栃木県でPCB(ポリ塩化ビフェニル)の適切な処分方法について知識を得ることは重要です。こちらでは、PCB処分に関する基本的な手順を紹介し、さらに栃木県内で信頼性の高いPCB産業廃棄物業者3社をご紹介します。PCBの特殊性からくる処理方法や規制について理解し、適切な業者を選ぶ際の参考にしてください。
目次
PCBの産業廃棄物としての特徴とは
PCB(ポリ塩化ビフェニル)はかつて夢のような化合物とされ、その不燃性と高い電気絶縁性から特にガスや電気関連の設備で広く使用され、画期的な物質とされていました。そのPCBの産業廃棄物としての特徴をここでは説明します。
◇有用な素材だが現在は使用禁止
PCBは「Poly Chlorinated Biphenyl」の略称で、人工的に合成された化学物質です。主に油状の性質を持っています。かつてはその特性から、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など、さまざまな用途で利用されていました。
その特徴として挙げられるのは、水に溶けにくい、高い沸点、熱に対する安定性、不燃性、高い電気絶縁性などです。ただし、現在ではPCBの製造と輸入が禁止されています。
◇PCB使用機器は変圧器などが該当
PCBが使用された代表的な電気機器は、変圧器、コンデンサー、および蛍光灯用安定器です。これらの電気機器には、古い工場やビル、さらに医療用X線発生装置、工業用X線発生装置、溶接機、昇降機(エレベーター、エスカレーター)制御盤などでもPCBが含まれていました。
一方で、蛍光灯用安定器に関しては、古い工場や学校などで使用されていましたが、一般家庭の蛍光灯用安定器にPCBを使用したものは存在しません。
◇高濃度と低濃度により対応が異なる
PCBが使用された製品が使用停止され、廃棄物として処理されると、それは『PCB廃棄物』となります。このPCB廃棄物は、PCBの濃度に応じて、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。具体的には、PCB濃度が0.5%(=5000ppm)を超える場合は高濃度PCB廃棄物とされ、0.5%以下の場合は低濃度PCB廃棄物です。
高濃度PCB廃棄物は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(通称JESCO)によって処理されます。一方、低濃度PCB廃棄物は、環境大臣が認定した無害化処理施設、または都道府県知事などが許可を出した処理施設で処理が行われることが必要です。
栃木県でPCB処分をする手順を知ろう

画像出典先:低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイト
産業廃棄物であるPCBは特殊な処分方法が必要になります。処分する際に間違いのないようにしましょう。ここでは、基本的な手順について解説します。
◇適切な届け出・保管について
PCBを含む電気機器などを使用または保管している事業者は、必ず届出が必要です。届け出には、保管・使用状況の報告、保管・使用している機器に、PCBが含有していることが新たに判明した事業者、保管場所を変更する事業者の方、使用中のPCB含有機器を譲渡した事業者および譲受けた事業者、相続、合併または分割があった事業者、PCB廃棄物の処分を終了した事業者の届け出があります。
また、PCB廃棄物は保管基準を守って保管することが必要です。保管に関して、以下の条件が設けられています。
・周囲に囲いが設けられていること
・廃棄物の種類などを表示した掲示板が設けられていること
・飛散、流出、地下浸透、悪臭が発散しないよう必要な措置を講ずること
・ねずみが生息し、蚊・はえその他の害虫が発生しないようにすること
・他の物が混入するおそれのないよう、仕切りを設けることなどの必要な措置を講ずること
・PCB廃棄物については、容器に入れ密封することなど揮発の防止のために必要な措置および高温にさらされないために必要な措置を講ずること
・PCB汚染物又はPCB処理物については、腐食防止のために必要な措置を講ずること
◇公的な許認可を得ている産廃業者
経済産業省と環境省による検討に基づき、低濃度PCB廃棄物の処理方法が見直されました。改正された廃棄物処理法において、低濃度PCB廃棄物の処理には、新たに無害化処理認定制度が導入されました。これにより、従来の都道府県知事や政令市の長による許可だけでなく、環境大臣が直接認定を行うことが可能となりました。
事業者が無害化処理認定を取得するためには、実証試験結果や処理方法に関する指導を受け、必要な書類を提出します。その後、環境省が審査を行い、技術評価委員会を通じて評価されます。無害化処理認定を受けた事業者は、低濃度PCB廃棄物の処理が適切かつ環境に安全であることが確認されたと言えます。
◇PCB廃棄物の収集・運搬について
PCB廃棄物の収集運搬には以下のポイントが重要です。
適切な運搬容器
PCB廃棄物を運搬する際、漏洩を防ぐために適切な密閉容器が必要です。これは、PCBの漏洩を防ぎ、環境への影響を最小限に抑えるための措置です。
応急措置と連絡設備
運搬車両には、PCB廃棄物の漏洩や事故発生時の迅速な応急措置を講じるための設備が必要です。また、緊急時に適切な連絡ができるように通信設備も必要です。これにより、事故時に効果的な対応が可能となります。
知識と技能の要求
運転者や関係者は、PCB廃棄物の性質、適切な運搬方法、事故時の対処法などについての知識と技能を持つ必要があります。これにより、安全性が確保されます。
許可取得
PCB廃棄物の収集運搬は、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託する必要があります。許可を持つ業者は、法令を順守し、適切な収集運搬プロセスを提供します。
JESCOでの処理
高濃度PCB廃棄物をJESCOで処理する場合、JESCOへ搬入可能な入門許可を持つ収集運搬事業者を選定し、委託契約を締結する必要があります。
栃木県でおすすめのPCB産廃業者3選
栃木でPCBの処理対応ができる産廃業者を3社ご紹介します。
◇東京鐵鋼株式会社
東京鐵鋼株式会社は1939年の創業以来、「鉄」を基盤とし、環境の変化に対応しながら、一貫して社会に貢献する製品とサービスを提供することを使命として事業を展開してきた会社です。東京鐵鋼環境リサイクル事業部では、ロータリーキルン式ガス化焼却炉、小型焼却炉、固定床炉などの施設を保有しており、これらを活用して焼却処理による無害化を実施しています。無害化処理の後、社内処理施設において金属(鉄、銅、アルミなど)やガラス、プラスチックなどを種類ごとに分別することで、完全再資源化(ゼロエミッション)が実現可能です。
◇株式会社クレハ環境
株式会社クレハ環境は創業以来、廃棄物の適正処理を通じて地球環境保全に貢献してきました。常にお客さまに満足いただける処理技術の確立と処理施設の開発に取り組んでおり、その実績は皆様から高い評価を得ています。2011年2月24日に環境大臣から低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定を取得し、さらに、2020年3月31日には新たに環境大臣から低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定を取得済みです。
◇丸両自動車運送株式会社
丸両自動車運送株式会社は、運送業として物流の一翼を担ってきました。また、産業廃棄物の中間処理業者および処理業者への収集運搬に微力ながら参加し、リサイクルの推進などを通じて「循環型社会」へ貢献しています。丸両自動車運送株式会社は全国47都道府県でPCBの処分の許可を取得済です。面倒な書類作成も代行し、見積もりも無料で行ってくれます。豊富な実績とノウハウがあり、信頼性の高い業者といえます。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は以前はその不燃性と高い電気絶縁性から広く使用されていましたが、現在は禁止されている人工的な化学物質です。PCBは高濃度と低濃度の2つに分類され、それぞれ異なる処理方法が必要です。
PCBを含む電気機器は変圧器やコンデンサーに使用され、これらの機器が廃棄物となった場合、特別な手順で処理する必要があります。PCB廃棄物の収集と運搬には適切な容器と設備が必要で、知識と技能を持つ関係者が必要です。
また、公的な許認可を持つ産業廃棄物業者がPCB廃棄物の処理を行います。栃木県でおすすめのPCB産廃業者には、東京鐵鋼株式会社、株式会社クレハ環境、丸両自動車運送株式会社があります。これらの業者はPCB廃棄物の処理に対応し、環境への影響を最小限に抑えるための安全なプロセスを提供しています。