PCB(ポリ塩化ビフェニル)の特性を理解してPCB廃棄物を適正に処理しよう | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB(ポリ塩化ビフェニル)の特性を理解してPCB廃棄物を適正に処理しよう
公開:2023.11.29 更新:2023.11.29PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、その安定性と耐久性と引き換えに、環境中での分解が難しく、生態系において蓄積しやすく、健康への悪影響があります。そのため、現在では製造と輸入が禁止され、過去に製造された製品や廃棄物の適切な処理が重要視されています。
目次
PCB(ポリ塩化ビフェニル)の特性
PCBとは?特性について
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、その特性により多くの産業で利用されてきましたが、その性質は以下のように特徴づけられます。
水溶性
PCBは水に対してほとんど溶けない特性を持っています。このため、水中での拡散がほとんどなく、環境中に放出されにくいです。
高沸点
PCBは高い沸点を持つため、高温環境でも安定して存在できます。これは熱交換器の熱媒体や電気機器の絶縁油として利用される理由のひとつです。
電気絶縁性が高い
PCBは電気絶縁性が非常に高いため、電気機器内での絶縁材料として重要な役割を果たしました。
化学的に安定した性質
化学的にも安定しており、酸やアルカリに対してもほとんど反応しない性質を持っています。
耐熱性と不燃性に優れている
PCBは高温に耐え、不燃性が高いため、火災の危険性が低いことが利点です。
PCBの毒性
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、その高い毒性が知られており、不適切な処理方法によって環境と健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。例えば、PCBを焼却処分すると、大量のダイオキシンが発生し、環境への汚染が生じます。
また、土壌中に浸透したPCBが食物連鎖を通じて摂取されると、体内に蓄積し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。PCBが体内に蓄積した際の症状として、皮膚症状 吹出物や皮膚の色素沈着、目やになどの症状が現れる、全身の不調 全身の倦怠感やしびれ、食欲不振などが報告されています。
さらに、PCBの毒性は特に脂肪に溶けやすく、過去には食用油にPCBが混入した事件が発生しました。この事件では、PCBを含む油を摂取した人々だけでなく、胎児にも健康被害を及ぼしました。
被害者の中には、今もなお症状が持続している人々も存在します。したがって、PCBの取り扱いには極めて慎重で適切な方法が必要であり、その影響を最小限に抑えるための対策が重要です。
PCB処理~現在に至るまでの経緯
PCB処理のこれまでの経緯
PCB廃棄物処理の歴史は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の有用性から製造が行われ、その後毒性が明らかになり製造が中止された1972年から始まります。その後、PCB廃棄物の処理に関する施設の立地が試みられましたが、地元住民の理解が得られず進展しなかった約30年間が続きました。
この状況に懸念が高まり、環境汚染の進行を防ぐため、平成13年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)が公布され、法律の施行が始まりました。国は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)を通じて処理施設を整備し、全国に5箇所の処理施設が設けられました。
さらに、平成28年には高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況を考慮し、PCB特別措置法が改正され、迅速な処理を推進するための法整備が行われました。このように、PCB廃棄物処理の経緯は、有害物質の適正な処理を確保するための法的措置や施設整備が進行してきた歴史を持っています。
現在のPCB処理に関する規則
PCB廃棄物処理には厳格な規則が適用されています。PCB廃棄物処理に関わる事業者や個人は、これらの規則を遵守し、環境への影響を最小限に抑えるための適切な措置を講じる必要があります。
主な規則として以下の点が挙げられます。
保管および処分の状況の届出
PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年都道府県知事(または市にあれば市長)に対して保管と処分の状況を報告しなければなりません。この届出は公に公表され、虚偽の報告や未提出の場合には罰則が科されます。
処分期間内の委託
PCB廃棄物は処分期間内に自己処分または他者に委託処分しなければなりません。委託の違反は、環境大臣または都道府県知事からの命令によって是正されるほか、罰金が課せられます。
譲渡しおよび譲受けの制限
PCB廃棄物は譲渡又は譲受けが禁止されており、違反者には罰金が科されます。
承継
事業者の相続、合併、分割の場合、事業者の地位は承継者に移行します。承継者は、その旨を30日以内に都道府県知事(または市にあれば市長)に報告しなければなりません。報告を怠ったり虚偽の情報を提供したりした場合、罰金が課されます。
PCB廃棄物の適正な保管
PCB廃棄物の保管は特別管理産業廃棄物保管基準に従う必要があります。これには飛散・流出・地下浸透・悪臭発生の防止などが含まれ、基準に適合しない場合、都道府県知事(または市にあれば市長)から是正措置が命じられます。
期間内にPCB廃棄物の処理が出来ないとどうなる?
PCB処理期限について
PCB処理には厳格な期限が設けられています。これらの期限を守ることが、PCB廃棄物の適切な処理と環境保護の重要な一環です。期限を過ぎると高濃度PCBの処理が事実上できなくなり、違反に対して罰則が課される可能性があります。
また、JESCOへの予備登録や搬入荷姿登録など、処理に関連する手続きも期限内に適切に行うことが求められます。
低濃度PCB廃棄物の処理期限
低濃度PCB廃棄物については、令和9年(2027年)3月31日までに処理を完了する必要があります。この期限には、処理施設の予約状況などが影響するため、期限間近になると受託が難しい場合があることに留意する必要があります。
高濃度PCB廃棄物処理期限
高濃度PCB廃棄物については、全エリアで既に処理が終了しています。これはJESCO社のみが高濃度PCBの処理を行うことができることを示しています。
変圧器・コンデンサの処理期限
令和4年(2022年)3月31日までに変圧器とコンデンサの処理が完了しました。
安定器・汚染物質の処理期限
令和5年(2023年)3月31日までに安定器と汚染物質の処理が完了しました。ただし、北海道(室蘭)および東京事業エリアでは処理が終了しています。
PCB処理期限を過ぎてしまった場合
PCB廃棄物の処理期限を守ることは非常に重要です。処理期限は法律上、「計画的処理完了期限(特例処分完了期限)」として設定されており、この期限までに高濃度PCB廃棄物を適切に処理しなければなりません。PCB廃棄物の期限を過ぎてしまうと、法的な制裁や環境への影響が懸念されます。したがって、事業者は期限を守り、処理に必要な手続きを適切に行うことが求められます。
以下は、処理期限が過ぎた場合の具体的な例です。
処理期限を守らずに届出もされていない場合
PCB廃棄物の処理期限までに処理ができず、かつ必要な届出も行わなかった場合、環境省令に基づく改善命令の対象となります。
改善命令は、「遅くとも計画的処理完了期限までに処理を完了するように」と事業者に対して命じるものです。しかし、この命令に従わない場合、3年以下の懲役、1,000万円以下の罰金、またはその併科の罰則が設定されています。
事業終了準備期間の設定
処理期限を過ぎた場合、各処理施設には「事業終了準備期間」が設定されます。この期間は大型変圧器(トランス)・高圧コンデンサ等には計画的処理完了期限の3年後まで、安定器等・汚染物には同2年後まで設定されます。
事業終了準備期間中は、新たに生じる廃棄物や処理が容易ではない廃棄物を処理しながら、事業を完全に終了するための準備期間となります。この期間には、改善命令を受けた上でも処理が完了しなかった事業者の廃棄物も処理されることになります。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、高い耐熱性や電気絶縁性などの特性から産業で広く使用されましたが、環境への影響が判明し、現在は製造と輸入が禁止され、適切な処理が強調されています。
PCBは水に溶けず、高温にも安定して存在できるため、電気機器や熱交換器に利用されていました。しかし、焼却処分など不適切な方法での処理が環境や健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。PCBの毒性は高く、脂肪に溶けやすいため、摂取や皮膚接触により健康被害が生じる可能性があります。
PCBの処理は特別措置法に基づき整備され、厳格な規則が存在します。処理期限を守り、適切な手続きを行わない場合、法的な制裁や事業終了の準備期間が設定され、罰金が科せられる可能性があります。
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