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知っておくべきPCB含有産業廃棄物の管理方法と判別方法を解説 | PCB処理 完全攻略ガイド

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知っておくべきPCB含有産業廃棄物の管理方法と判別方法を解説

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公開:2024.01.29 更新:2024.01.29

PCBは健康被害を引き起こす危険性があり、その管理が極めて重要です。こちらでは、PCB含有産業廃棄物の管理方法と判別方法について詳しく解説します。PCB廃棄物の適切な管理は、環境と人の安全を守るために不可欠な要素であり、その重要性を理解することで、適切な対策を講じる手助けとなるでしょう。

危険!PCB産業廃棄物の概要と含有機器

産業廃棄物は、法律の定めに従って適切に処理しなくてはいけません。特に、特定有害産業廃棄物に分類されるPCB産業廃棄物の取り扱いには注意が必要です。こちらでは、PCB産業廃棄物とはどのようなものか、PCB含有機器にはどのようなものがあるか解説いたします。

◇PCB産業廃棄物とは

PCBはPoly Chlorinated Biphenylの頭文字3つで、ポリ塩化ビフェニル化合物のことです。かつては、熱で分解しづらい、溶けにくい、沸点が高い、不燃性などの特性を活かして、熱交換器の熱媒体、電気機械の絶縁油、ノンカーボン紙などに使われていました。

脂肪に溶けづらいため、継続的に摂取すると人体に蓄積し、座瘡様皮疹、目やに、爪の変形、関節やまぶたのはれなどの症状が出ることがあります。PCBは理論上、異性体が209種類あり、そのうちのひとつのコプラナーPCBは毒性が強く、ダイオキシン類に分類されています。

PCB産業廃棄物は、PCBを含んだ油、またはPCBが付着したり、染み込んだり、塗布されたりしたものが廃棄物になったものです。PCB産業廃棄物は、廃棄物処理法で以下の3つに分類されます。

廃PCB等:廃PCBおよびPCBを含んだ油、つまり液状PCB廃棄物
PCB汚染物:一定量以上のPCBを含む、泥状や固形状の廃棄物
PCB処理物:廃PCB等またはPCB汚染物を処理する目的で処理したもので、一定の基準を満たさないもの

◇PCB含有機器の概要

PCBを含む機器には、次のようなものがあります。

照明器具

PCBコンデンサーを使った照明器具です。PCBコンデンサーは、1957年(昭和32年)から1972年(昭和47年)までに製造され、オフィスや学校の教室に設置する蛍光灯、天井用や道路用の水銀灯器具などに使われていました。

高圧トランス

工場やビルなどに設置する高圧トランス(変圧器)の絶縁油としてPCBが使われていました。例えば、50kVAのトランスの場合、内側にPCBが115kgくらい含まれていることもあります。

一部の家庭用電気製品

1953年(昭和28年)から1974年(昭和49年)までに製造された電子レンジ、エアコン、テレビなどの部品の一部に、PCBを使ったものが含まれています。

高圧コンデンサー

蓄電器のことで、絶縁油にPCBが使われていました。

PCB含有機器の判別方法と保管方法

画像出典先:八王子市

PCB含有機器の可能性がある場合、まずはPCBが含まれているか判別し、PCBが含まれていたら適切な方法で保管しなくてはいけません。こちらでは、判別方法と保管方法について解説いたします。

◇PCBを含有しているか判別する方法

PCB含有機器の判別方法は、PCB含有機器の種類によって異なります。

変圧器・コンデンサー

電気機器の絶縁油を取り出し、PCB濃度を測定して判断しますが、下記の方法でも高濃度と低濃度か判断することも可能です。

高濃度の場合は、1953年(昭和28年)から1972年(昭和47年)に、国内で製造されたものが該当します。機器についている銘板から判別できます。詳しくは(一社)日本電機工業会のWebサイトで調べるか、メーカーに直接お問い合わせください。

低濃度の場合は、1990年(平成2年)ごろまでに製造されたものは、PCB汚染の可能性があります。絶縁油に関するメンテナンスを行う電気機器の場合、出荷が1994年(平成6年)以降メンテナンスをしていなければ、PCB汚染の可能性はないと考えられます。

安定器の場合

家庭用の蛍光灯などに使われている安定器以外で、1957年(昭和32年)1月から1972年(昭和47年)8月までの期間に国内で製造されている場合、PCBが含まれている可能性があります。安定器についている銘板でも判断できます。詳しくは(一社)日本電機工業会または、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)のWebサイトをご参照ください。

汚染物

PCBの濃度を測定し、高濃度(0.5%以上)か低濃度か判断します。

◇PCB含有機器の保管方法

PCB含有機器の保管は、環境や健康に対するリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。以下は、保管基準を具体的に解説したものです。

囲いを設置する

PCB含有機器を保管する場所は、周囲に囲いを設置して制限されたエリアとしましょう。これにより、他の施設やエリアからの汚染や接触を防ぎます。

掲示板の設置

PCB含有機器を保管するエリアには、保管基準や安全情報を掲示する掲示板を設置しましょう。これにより、作業者や関係者に対して情報を提供し、適切な取り扱いを促します。

飛散、悪臭、流出、浸透の防止対策

PCBは環境への影響が大きいため、飛散、悪臭、流出、地下浸透を防ぐために対策を講じましょう。これには、漏れや破損を防ぐ適切な容器や二次コンテナの使用、漏れ検知装置の設置などが含まれます。

仕切りの設置

PCB含有機器は他の物品と混ざらないように、仕切りを設置しましょう。これにより、交差汚染を防ぎます。

密封容器の使用

PCBを含む液体や物質は、密封された容器に保管しましょう。これにより、揮発を防ぎ、漏れや流出を防止します。

高温対策

PCBは高温になると危険です。保管場所が高温にならないように、冷暖房装置や通風装置を設置し、温度管理を行いましょう。

腐食対策

PCB含有機器や容器が腐食しないよう、適切な材質やコーティングを使用しましょう。腐食が起きると漏れのリスクが高まります。

特別管理産業廃棄物管理責任者の配置

保管施設ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を配置し、PCB含有機器の適切な管理と廃棄物処理を確保しましょう。

これらの保管基準に従うことで、PCB含有機器の保管場所が環境と人の安全を守るために適切に管理され、リスクを最小限に抑えることができます。

PCB含有機器の調査と電気主任技術者

最後に、電気主任技術者によるPCB含有機器の調査と調査方法についてご紹介いたします。

◇電気主任技術者による調査が定められている

電気事業法の「主任技術者制度の解釈及び運用」の改正により、PCB含有機器の調査は電気主任技術者が行うことが義務付けられました。電気主任技術者は、電気事業法が定める国家資格で、工場、ビル、発電所、変電所などにある電気設備の監督と保安を行います。調査により、PCB含有機器であることが判明したら、管理状況や廃止予定日に関する届け出も必要です。

◇調査方法

電気主任技術者がPCB含有機器の調査方法は、PCB含有機器の種類によって異なります。調査の大まかな流れは、以下のとおりです。

自家用電気工作物の高圧受電設備

6,600V以上の電気を引き込み受電し、各設備に配電する際に低圧に変換するためのものです。工場やビルなどのキュービクルという箱のなかに、遮断器、コンデンサー、変圧器などと一緒に設置されます。調査する際は、感電するおそれがあるため、必ず停電してから調査を開始します。

1.設備台帳に記載された機器名称、製造者名、型式、要領、製造年などを、現物を見ながら、間違いがないか確認する
2.配電図をもとに、他にコンデンサー、遮断器、リアクトルなどが設置させていないかチェックする
3.製造年から判断してPCB廃棄物に該当する場合、絶縁油を採取して濃度を調べる

非自家用電気工作物の低圧コンデンサー

低圧コンデンサーの種類によって、調査方法が異なります。1例として、低圧受電をする施設にある分電盤に設置された低圧コンデンサーの調査方法をご紹介いたします。

1.電力会社で契約内容を確認する
2.分電盤をチェックする
3.銘板に記載された機器名称、製造者名、型式などを記録する
4.製造年が1990年以前の場合、メーカーに問い合わせる
5.自家用電気工作物の高圧受電設備と同じ方法で調査を行う


PCB産業廃棄物は、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)という化合物を含む廃棄物のことで、かつて電気機械や照明器具などに使われていました。PCBは環境に悪影響を及ぼす有害物質で、体内蓄積や健康被害を引き起こす可能性があります。PCB産業廃棄物は、廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物の3つに分類され、適切に処理する必要があります。

PCB含有機器は、照明器具、高圧トランス、一部の家庭用電気製品、高圧コンデンサーなどが含まれます。これらの機器を適切に管理するためには、PCBを含有しているかどうかを判別し、保管方法に注意が必要です。

PCB含有機器の判別方法は、機器の種類によって異なり、PCB濃度の測定や製造年の確認、銘板の情報を利用します。また、保管時の基準を守るために、囲いや掲示板の設置、飛散や漏れを防ぐ対策、温度管理、腐食対策などが重要です。 最後に、PCB含有機器の調査は電気主任技術者によって行われ、調査方法は機器の種類に応じて異なります。電気主任技術者はPCB含有機器を特定し、適切な管理と廃棄物処理を確保する役割を担います。

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