産業廃棄物の保管で罰則を受けないために!保管基準と一時保管の考え方 | PCB処理 完全攻略ガイド
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産業廃棄物の保管で罰則を受けないために!保管基準と一時保管の考え方
公開:2024.10.30 更新:2024.10.30産業廃棄物を適切に保管しない場合、環境汚染や健康被害を引き起こすリスクがあり、事業者には厳しい罰則が科される可能性があります。特に、廃棄物の飛散や流出を防ぐためには、法令に基づく保管基準を守ることが求められます。
特に「一時保管」や「仮置き」という概念は法的には存在せず、すべての保管場所は適正な管理が必要です。
目次
排出事業者の義務と保管について
産業廃棄物を発生させる事業者は、適切な処理を行う責任を負っています。これには、産業廃棄物の排出から最終処分までの全プロセスにおける管理が含まれますが、特に排出事業者が果たすべき義務には大きな責任があります。
また、産業廃棄物を一時的に保管する際の基準も厳格に定められており、これを守らない場合は罰則が科される可能性もあります。ここでは、排出事業者の義務と産業廃棄物の保管について詳しく解説します。
◇排出業者責任とは
排出業者責任とは、事業活動を通じて発生する産業廃棄物を最終処分まで適正に処理するために、排出事業者が果たすべき法的な責任を指します。排出事業者は、産業廃棄物を適切に処理する責任を負いますが、特にPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を含む廃棄物は、厳格な管理が求められます。
これらの有害廃棄物は、適切な処理が行われなければ、環境や人々の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。委託先の選定から廃棄物の管理、処理業者との契約まで、一貫した責任を負うことが求められます。
もし排出事業者が適切に管理せず、違法な処理が行われた場合、廃棄物を排出した事業者も責任を問われる可能性があります。
◇排出事業者の義務
排出事業者には、産業廃棄物の適正な処理を確保するために、いくつかの重要な義務が課されています。まず、最も基本的な義務として「適切な処理委託」が挙げられます。廃棄物を処理する場合、排出事業者は処理を外部に委託することができますが、その際、委託する処理業者が適切な許可を持っていることを確認する必要があります。
これは、廃棄物の不適切な処理を防ぎ、違法な処理が行われるリスクを回避するために重要です。委託業者に処理を任せたとしても、最終的な責任は排出事業者にあるため、信頼できる業者を選定し、処理過程を定期的に監視することが求められます。
次に、産業廃棄物の処理を追跡し、適正に管理するために「マニフェスト(管理票)の交付」が義務付けられています。マニフェストは、廃棄物が排出された場所から最終処分までの処理プロセスを追跡するための重要な書類です。
排出事業者はこの管理票を使用し、廃棄物が適切に処理されているかを確認し、処理業者や運搬業者が規定通りに作業を行っていることを監視する役割を担います。
さらに、排出事業者は廃棄物を一時的に保管する際に「保管基準の遵守」を徹底する義務があります。保管場所は法令で定められた基準に従って管理されなければならず、廃棄物が飛散したり、流出することがないように囲いや遮断設備を設ける必要があります。
また、廃棄物の種類に応じて、防虫・防獣の対策や排水設備の設置など、適切な環境対策を講じることが求められます。
最後に、排出事業者には「最終処分の確認」も義務付けられています。これは、委託した廃棄物が最終的に適切に処理され、処分されていることを確認する義務です。委託業者に完全に処理を任せるのではなく、排出事業者自身が廃棄物の最終処分が適切に行われたことを確認し、必要に応じて報告書などの証明書を取得することが求められます。
◇産業廃棄物の保管
産業廃棄物を一時的に保管する際、排出事業者は正しい方法で保管しなければなりません。廃棄物を保管する場所には、飛散や流出を防ぐための囲いや遮断設備が必要です。また、保管場所が浸水しないよう、排水設備も整えておくことが求められます。
特に、法に基づく保管基準を守らないと、後々罰則が科される可能性があります。保管中の廃棄物が環境に悪影響を与えないように管理することは、事業者の重要な責任です。
産業廃棄物の保管基準
画像出典:フォトAC
産業廃棄物を保管する際には、厳格な基準が法律で定められています。これらの基準を守らないと、環境汚染や健康被害の原因となるため、適切な保管管理が不可欠です。この章では、産業廃棄物の保管基準に基づく具体的な措置について解説します。
◇囲いを設置
廃棄物の保管場所には、飛散や流出を防ぐために囲いを設置することが義務付けられています。これは、特に風や雨による飛散を防ぐだけでなく、不法侵入や不適切な廃棄物処理を防止する目的もあります。囲いが設けられることで、外部からの不正なアクセスを防ぎ、安全に保管が行える環境を整えることができます。
◇掲示板や看板の設置
保管場所には、掲示板や看板を設置し、何が保管されているのかを明示することが求められます。これにより、保管場所の内容や処理方法に関しての情報がすぐに確認でき、適切な管理が行われやすくなります。また、看板には廃棄物の種類や保管期間などの詳細を記載することが望ましく、これにより管理者が適切な対応を取ることができます。
◇飛散や流出当の予防
産業廃棄物が風で飛散したり、雨水で流出することを防ぐための予防策を講じる必要があります。例えば、屋外での保管が必要な場合は、防風ネットを使用したり、シートで覆うなどの対策が考えられます。また、廃棄物が河川や排水路に流出しないよう、排水設備の整備が必要です。
◇汚水の流出を防ぐ
廃棄物から発生する汚水が地面に浸透したり、公共の水路に流れ込むことを防ぐため、適切な排水設備が必要です。特に、雨水が保管場所に溜まることで汚染物質が流出しないように、排水路や排水溝を定期的に清掃し、保管場所の水はけを良好に保つことが重要です。
◇害虫・害獣の対策
廃棄物を適切に保管しないと、害虫や害獣が発生し、健康被害や周囲への悪影響を引き起こす可能性があります。そのため、保管場所の衛生管理を徹底し、害虫駆除や害獣侵入防止のための措置を講じることが必要です。例えば、廃棄物の上にしっかりとシートをかけたり、定期的に害虫駆除を行うことで、害虫・害獣の発生を防止します。
◇屋外保管基準
屋外で産業廃棄物を保管する際には、特別な保管基準が設けられています。特に、雨水の流入や飛散を防ぐための対策が必要であり、廃棄物を覆うシートや防風ネットなどの使用が推奨されます。また、保管場所の地面は舗装されていることが望ましく、汚染物質が地下水に浸透するリスクを低減するための対策が重要です。
産業廃棄物を一時保管する際の注意点
産業廃棄物を一時的に保管する際、仮置き場という概念を誤解している場合があります。しかし、法的には「一時保管」や「仮置き」という概念はなく、すべての保管場所は適切な管理が求められます。ここでは、一時保管に関する注意点について解説します。
◇一時保管(仮置き)という概念はない
産業廃棄物において「仮置き」という用語を使うことは一般的ですが、実際には法的な定義として「仮置き場」は存在しません。一時的に保管しているつもりでも、実際には適切な管理を行わなければ違法とみなされる場合があります。仮に短期間であっても、廃棄物を置く場所は正式な保管場所と見なされるため、適切な管理を行うことが求められます。
◇仮置き場であっても管理が必須
仮置き場であっても、しっかりとした管理が必要です。ある事例では、仮置き場に一時保管された廃棄物が長期間放置され、雨水が地下に浸透して環境汚染を引き起こしたケースがありました。
このような事態を防ぐため、仮置きであっても保管基準を守ることが賢明です。一定期間廃棄物を保管する場合は、仮ではなく正式な保管場所とみなし、適切な管理を行うことが重要です。
保管基準に準ずる産業廃棄物の保管方法
産業廃棄物を保管する際には、使用する保管方法にも細心の注意を払う必要があります。フレコンバッグやドラム缶、コンテナなど、保管の方法に応じた対策を講じることが大切です。ここでは、各保管方法の特徴と注意点を解説します。
◇フレコンバッグで保管
フレコンバッグは、大量の廃棄物を一度に保管できるため、産業廃棄物の保管に広く使用されています。しかし、フレコンバッグ自体が風や雨に弱いため、屋外で使用する際には、防水シートで覆うか、屋根のある場所で保管することが推奨されます。また、袋の破れや劣化が発生しないよう、定期的な点検を行うことも重要です。
◇ドラム缶で保管
液体状の廃棄物を保管する際には、ドラム缶がよく使用されます。ドラム缶は密閉性が高く、液体の流出を防ぐために適した保管方法です。
ただし、ドラム缶が腐食してしまうと液漏れが発生する可能性があるため、長期間保管する場合は、錆びや腐食に対する対策が必要です。定期的なメンテナンスを行い、腐食の兆候が見られた場合は速やかに交換することが求められます。
◇コンテナで保管
コンテナは、大型の廃棄物や多量の廃棄物を一時的に保管するのに適しています。コンテナは頑丈で、雨風からも保護されるため、屋外での保管にも向いています。ただし、コンテナ内での廃棄物の管理が不十分だと、飛散や流出のリスクが高まるため、定期的に内部の状況を確認し、適切に封じ込めることが必要です。
産業廃棄物を排出する事業者には、その廃棄物の適切な処理と管理が求められます。特に、処理業者への委託や最終処分までのプロセスにおいて、排出事業者は一貫した責任を負います。
許可を持つ信頼できる業者を選び、処理が適正に行われているかを確認するため、マニフェスト(管理票)の交付が義務付けられています。また、産業廃棄物の一時保管に関しても、厳格な基準があり、囲いの設置や飛散・流出を防ぐ設備、害虫対策などが必要です。
特に「仮置き」という概念は法的には存在せず、保管基準を守らなければ違法となる場合があります。屋外保管の際には、防風ネットやシートでの覆い、排水設備の整備が求められ、適切な保管管理が行われないと、環境汚染や健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、排出事業者は常に法令を遵守し、保管・処理の過程をしっかりと管理することが重要です。
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