この法律は、汚染の発生を未然に防ぐ水質汚濁防止法とは異なり、既に発生した土壌汚染への対応に重点を置いています。
ただし、廃棄物処理法では、土壌は廃棄物とはみなされません。たとえ特定の有害物質が基準値を超えて含まれていても、土壌は「汚泥」とはされません。土壌が「汚泥」と定義されるのは、掘削などで排出され、泥状になった場合に限られます。
この廃棄物処理法は、廃棄物の処理に関する規則や罰則を詳細に規定しており、産業廃棄物に関わる事業者はこの法律に従って事業を進める必要があります。
◇土壌汚染対策法が制定された背景と目的
土壌汚染対策法が制定された背景には、近年、企業の工場跡地や工業地帯の再開発が進む中で、重金属や揮発性有機化合物などによる土壌汚染が次々と明らかになってきたことがあります。
特に、近年は汚染事例の発見件数が著しく増加しており、新たに判明した土壌汚染の事例が継続的に高い水準で推移していることが問題となっています。こうした状況から、土壌汚染への対応が社会的な課題となり、その対策を強化するためにこの法律が制定されました。
この法律は、土壌汚染に対する事後対策を主な目的としています。具体的には、土壌汚染に関する基準の制定や、有害物質が基準を超えて検出された場合にどのように対応すべきかを詳細に定めています。
例えば、汚染土壌の除去や改善措置についても具体的な手順が示されており、これにより土壌汚染による人の健康被害を防ぐための枠組みが確立されました。このように、土壌汚染対策法は、環境と人々の健康を守るために重要な役割を果たしています。
汚染土壌の種類と基準値

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汚染土壌の種類や基準値を理解することは、土地の安全な活用や適切な管理を考えるうえで非常に重要です。日本においては、土壌汚染対策法に基づき、複数の「特定有害物質」や「ダイオキシン類」、また「油分(油汚染)」といった区分それぞれに対して基準値や指針が設けられています。
第1種特定有害物質
「第1種特定有害物質」とは、主に揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を指し、土壌や地下水を通じて人の健康に影響を及ぼしうるものとして定められています。具体的な物質としては、例えば四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、ベンゼンなどが挙げられています。
この区分の基準値については、「土壌溶出量基準(mg/L)」および「地下水基準(mg/L)」が主に設けられており、土壌含有量基準を設けていない物質も多くあります。例えば、四塩化炭素は土壌溶出量基準として0.002mg/L以下が定められています。また、1,2-ジクロロエタンでは0.004mg/L以下が溶出基準です。
また、さらに厳しい「第二溶出量基準」という分類もあり、たとえば同じ物質で“0.02mg/L以下”という値がこの第二溶出量基準として示されているケースがあります。
このように、第1種特定有害物質は揮発性が高く、地下水や土壌ガスを通じた人体暴露リスクが重視されるため、基準値も非常に低く設定されているのが特徴です。
第2種特定有害物質
「第2種特定有害物質」には、重金属やシアン化合物など比較的安定性の高い有害物質群が含まれます。代表的なものには、カドミウム・鉛・砒素・六価クロム化合物・水銀・セレンなどがあり、これらは主に土壌中に含有されることでリスクが生じる可能性があります。
第2種の基準値には「土壌含有量基準(mg/kg)」「土壌溶出量基準(mg/L)」「地下水基準(mg/L)」という三つの観点が設けられており、土地を利用する際の安全性評価に用いられます。例えば、カドミウム及びその化合物の場合、土壌溶出量基準は0.003mg/L以下、土壌含有量基準は45mg/kg以下という値が示されています。また、鉛及びその化合物では、土壌溶出量基準が0.01mg/L以下、土壌含有量基準が150mg/kg以下という例があります。
このように、第2種特定有害物質の基準値は第1種に比べると“数値として比較的大きめ”に設定されているものの、人体や環境に及ぼす影響を十分に考慮した厳しい数値であることに変わりはありません。
第3種特定有害物質
「第3種特定有害物質」に分類されるのは、主に農薬類や過去に産業用途で使われていた化学物質(例:シマジン、チウラム、チオベンカルブ、PCB、有機りん化合物など)です。
これらの物質は土壌中に残留し、長期的に環境や健康に影響を及ぼす恐れがあります。基準値としては、土壌溶出量基準が設定されているものが多く、「土壌含有量基準」を設けていない項目もあります。例えばシマジンでは土壌溶出量基準として0.003mg/L以下が定められています。
また、チウラムでは0.006mg/L以下といった値があります。このほか、有機りん化合物やPCBについては、「検出されないこと」という基準が設けられており、事実上「不検出」が求められるケースもあります。
第3種の重要な点は、農地や住宅地対応など、土地の用途に応じて調査や対策が求められること、そして“過去使用された”化学物質であるため新たな流出ではなく「既存汚染」に起因するケースが多いことです。
ダイオキシン類
「ダイオキシン類」は、ダイオキシン対策特別措置法に基づき、土壌汚染対策法とは別枠で基準が定められています。土壌中では主として“ダイオキシン類を含有する土壌(ダイオキシン類不適合土壌)”として扱われ、“ng-TEQ/g”という単位が用いられています。例えば、土壌含有量基準として1,000pg-TEQ/g以下が目安として挙げられ、さらに250pg-TEQ/g以上の場合は要調査となるケースもあります。
ダイオキシン類の特徴として、非常に微量ながらも人体や生態系に重大な影響を及ぼすため、基準も極めて厳しいものとなっています。土壌汚染の発見・処理においては、細粒分土壌の濃縮や分離、熱処理など専門的な対応が求められます。
また、ダイオキシン類は含有量基準だけでなく、汚染土壌処理に関する優先順位や分級、処理方法が定められており、対策が複雑化している点も理解しておくべきです。
油分
最後に「油分(油汚染土壌)」ですが、こちらは前述の「特定有害物質」の区分には含まれておらず、法律上明確な数値基準が定められていないケースが多いという特徴があります。例えば、油汚染対策ガイドラインでは“油臭”や“油膜”が残っておらず、生活環境上支障がないことを基準とする旨が記されています。
業界での目安として、「油の含有量1,000mg/kg以下」や「TPH(Total Petroleum Hydrocarbon)による濃度評価を用いて油臭・油膜が認められなければ問題なし」という考え方も紹介されています。つまり、油分汚染については物質の種類・使用履歴・土地用途・地下水との関係などが大きく影響するため、数値基準ではなく“実使用状況に応じた指針”として扱われている点が重要です。
さらに、油分汚染土壌の浄化にあたっては、ノルマルヘキサン抽出試験・TPH試験・油臭・油膜の感覚検査など複数の手法が併用されています。
このように、油分に関しては「基準値」というよりも“どのような油の種類・濃度・環境条件か”を総合的に評価して対策を考える必要があります。
◇汚染土壌の基準値に対する考え方

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土壌環境基準とは、環境省が「人の健康を保護し、生活環境を守るために維持すべき基準」として定めたものです。この基準は、土壌中の有害物質ごとに最大許容濃度を規定し、土壌汚染の判断や、汚染土壌を改善する際の目標値となります。
基準設定には、土壌の「水質を浄化し、地下水を養う機能」と、農用地での「食料生産機能」に重点が置かれています。特徴として、多くの基準値が溶出試験の結果に基づいています。基準の溶出項目は28項目あり、これらを一括して分析することで土壌汚染の有無を確認します。また、廃棄物のリサイクル時にもこの基準が利用されます。
土壌環境基準は、環境基本法のもとで定められており、土壌のほかに河川、海洋、大気、騒音など多岐にわたる基準が含まれます。これらは人々の健康や公害防止のための指針として使われています。
具体的な調査項目は、溶出試験で28項目、含有試験で3項目です。この基準は、私たちが健康で安全に生活するために必要な目標値であり、他の法令に比べて厳しい内容となっています。
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PCBの土壌汚染と調査が必要なケース

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PCBによる土壌汚染は、生活環境や生態系に大きな影響を与え、間接的に健康被害を引き起こす可能性が高い問題です。ここでは、土壌汚染による影響と調査が必要なケースについて解説します。
◇PCBによる土壌汚染
PCBが土に混ざると、周囲の土壌を汚染し、さらに広がるリスクがあります。例えば、PCBを含む排水が漏れたり、PCBを含む廃棄物が土に埋められて雨で溶け出したりすると、周囲の土壌に汚染が広がります。
土壌汚染は目に見えないため、汚染が広がると長期間にわたり悪影響を及ぼします。汚染された土に触れることで、有害物質が人の皮膚に付着したり、汚染された土から有害物質が地下水に溶け出し、その水を飲んでしまうなどの問題が生じます。
また、有害物質が大気中に拡散して人が吸い込む、汚染された土が雨で川や海に流れ、汚染された魚を人が食べるなど、さまざまな経路で健康被害が懸念されます。
◇調査が必要なケース
土壌汚染調査が必要なケースについて、土壌汚染対策法に基づく状況と、地上トランスの存在に関する状況を解説します。土壌汚染対策法に基づく調査の必要条件は以下の通りです。
特定施設の廃止時
水質汚濁防止法に基づく特定施設(工場や廃棄物処理施設など)を廃止する際、その施設で扱っていた有害物質が土壌に残留している可能性があります。そのため、特定施設の廃止時には土壌汚染調査が必要です。
大規模な土地の変更時
環境省令で定められた規模以上の土地を変更する場合、都道府県知事が必要と判断すれば、土壌調査が義務付けられることがあります。これは、土地の掘削や改変によって過去の汚染が表面化するリスクがあるためです。
健康被害の懸念がある場合
都道府県知事が、特定の土地で土壌汚染による健康被害の可能性があると判断した場合も、土壌調査が求められます。この場合、土壌中に含まれる有害物質が基準値を超えているかどうかを確認するための調査が実施されます。
また、地上にトランスがある場合も調査が必要です。これは、トランスの絶縁油にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が使用されているためです。地上トランスがあるだけでは調査の対象とならないこともありますが、PCBを含むトランスが屋外に保管されている場合や、絶縁油が漏洩した事故があれば、土壌汚染のリスクが高く、調査が必要です。
さらに、対象外であっても、トランスが設置されている土地では自主的に調査を行うことで、安全性を確保し安心につながります。
土壌汚染調査の流れと処理方法

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土壌汚染調査および処理には、土地の履歴を把握する「地歴調査」から始まり、汚染の有無を確認するための「土壌汚染調査」、そして必要に応じて「詳細調査」を行った上で、汚染が確認された場合には掘削除去やオンサイト浄化、原位置浄化、封じ込め工法など複数の処理方法が検討されます。
◇土壌汚染調査の流れ

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まず、汚染土壌の可能性がある土地を扱う際には、調査を適切な段階で実施することが重要です。調査は通常、次の3段階で進められます。
1.地歴調査
地歴調査は、土地の過去の利用状況・施設の履歴・有害物質使用・排出の可能性・地下構造や埋設物の有無などを確認する初期段階です。例えば、工場・製造施設・廃棄物処理施設等があったか、あるいは土地改変や埋立ての履歴があるかを文献や図面、聞き取り等で把握します。
地歴調査により「汚染のおそれがある土地(所定の条件)かどうか」の判定基準に照らして、次段階の調査を行うかどうかを決定します。この段階で、汚染のおそれが「低い」と判断されれば、表層試料少数で済むケースもあります。
2.土壌汚染調査
地歴調査の結果、汚染のおそれがあると判断された場合には、土壌や土壌ガスを用いた調査を行います。これがいわゆるフェーズ1・2の調査(時に「表層土壌調査」)にあたります。調査内容としては、地表から浅い深度(例:0–5cmおよび5–50cm)もしくは土壌ガスを採取し分析します。
採取地点の密度は土地の汚染のおそれの程度によって異なり、「汚染のおそれが多い土地」では10m×10mに1地点、「汚染のおそれが少ない土地」では30m×30mに1地点といった格子状にサンプリングする例があります。この段階で基準値を超える可能性が示された場合には、さらに詳細調査へ移行します。
3.詳細調査
詳細調査(フェーズ3)では、平面的な広がりだけでなく、深さ方向(垂直分布)や地下水との関連性、土壌溶出量などを明らかにします。具体的には、ボーリング調査やモニタリング井戸設置によって、どの深度まで汚染が及んでいるか、地下水に影響があるかを調べます。
調査結果に基づき、汚染土壌の三次元的な分布が把握され、対策工法の検討材料となります。調査後には、報告書作成・関係行政機関への提出・措置(浄化または封じ込め)計画の検討などが続きます。
このように、調査の流れを理解しておくことで、土地取得時・土地利用変更時・建物解体時などの場面で、事前準備として何をすべきかが明確になります。
◇PCB汚染土壌の処理方法
PCB汚染土壌は、かつて電気機器の絶縁油などに用いられていたポリ塩化ビフェニルが土壌に残存、あるいは排出され拡散したケースで、土壌汚染対策法やPCB特別措置法等の対象となります。
掘削除去(区域外処置)
掘削除去は、汚染されている土壌を重機等で物理的に掘削し、基準を超える汚染土壌を除去して場外処理施設へ搬出する方法です。手順としては、まず詳細調査に基づいて掘削深さを決定し、掘削底面管理を行いながら基準以下になるまで除去を進めます。
メリットとして、確実性が高く、短期間で対策を終えられる可能性があります。一方、デメリットとしては、土壌の搬出・処理費用や搬出時の飛散・拡散リスクがあり、また重機スペースや移動経路の確保が必要になるためコスト・近隣対策が大きくなる傾向があります。
オンサイト浄化(区域内措置)
オンサイト浄化は、汚染土地の敷地内にて、掘削または改良を行った後、その場で浄化処理を実施する方式です。掘削土壌を洗浄・薬剤処理・熱処理などし、浄化済みの土壌を再び敷地内に埋め戻します。
この方式は搬出量が削減できるため、作業範囲や周辺環境への影響を抑えやすいといったメリットがあります。
一方、浄化できる汚染物質の種類や濃度、対象範囲に制限があるため、適用条件を慎重に検討する必要があります。
原位置浄化(区域内措置)
原位置浄化とは、掘削をせず、現地土壌や地下水に対して薬剤注入・微生物注入・通気改良などを行って汚染物質を分解・減量化する方法です。
主な利点は、掘削作業が不要なため、騒音・振動・作業スペースの小規模化が可能で、コスト低減にもつながる点です。しかし、汚染物質の性状や土壌条件によっては浄化完了まで長期間のモニタリングが必要になるため、適用には慎重な設計が求められます。
封じ込め・遮断工法
封じ込め・遮断工法は、汚染土壌を除去・浄化するのではなく、汚染範囲をそのまま残して、拡散を防止するための措置を行う方法です。例えば、汚染区域に遮水壁や遮蔽構造を設けたり、地表をコンクリート・アスファルトで覆うことにより、汚染物質の揮発・浸透・移動を抑制します。
この方法は、費用を抑えられる可能性がある反面、汚染が残されたままという点で、将来的な土地利用制約や管理義務が残るリスクがあります。
バイオレメディエーション
バイオレメディエーション(生物学的浄化)は、微生物や植物を活用して汚染物質を分解・吸収・固定化する技術です。例えば、有機汚染や油分汚染、重金属汚染などを対象に、微生物注入・植物による根圏浄化などのアプローチが研究・導入されています。
このような技術は、現場の環境負荷を低減しながら長期的に浄化を進められる点が魅力ですが、汚染濃度・深度・物性条件などが適合しないと効果を得にくいため、適用判断が重要です。
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PCB産業廃棄物の運搬や処理を依頼できる会社3選
PCB産業廃棄物の運搬や処理を委託する際には、法令遵守だけでなく実務面での信頼性や専門性が重要です。ここでは、PCB廃棄物に対応できる運搬/処理会社として、実績・対応体制・強みの観点からおすすめできる3社をご紹介します。
◇丸両自動車運送株式会社

丸両自動車運送株式会社は、静岡県静岡市清水区を拠点に産業廃棄物運搬・処理を手掛ける老舗の物流・環境ソリューション企業です。特に高濃度・低濃度のPCB廃棄物の収集運搬・適正処理に実績を有しており、専用容器・トレイを用いたJESCO搬入仕様の梱包・運搬体制を整えている点が特徴です。
具体的には、PCB廃棄物を「高濃度機器及び低濃度機器」に分類し、それぞれ法令・ガイドラインに則って厳重に取り扱いながら運搬を実施。運搬車両にはGPS装置を搭載し、輸送ルートの追跡・位置管理を行うことで、万が一の盗難や流出による環境汚染リスクにも備えています。
また、作業員についても「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター」が実施する“PCB廃棄物の収集運搬作業従事者講習会”を修了した有資格者のみが対応。保険による補償体制も整えており、事故時対応にも配慮されています。
| 会社名 | 丸両自動車運送株式会社 |
| 所在地 | 〒424-0036 静岡県静岡市清水区横砂西町10-6 |
| 電話番号 | 054-366-1312 |
| 公式ホームページ | https://www.maruryou.jp/ |
これまでの実績として、PCB廃棄物収集運搬業者の公表リストに同社名が記載されており、高濃度PCB運搬の許可を有していることでも信頼できます。土地・施設で高濃度PCB含有機器が見つかった際や、大型装置の搬出・運搬までワンストップで任せられる企業を探しているなら、丸両自動車運送株式会社は非常に有力な選択肢です。
丸両自動車運送株式会社の口コミ評判記事はこちら!
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社新関西テクニカ

株式会社新関西テクニカは、京都府宇治市に本社を構え、産業廃棄物の収集運搬および中間処理を展開している企業です。ISO14001の認証を早期に取得しており、環境マネジメント体制が整っている点も特筆されます。
PCB廃棄物およびPCB汚染物・PCB処理物についても、特別管理産業廃棄物としての収集運搬・保管・処理の対応が可能な許可を取得しており、産廃処理の「優良認定業者」に認められていることからも安心感があります。
さらに、同社は少量から大量まで規模を問わず「1点からの対応」も可能としており、盤装置・安定器などのPCB機器から、工場一棟丸ごとの廃棄物処理まで柔軟に引き受けられる点が評価されています。
| 会社名 | 株式会社新関西テクニカ |
| 所在地 | 〒611-0031 京都府宇治市広野町新成田100-177 |
| 電話番号 | 0774-43-2380 |
| 公式ホームページ | https://kanteku.co.jp/ |
また、収集・運搬だけでなく中間処理も自社で行うことで、運搬と処理をワンストップで行い、コストの削減や手続きのシンプル化を実現しています。これにより、PCB廃棄を含む特別管理産廃の処理を検討している事業者にとって、手間を少なく任せられるパートナーとなり得ます。
こちらも併せてご覧ください。
◇株式会社クリーンシステム

株式会社クリーンシステムは、山形県山形市飯塚町を拠点に、解体工事・リサイクル事業を営むと同時に、PCB廃棄物の全量廃棄に向けた取り組みを行っている企業です。
同社は、PCB含有機器の調査・分析から処理支援まで一貫して対応できる体制を整えており、特に“低濃度PCB廃棄物”の適正処理に強みがあります。例えば、低濃度PCB処理期限などの法令に関する情報を積極的に提供し、適切な処理スケジュールの提案も行っています。
| 会社名 | 株式会社クリーンシステム |
| 所在地 | 〒990-0845 山形県山形市飯塚町字中河原1629-5 |
| 電話番号 | 023-644-2228 |
| 公式ホームページ | https://www.csyam.com/ |
さらに、山形県が公表する「PCB廃棄物を取り扱うことができる特別管理産業廃棄物処理業者一覧」に同社名が記載されており、地域密着型ながらも特別管理産廃の運搬・処理に適した許可体系を保有していることが確認できます。
工場や施設において廃安定器・PCB含有電子機器が点在しており、特に東北・北関東エリアに所在する事業者にとって、地理的にもアクセスのよい選択肢となるでしょう。
こちらも併せてご覧ください。
まとめ

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汚染土壌は、有害物質によって環境や健康に悪影響を及ぼす土壌のことを指し、その管理と処理が非常に重要です。特に工場や建設現場から発生する汚染土壌は、重金属や有機溶剤などを含み、地下水や農作物にも悪影響を与える可能性があります。
過去の土壌汚染事例として、足尾銅山鉱毒事件やイタイイタイ病などが挙げられ、これらの問題を背景に土壌汚染対策法が制定されました。汚染土壌は、特定有害物質の基準値を超えた場合に適切な処理が求められ、調査や改善措置が行われます。
特定施設の廃止や大規模な土地変更時、または健康被害の懸念がある場合には、土壌汚染調査が義務付けられます。また、トランスの絶縁油にPCBが使用されている場合も、漏洩事故があった際に調査が必要です。
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