ポリ塩化ビフェニル汚染物の危険性は?PCB産業廃棄物の処理方法 | PCB処理 完全攻略ガイド
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ポリ塩化ビフェニル汚染物の危険性は?PCB産業廃棄物の処理方法
公開:2023.12.27 更新:2023.12.28PCB産業廃棄物およびポリ塩化ビフェニル汚染物は適切な処理が必要です。PCBは科学的に安定していることなどから、さまざまな用途に使用されてきました。しかし、環境への悪影響や人体への被害が明らかになっています。PCBを慢性的に取り込むことによって、発疹などの症状が出るほか、さまざまな病気にかかりやすくなってしまうのです。
被害を拡大させないためにも、PCB産業廃棄物は高濃度・低濃度に分け、指定された施設にて適切な処理を行いましょう。
目次
PCB 産業廃棄物の危険性
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は耐熱性、絶縁性、非水溶性などに優れた性質を持っているため、変圧器、コンデンサー、安定器、感圧紙、塗料、印刷インキといった、さまざまな用途で広く利用されてきました。しかし、その後、環境への悪影響が明らかとなったため、現在では製造および輸入の禁止措置対象です。こちらでは、PCB 産業廃棄物の危険性について、詳しくご紹介いたします。
◇現在は製造も輸入も禁止されているPCB 産業廃棄物
PCB 産業廃棄物とは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃棄物のことを指し、簡単に言うと、人工的に作られた油状の化学物質のことを指します。また、PCB に汚染された廃油、廃酸、廃アルカリなどはポリ塩化ビフェニル汚染物です。
PCBは環境に対する影響や健康に対するリスクが非常に高いことから、日本に限らず、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの世界の多くの国々で禁止措置の対象とされています。
PCBは水に溶けにくく、沸点が高く、熱で分解されにくい性質を持っており、これらの特性が環境や健康に対して影響を及ぼす主な要因であると言えるでしょう。かつて、さまざまな用途で広く利用されてきたPCBですが、現在では、製造および輸入を禁止されています。
◇慢性的な摂取で人体に悪影響を及ぼす
PCBが慢性的に体内に入り込むことにより、健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。食物連鎖などにより、人間がPCBを大量に摂取してしまった場合、発疹、色素沈着、肝機能障害、免疫機能の低下などの症状が出るほか、発がん性の疑い、肺炎、ウイルス性の病気にかかりやすくなるなどのさまざまな病気を招くおそれがあり、大変危険です。
なお、過去にPCBが大きく取り上げられた事件として、西日本一帯を中心に発生した、カネミ油症事件が挙げられます。1968年、米ぬか油にPCBが混入したことにより、食中毒事件が発生しました。
PCB 産業廃棄物が使用されている可能性のある電気機器
PCBは化学的に安定した性質を持っていることから、かつて、さまざまな用途で広く利用されてきました。PCBが使用されている機器をPCB汚染物と呼ばれます。こちらでは、PCBが使用されている可能性のある電気機器について、詳しくご紹介いたします。
◇変圧器(トランス)
変圧器(トランス)とは、交流電力の電圧の高さを変換する電力機器や電子部品のことを指し、かつて、工場やビルなどで広く利用されてきました。なお、昭和28年(1953年)から昭和47年(1972年)の間に日本国内で製造された変圧器(トランス)の中には、PCBが使用された可能性のあるものも存在しています。
◇コンデンサー
コンデンサーとは、電気を蓄えたり、放出したりする電子回路に欠かせない電子部品のことを指し、変圧器(トランス)と同様に工場やビルなどで広く利用されてきました。なお、変圧器(トランス)と同様に昭和28年(1953年)から昭和47年(1972年)の間に日本国内で製造されたコンデンサーの中には、PCBが使用された可能性のあるものも存在しています。
◇照明器具の安定器
照明器具の安定器とは、蛍光灯などの照明器具に用いられる安定器のことを指し、工場や学校などの蛍光灯などで広く利用されてきました。PCB 産業廃棄物が使用されている可能性のあるものは業務用の照明器具の安定器であり、一般家庭などで使用されているものにPCB産業廃棄物が含まれていることはないでしょう。
なお、昭和32年(1957年)から昭和47年(1972年)の間に日本国内で製造された照明器具の安定器の中には、PCBが使用された可能性のあるものも存在しています。
PCB 産業廃棄物は濃度によって2つの処理方法がある
画像出典:フォトAC
PCB 産業廃棄物には、低濃度PCB 産業廃棄物と高濃度PCB 産業廃棄物の2つの種類のものがあり、それぞれ、基準、処分先、処分費用が大きく異なります。こちらでは紹介しているのは、低濃度PCB 産業廃棄物と高濃度PCB 産業廃棄物の処理方法です。
◇高濃度PCB 産業廃棄物の処理方法
高濃度PCB 産業廃棄物として、高圧変圧器(高圧トランス)、高圧コンデンサー、業務用照明器具の安定器などが挙げられます。高濃度PCB 産業廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処分が行われており、3kg以上~10kg未満の機器類の場合、処理料金(円)=30,800(円/kg)×1台当たりの総重量(kg)ほどが処分費用の目安であると言えるでしょう。
なお、これに加え、運搬費用などが別途発生する場合もあります。
◇低濃度PCB 産業廃棄物の処理方法
低濃度PCB 産業廃棄物として挙げられるのは、廃油、廃プラスチック、汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、金属くず、陶磁器くずなどです。
低濃度PCB 産業廃棄物は環境大臣が認定する無害化処理認定施設または都道府県知事などが許可する施設で処分が行われており、業者や対象物の大きさや形状により、処分費用が異なってきます。そのため、低濃度PCB 産業廃棄物の処理を検討中の方は業者に見積もりを依頼するとよいでしょう。
なお、高濃度PCB 産業廃棄物と同様、処分費用に加え、運搬費用などが別途発生する場合もあります。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は耐熱性や絶縁性に優れ、変圧器や安定器などで幅広く使用されましたが、環境への悪影響から製造・輸入が禁止されました。PCBは食物連鎖を通じて人体に影響を及ぼし、慢性的な摂取は健康に重大な被害をもたらす可能性があるでしょう。特に妊娠期間中や母乳経由で赤ちゃんに侵入する危険性が指摘されています。過去のカネミ油症事件などでその危険性が浮き彫りになりました。PCB産業廃棄物は適切な処理が必要です。低濃度は無害化処理認定施設で処分され、高濃度はJESCOでの処理が行われています。
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