PCBの処理費用は高額?コスト削減のポイントも紹介 | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCBの処理費用は高額?コスト削減のポイントも紹介
公開:2023.08.28 更新:2024.10.30PCB廃棄物の処理には高額な費用がかかることが多く、排出事業者にとって大きな負担となることが少なくありません。特に高濃度PCBを含む廃棄物や安定器などは、処理費用が高額になりがちです。しかし、適切な仕分け作業や補助金制度の活用により、コストを大幅に削減することが可能です。こちらでは、PCB処理費用の概要と、処理コストを抑えるための具体的なポイントについて詳しく紹介します。
目次
PCBの処分は義務
PCBの処分は「PCB 特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)」により義務付けられています。以下にその経緯と処分期限について説明します。
PCBの処分が義務付けられた経緯
PCBは強い毒性を持ち、分解が困難であるため、処分せずに保管すると環境や人体に深刻な影響を及ぼします。PCBの製造は中止されましたが、その廃棄物の処理方法は当初民間に委ねられていました。このため、適切に処分されず長期間保管され続ける事態も少なくありませんでした。
PCB廃棄物がより迅速に適切な方法で処分されることを推進する目的で、2001年(平成13年)にPCB 特措法が制定されました。この法律では、処分の義務の他に、脱塩素化分解、水熱酸化分解など具体的な10種類の処理方法が定められています。
濃度によって異なる処理期限
PCB廃棄物の処理期限は、高濃度と低濃度で異なり、それぞれの処理期限が定められています。まず、高濃度PCB廃棄物の処理期限ですが、地域ごとに異なります。例えば、東京や北海道の事業エリアでは2022年3月31日が変圧器やコンデンサの処理期限でしたが、汚染物や安定器は2023年3月31日が期限です。
北九州事業エリアでは、処理が間に合わなかったため、2024年3月31日まで延長されています。基本的に、多くの地域で期限が過ぎており、排出事業者は早急に処理を委託する必要があります。
一方、低濃度PCB廃棄物の処理期限は全国統一で2027年3月31日までと定められています。古い電気機器にはPCBが含まれている可能性が高いため、排出事業者はこの期限までに適切に処理を委託しなければなりません。
どちらの廃棄物においても、期限を過ぎた場合には厳しい罰則が科される可能性があるため、期限内に確実な処理を行うことが重要です。
PCB処理費用について
PCB廃棄物の処理には所有者が費用を負担しなければならないため、予め処分を委託できる業者と費用の目安を知っておくことが重要です。特に、PCBの収集、運搬、処分を委託できる業者は限られています。
PCB廃棄物を委託できる処分業者
処分を委託できる業者は、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物で異なります。処分期限が過ぎている高濃度PCB廃棄物の処分は、国が指定した中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)にのみ委託することが可能でした。一方、低濃度PCB廃棄物の処分は、環境大臣が認定した無害化処理業者または都道府県・政令市長が許可した民間の処分業者に委託することができます。
PCB廃棄物の処理にかかる費用
PCB廃棄物の処分には、処分費用だけでなく、収集費用や運搬費用が発生します。さらに、事前にPCB含有の確認を行うための調査費用が必要で、1検体につき約1万から2万円かかります。処分にかかる費用は、PCB廃棄物の種類、大きさ、処分方法、保管場所、委託する業者により大きく変動します。場合によっては、数百万円から数千万円かかることもあります。なお、JESCOでは、PCB廃棄物の処理料金は全国一律で1kgあたり30,800円と設定しています。
詳しい金額は信頼できる処分業者に見積もりを依頼
PCB廃棄物の処分費用は決して安くはありません。そのため、より具体的な費用を知りたい場合は、信頼できる処分業者に見積もりを依頼することを推奨します。しかし、安い見積もりを提示し、後から追加料金を請求する業者も存在しますので、業者選びは慎重に行ってください。
PCB処分に関するコスト削減のポイント
処理費用が高額になりがちなPCB廃棄物ですが、適切な対応によりコストを削減することが可能です。主なコスト削減のポイントは以下の通りです。
徹底的な仕分け
PCB廃棄物の処理には高額な費用がかかることが多いですが、適切な仕分け作業を行うことで、そのコストを大幅に削減できます。特に、PCBを使用した安定器などの機器は処理費用が高いため、まずPCBを含むかどうかを正確に確認することが重要です。PCBを使用していない機器まで誤ってPCB廃棄物として処理されるケースがあり、これが余分な費用の原因になります。
2015年の廃掃法改正により、PCB使用・不使用の機器を分別するための基準が設けられ、より正確に仕分けできるようになりました。これにより、PCBを含まない機器を適切に処理し、無駄な費用を抑えることが可能になったため、事前の調査と仕分けがコスト削減に非常に有効です。
処分対象の量を減らす
PCB廃棄物の処理費用を抑えるための効果的な方法として、PCBが含まれている部分だけを取り外して処理することが認められています。これにより、処理する量を減らし、全体の処分費用を大幅に削減することが可能です。たとえば、機器全体を処分する代わりに、PCBが含まれている部分だけを分解して取り出し、それを専門的に処理することで、不要な部分の処理コストを削減できます。
一つの処理業者に全てを任せる
PCB廃棄物の処理には、サンプル採取、PCB調査、収集、運搬、処分といった多くの工程が必要です。これらを複数の業者に分けて依頼するよりも、一つの業者にトータルで依頼した方が費用は抑えられます。また、一度のやり取りで全てが完結するため、手続きもスムーズに行えます。
複数の業者から見積もりを取る
極端に安い金額を提示する業者からは、後で高額な請求が来たり、適切な処理が行われずに不法投棄される可能性があります。そのため、複数の業者から見積もりを取り、適正価格を確認することが重要です。
補助金等の支援制度の活用
PCB廃棄物の処理費用を抑えるためには、2つの支援制度を活用することが有効です。
中小企業向けPCB廃棄物処理費用の軽減制度
この制度は、中小企業や個人事業主が保管しているPCB廃棄物の処理費用を軽減するためのもので、独立行政法人環境再生保全機構が運営する「PCB廃棄物処理基金」と国からの補助金によって処理費用が大幅に抑えられます。法人は処理費用の70%、個人は95%が軽減されるため、特に小規模事業者には大きな負担軽減となります。
二酸化炭素排出抑制対策事業費補助金
この補助金は、低濃度PCBに汚染された変圧器を高効率変圧器に交換する際に利用できるものです。調査費用や工事費などの一部を補助してもらえるため、CO2削減に貢献する取り組みとして導入が進められています。補助対象となる費用は、調査費用の10分の1や工事費の3分の1で、環境負荷を減らすだけでなくコスト削減にも役立ちます。
これらの制度を活用することで、PCB廃棄物処理の費用負担を大幅に抑えながら、法的義務を果たすことができます。
PCB廃棄物の処理は「PCB特措法」に基づく義務であり、適切な処理を行わないと環境や健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。処理期限は高濃度と低濃度で異なり、早急な対応が求められます。処理費用は高額になることが多いですが、適切な仕分け作業によりコストを削減できます。
特にPCBを含まない機器を正確に分別することや、PCBを含む部分だけを処理することで費用を抑えられます。また、中小企業向けの軽減制度や、二酸化炭素排出抑制対策事業費補助金などを活用することで、処理費用をさらに軽減でき、法的義務を果たしつつコスト負担を抑えることが可能です。
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