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未だ発見されていないPCB汚染物もある?保管状況と判別方法 | PCB処理 完全攻略ガイド

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未だ発見されていないPCB汚染物もある?保管状況と判別方法

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公開:2024.02.15 更新:2024.03.05

PCB汚染物の中には、未だ発見されていないものも存在します。これらは古い工場や建物、作業場などに残存し、管理が不十分なため見落とされている可能性があります。保管されている場合、安定器や感圧複写紙などの容器に保管されており、その中には混合物や異物が含まれていることもあります。これらの汚染物を見つけるためには、適切な判別方法が必要です。

PCB汚染物とは?主な種類と判別方法

PCB汚染物とはポリ塩化ビフェニルによって汚染された物質をさし、人体への毒性があることから現在は製造や輸入が禁止されています。そしてPCB汚染物は変圧器やコンデンサーなどの製品から、感圧複写紙や紙くず、繊維くず、木くず、汚泥など多様な形で現存しています。


そのためPCB汚染物であるのか判別をするために製品の取り扱いをする際は、製造年及びメンテナンスの実施履歴を確認し、場合によっては絶縁油を採取してPCB濃度を測定する必要があります。

◇PCB汚染物とは

PCBは人工的に造られた油状の化学物質であり、不燃性にも優れていて化学的にも安定した特徴を持っています。これらの特徴を活かして、PCBはこれまで電気機器の絶縁油やノンカーボン紙などの製造業界で多く用いられてきました。


しかし現在では人体への毒性が判明したことにより、製造や輸入が全面的に禁止とされています。PCBに汚染された物質であるPCB汚染物には、PCBが使用されている変圧器やコンデンサー、安定器といった機器や製品など様々な産業廃棄物が含まれます。

また製品だけでなくPCBが塗布された感圧複写紙や紙くず、PCBが染みこんだ繊維くず、木くず、汚泥などについても含まれるPCB濃度によってPCB汚染物として扱う必要があるため注意が必要です。

◇PCB汚染物の判別方法

PCB汚染物であるかの判別を行うには、まず対象製品に取り付けられた銘板に記載された製造年及びメンテナンスの実施履歴等を確認する必要があります。1990年以前に製造された国内メーカーの製品についてはPCB汚染物の可能性があります。


そして絶縁油の入替ができないコンデンサーでは、 PCB汚染物は1991年以降に製造された製品であれば含まれている可能性がないとされています。また変圧器のように絶縁油のメンテナンスが可能である製品については1994年以降に出荷され、かつ絶縁油の入替や絶縁油のメンテナンスが行われていないことが履歴によって確認できればPCB汚染物である可能性はないとされています。


一方でこれらの製造年以前に製造や出荷がされた製品については、実際に製品から絶縁油を採取してPCB濃度を測定することで、PCB汚染物であるかの判別を行う必要があります。
ただしコンデンサーのような封じ切りの製品については、絶縁油の採取のために使用中のものを穿孔すると使用できなくなる場合があるので注意が必要です。

PCB汚染物を取り巻く状況について

画像出典先:DOWAエコジャーナル

PCB汚染物は製造や輸入が禁止されたものの、現存するものの実態把握と処理が進んでいないのが現状です。そこで処理技術の検討を行うために、PCB汚染物は様々な方法で保管がされています。

◇実態把握と処理が急がれるPCB汚染物

PCBを使用した高圧トランスや高圧コンデンサーなどの電子機器については、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業検討委員会が平成 14 年 9 月にとりまとめた共通報告書をベースとして各地における拠点的広域処理施設の整備が進 められています。

また安定器については処理技術に関する条件等をまとめたものの、個々のPCB 使用量は少なく処理対象数が多いという特性からさらに効率的で低コストな処理技術が求められています。

その一方で感圧複写紙やウエス、汚泥等のPCB 汚染物については、それぞれの性状等が大きく異なると予想されることから、PCB汚染物の実態や処理技術に関しての情報が十分に把握されていませんでした。

そのためこれらのPCB汚染物の処理については実態の把握とともに、それぞれの性状に最適な処理方法の検討が必要とされています。
 

◇PCB汚染物の保管状況

PCB汚染物はPCBの処理技術の検討に必要な情報を把握するため保管されています。
まず安定器はドラム缶等鉄製容器やプラス容器に、コンデンサ等を分離することなく保管されています。

安定器は長期間使用することで劣化が進みPCB が漏洩する可能性があることから、コンデンサ以外の部材についてもPCB汚染がされていないか注意が必要です。次に感圧複写紙は段ボール箱やドラム缶等の鉄製容器に保管されています。

またウエスはドラム缶等の鉄製容器に単独で保管されているほか、その他の汚染物と混合して保管されている場合や、木製パレットや配管屑などの異物が混入している状態で保管されています。

そして粉じんや燃えがら、反応釜残さ、白土、 スラッジ、廃活性炭等などの汚泥は、ドラム缶等鉄製容器や構造物の下に封じ込めることで保管されています。これらは様々な混入物が入っている場合や汚泥をコンクリート固化されている場合があるのが特徴です。

未だに発見されていないPCB汚染物も多い

PCB汚染物はすでに使われなくなり管理が行き届かなくなったキュービクルや工場、作業場などに未だ発見されることなく残存することも多くあります。またリースなどにより責任が曖昧となることで発見されていないPCB汚染物もあるため発見が急がれています。

◇高濃度PCB廃棄物が発見された例

最初の事例では、建物の所有権が別法人に移転しており、その建物に高濃度のPCB含有コンデンサーが設置されていることが確認されました。この場合、当該建物の管理人はPCB廃棄物の存在を認識していなかったようです。

次の事例では、事業場跡地のキュービクル内に高濃度および低濃度のPCB含有コンデンサーが発見されました。この事業場ではPCB廃棄物が放置されており、管理者はその存在に気づいていなかった可能性があります。

さらに、別の場所ではPCB含有機器は存在しないとの回答があったにも関わらず、実際には高濃度のPCB含有コンデンサーが発見されました。このように見つけにくい場所に現存する高濃度PCB廃棄物について、JESCO未登録台帳を基にした現地調査で発見される場合があります。

◇低濃度PCB廃棄物が発見された例

廃業した古い工場や作業場においては、配電盤に複数の低圧進相コンデンサーが残されている場合などがあります。このようにすで使わなくなったものから低濃度PCB廃棄物が発見されることも少なくありません。


また長年リースなどで貸し出され所有者と使用者が異なる場合などは、責任の所在が不明確となりPCB汚染を見落とされる可能性が高いため注意が必要です。


PCB汚染物は、人体に有害なポリ塩化ビフェニルによって汚染された物質であり、電子機器の変圧器やコンデンサーから発生します。毒性の観点から製造や輸入が禁止されており、適切な保管や処理が進められています。

PCB汚染物の物質を判別するためには、製品の製造年やメンテナンス履歴を確認し、必要に応じてPCB濃度を測定する必要があります。また、未だに見つかっていないPCB汚染物も多く存在し、管理が行き届いていない場所や責任が曖昧な状況で見落とされることもあるため、注意が必要です。 適切な処理が行われないと、環境や人の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、PCB汚染物の発見と処理が急がれています。

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