ポリ塩化ビフェニル類とは?PCB規制や産業廃棄物業者選定を解説 | PCB処理 完全攻略ガイド
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ポリ塩化ビフェニル類とは?PCB規制や産業廃棄物業者選定を解説
公開:2024.01.25 更新:2024.01.26ポリ塩化ビフェニル類(PCBs)」は有機塩素化合物で、209種類の塩素化合物から成り、高い安定性と毒性を持っています。かつては絶縁材や冷却油として広く使われましたが、その環境リスクから新規使用が禁止され、既存の機器にも規制がかかりました。日本ではPCB特別措置法に基づき、PCB廃棄物の適正処理が義務付けられており、期限内での処分が求められています。
目次
ポリ塩化ビフェニル類とは?構造と性質
ポリ塩化ビフェニル類とは、化学的に合成された有機塩素化合物の一種です。これらの化合物は、特異的な構造と性質を持ち、さまざまな用途で利用されてきました。以下では、ポリ塩化ビフェニル類の構造と性質について詳しく解説します。
◇ポリ塩化ビフェニル類とは
ポリ塩化ビフェニル類(PCBs)は、209種類の塩素化合物で構成される有機物です。これらはベンゼン環が2つ結合した化合物で、水素が塩素に置き換わったものです。
ポリ塩化ビフェニル類は非常に安定した化合物で、脂溶性であり、生体内での代謝が難しい特性を持っています。したがって、ヒトがポリ塩化ビフェニル類を摂取すると、これが肝臓や脂肪組織に蓄積されることが知られています。
毒性の観点から、ポリ塩化ビフェニル類は2つの主要なグループに分けられます。1つはダイオキシンに似た構造を持つdl(dioxin-like)PCBsで、もう1つはndl(non-dioxin-like)PCBsです。dlPCBsは12種類が特に毒性が高く、WHOがTEQ(毒性当量値)で評価しています。一方、ndlPCBsは独自の毒性を持ち、特にPCB 28、52、101、138、153、180の6種はndlPCBsの代表的な存在とされ、指標PCBsとも呼ばれています。
最近では、特にアメリカなどで、全ての209種類のポリ塩化ビフェニル類を総合的に評価する考え方が広まっています。 ポリ塩化ビフェニル類はその高い毒性と持続性から環境と健康に対する潜在的なリスクを抱えており、適切な管理と処理が不可欠です。
◇耐熱性・絶縁性に優れ幅広く利用されていた
ポリ塩化ビフェニル類はその特殊な性質から、不燃性であり、電気絶縁性に優れていました。そのため、過去には絶縁油やコーティング剤、プラスチックなどの製造に広く使用されました。
具体的な用途としては、変圧器やコンデンサーなどの電気機器内の絶縁材、電気機器の冷却油(絶縁油)、ノンカーボン紙などが挙げられます。このようにPCBは、各産業において欠かせない材料とされていました。
高い環境リスクを持つポリ塩化ビフェニル類
画像出典先:フォトAC
ポリ塩化ビフェニル類は高い毒性を持ち、環境におけるリスクも極めて高い化合物です。そのため、ポリ塩化ビフェニル類の使用や処分に関する法規制が厳格化され、環境保護と人間の健康のためにさまざまな措置が取られています。
◇高毒性で環境リスクも高い
PCBはその高い毒性により、環境への深刻なリスクをもたらすことが明らかとなっています。PCBを含む有機化合物は分解が難しく、生態系において蓄積されることで生態的影響を引き起こす危険性があるためです。特に水中生態系において、PCBの存在が生態的なバランスを崩し、生物多様性に悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。
同時に、PCBは食物連鎖を通じて人間に蓄積され、摂取すると免疫機能や神経系など人体に多くの悪影響を与える点も重大なポイントです。慢性的な摂取により、発がん性や発育異常といった深刻な健康問題を引き起こす可能性があり、国際的な法規制が進んでいます。
◇PCB利用禁止および処分義務
PCBは人体に対して発がん性や内臓障害の危険性が高いため、新たな電気機器への使用が禁止されています。また、既存の電気機器にはPCBが含まれていても、そのまま使用することは法令違反ではありません。しかし、これらの電気機器が取り外された場合、再利用は禁じられています。
取り外されたPCB機器は、産業保安監督部に「PCB含有電気工作物の廃止」を届け出る必要があり、さらに都道府県知事にも届け出を行い、PCB廃棄物として適切に保管および処理する義務が課せられます。
また、新設や移設、既存の電気機器内でのPCBを使用しない電気機器への交換など、PCBを含む電気機器に対する変更や改修も禁止されています。これに関連して、電気機器に新たにPCBを含む物質を混入、入替え、補充することも許可されていません。したがって、古い電気機器から部品や材料を再利用することもできません。
PCBを含む電気機器は、譲渡や受け渡しも禁止されており、これに違反すると刑罰が科される可能性があります。また、事業者間で合併や統廃合が行われた場合、PCB電気機器も引き継がれ、それに伴う管理義務も継承されます。
国際的な取り組みにより、PCBの使用は世界的に禁止されつつあり、日本国内でもPCB廃棄物の適切な処理が法律によって義務付けられました。これらの規制を守らない場合、罰則が適用されることになります。 PCBの高い環境リスクを踏まえ、正しい処理と管理が求められています。
PCB処理への規制と正しい対応方法
日本におけるPCB廃棄物の処理に関する規制は、近年ますます厳格化しています。これは環境保護推進を基にした措置であり、企業や組織はこれに対して適切な対応が必要です。以下に、日本におけるPCB廃棄物に関する規制や法令、そしてそれに対する適切な対応方法についてご紹介します。
◇PCB特別措置法
「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(以下、PCB特別措置法)は、2001年6月22日に公布・施行された法律です。この法律は、PCB廃棄物の適正な処理を推進し、環境への影響を最小限に抑えることを目的としています。
PCB特別措置法では、PCB廃棄物の処理に関する基本的な原則や指針を定め、事業者に対しては特定の基準の厳守や取り扱いの許可申請を求めています。
◇保管・処分の届け出の義務
PCB特別措置法に基づき、PCB廃棄物を取り扱う場合には、保管や処分を行う事業者の届出(都道府県知事への届出)が義務付けられています。この届出の目的は、PCB廃棄物の適正な管理・処理が行われ、環境への悪影響や公衆の安全へのリスクが最小限に抑えることです。
◇期限内での処分義務
PCB特別措置法では、PCB廃棄物の期間内の処分に関する規定が設けられています。PCB廃棄物を取り扱う事業者は、PCB廃棄物を自己処分または外部のPCB廃棄物処分業者に委託し、期限内に処分しなければなりません。
期間内の処分を怠ると、環境大臣または都道府県知事が期限を設定した上で、必要な是正措置の命令を事業者に対して行うことができます。
ポリ塩化ビフェニル類(PCBs)は、209種類の塩素化合物から成る有機物で、ベンゼン環2つが結合し、水素が塩素に置き換わった化合物です。PCBsは非常に安定しており、脂溶性で生体内での分解が難しいため、環境と健康に高いリスクを持っています。特にdlPCBsは毒性が高く、ndlPCBsも重要な毒性を持ちます。
過去にはPCBsは耐熱性や絶縁性に優れ、電気機器の絶縁材や冷却油として広く使用されました。しかし、その高い毒性と持続性から環境への深刻なリスクが明らかになり、新たな電気機器への使用が禁止されました。既存の機器にPCBsが含まれていても、取り外された場合は再利用が禁止され、適切な処理が義務付けられます。
PCBsの処理に関する規制は、日本国内でも厳格化しており、PCB特別措置法が制定されました。この法律に基づき、PCB廃棄物の適正な管理・処理が求められており、期限内での処分義務も規定されています。これに違反すると、環境大臣または都道府県知事から是正措置の命令が出される可能性があります。従って、PCBsの適切な処理と管理が強調されています。
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