絶縁油は電気機器の絶縁や冷却に用いられ、劣化により定期的な交換が必要です。一方、絶縁油がPCB廃棄物に該当するかどうかは、PCB濃度が0.5㎎/㎏以下であるかが基準で、この基準を超える場合は特別な処理が必要です。こちらでは、絶縁油の重要性とPCB廃棄物の判定基準、適切な処理方法について解説します。
目次
絶縁油とは?劣化するため定期的な交換が必要

絶縁油とは電気機器の絶縁と発生熱を冷却するために用いられる油であり、変圧器や回路遮断器、コンデンサー、安定器などに採用されています。絶縁油は長年使い続けることで絶縁や冷却機能が低下していくことから、定期的なメンテナンスと交換を行うことが重要です。
◇絶縁油とは
絶縁油は可燃性の油であり、電気機器などの絶縁と発生した熱を冷却することを目的とした油の総称です。変圧器や回路遮断器、コンデンサー、安定器などに採用されています。特に変圧器や蓄電器などの電気機器内は、絶縁油を満たした状態とすることで熱を下げる仕組みとなっています。
また変電設備においては漏電を防ぐために高圧の電線やコイルを絶縁油で包んでおり、絶縁油は安全な変電設備において欠かせない役割を担っているといえるでしょう。
◇絶縁油の交換が必要な理由と目安
電気機器の絶縁や冷却に使用される絶縁油は、長期間交換することなく使用していると劣化が進んでしまいます。その結果、絶縁性能が低下したり、最悪の場合は電気機器自体の故障に繋がり機器本体を更新する必要が出てくる場合もあります。
そのため絶縁油の劣化状態については定期的なメンテナンスを行い、必要に応じて絶縁油の交換することが重要です。そして10年を目安とした定期的な絶縁油のメンテナンスを施すことで、電気機器は通常であれば15年から20年とされる機器寿命を超えて、より長く安全に使い続けることが可能となるでしょう。
また絶縁油の交換は機器本体の更新と比較して安価なことから、電気機器を維持し続ける上でのコスト面においても大きな効果が期待できます。
PCB廃棄物として処理が必要な絶縁油の基準と判別方法

PCB廃棄物として処理が必要な絶縁油の基準はPCB濃度が0.5㎎/㎏以下であるかが判断基準となります。また絶縁油の縁油がPCB汚染されているかについての判別は、電気機器の製造年や採取した絶縁油のPCB濃度を測定することで判別が行われます。
◇PCB廃棄物か否かの判定基準
PCB廃棄物か否かの判断基準として、廃重電機器等については機器の内部に封入された絶縁油中のPCB濃度が0.5㎎/㎏以下であるかが判断基準となっています。PCB濃度が0.5㎎/㎏以下であればPCB廃棄物には該当せず、普通産業廃棄物として扱われます。
一方でこの基準となるPCB濃度が0.5㎎/㎏を超える絶縁油が封入された廃重電機器等に関しては、廃油のみでなく廃油によって汚染された周辺部材も一式PCB廃棄物として扱う必要があります。
そのため汚染された容器や鉄心、コイル、鉄くず、絶縁紙、押さえ棒などについても全てPCB廃棄物として扱わなければならない点に注意が必要です。またその他の金属くずや陶磁器くずの卒業基準においても、0.5㎎/㎏を超える絶縁油が付着していないかが判断基準として設定されています。
◇絶縁油の判別方法

電気機器に使用されている絶縁油がPCB汚染されているかについての判別は、電気機器の製造年によって大まかに判別することが可能です。そのため判別をするには電気機器に取り付けられた銘板に記載された製造年を確認することが重要です。
まず絶縁油の採取が可能である変圧器等の機器は、1993年以前に製造されたものについてはPCB汚染の可能性があります。また1994年以降に製造されたものについては、絶縁油の交換や継ぎ足しによってPCB汚染されている可能性もあり正確には判別が難しいでしょう。
そのため正確な絶縁油の判別を行うには、停電時に電子機器から採取した絶縁油をPCB濃度を測定する必要があります。次に絶縁油封じ切り機器であるコンデンサーには、1990年以前に製造されたものについてはPCB汚染の可能性があり、1991年以降に製造されたものについてはPCB汚染の可能性はありません。
そしてコンデンサーの廃棄をする場合には、穴を開けて絶縁油を採取しPCB濃度を測定するか、銘柄情報などから高濃度でないことが明らかな場合には低濃度PCB汚染物とみなして処分することが可能とされています。
◇絶縁油のPCB濃度を調べるには

絶縁油がPCBに汚染されているかどうかを判断するためには、調査機関に依頼する方法と、サンプリングキットを利用して自社で採取・分析を行う方法があります。
一般的には停電中に変圧器などから少量(1~2ml)を採取し、分析機関に提出することで正確な濃度を測定します【参考:経済産業省】。PCBは昭和43年のカネミ油症事件を契機に、その有害性が広く認知されるようになりました。
国際的にはストックホルム条約により廃絶・削減が進められており、日本でもPCB特別措置法に基づき、低濃度PCB廃棄物の処理期限は令和9年(2027年)3月末と定められています。そのため、適切な採取と分析を行い、該当性を早期に確認することが重要です。
特に1993年以前に製造された変圧器や、1990年以前に製造されたコンデンサーについては汚染の可能性が高いため、分析による確認が推奨されます。
◇調査機関
PCB廃棄物の調査を正確かつ安全に実施するには、PCB調査士が在籍する調査機関を選ぶことが望ましいとされています。PCB調査士とは、一般社団法人日本PCB全量廃棄促進協会が認定する専門資格で、PCBに関する幅広い知識と実務経験を持つ人材です。
従来、施設担当者や電気工事業者が調査を行ったにもかかわらず、後にPCB使用安定器が発見されるケースも多数報告されています。こうしたリスクを防ぐためにも、専門家による調査は不可欠です。
PCB調査士は講習と試験を経て認定され、調査時の安全衛生対策やPCB廃棄物の適正処理を徹底できる人材として育成されています。そのため、PCB調査士が在籍する機関へ依頼することで調査精度が高まり、環境汚染や健康被害を未然に防止することができます。
◇自社で採取するときの注意点

稼働中の電気機器から絶縁油を採取する場合、必ず電気主任技術者の立会いが必要です。感電や機器の破損といった重大事故を防ぐため、停電状態で作業を行うことが大前提となります。
採取時には保護メガネ、耐油手袋、マスクなどの防護具を着用し、万一の漏洩に備えて吸油マットや受け皿を準備しておきましょう。また、採取後の廃ウエスやスポイトなどもPCB汚染物として扱う必要があります。
採取口がある変圧器では、コックを開いて1~2ml程度の絶縁油を容器に採取します。採取口がない場合は上部の蓋を外し、ピペットで少量を吸い上げます。コンデンサーなどの封じ切り機器は使用中に開口すると機能を失うため、廃止後に実施する必要があります。
開口部に小孔を設け、絶縁油を1~2ml採取して容器に移し、封口処理を施して漏洩を防ぎます。この際も油が飛散する可能性があるため、オイルパン上で慎重に作業することが求められます。
絶縁油採取時に飛散や漏洩が発生した場合は、ノルマルヘキサン等の溶剤を染み込ませた布で汚染箇所を拭き取り、必要に応じて床面を削り取る処置を行います。
採取に使用した器具類は、油のPCB濃度が基準値(0.5mg/kg)を超えれば汚染物扱いとなり、他の廃棄物と区分して保管・処分することが義務付けられています。
一方で、岐阜県公衆衛生検査センターなどの分析機関が提供するサンプリングキットを利用すれば、必要な器具(スポイト、ガラス瓶、チャック袋など)が揃っており、採取後は返送するだけで検査依頼が可能です。
この方法を利用することで、自社で安全に採取を行いつつ、分析精度を確保することができます。
つまり、自社で絶縁油を採取する際には「電気主任技術者の立会い・停電作業・防護具の着用・汚染物の適正管理」が最低条件となり、専門マニュアルや分析機関の指示に従って慎重に作業を進めることが不可欠です。
能を失うため、廃止後に実施しなければなりません。開口部に小孔を開け、絶縁油を1~2㎖採取して容器に移し、封口処理を施して漏洩を防ぎます。この際も油が飛散する可能性があるため、オイルパン上で慎重に作業する必要があります。
絶縁油採取時に飛散や漏洩が発生した場合は、ノルマルヘキサン等の溶剤を染み込ませた布で汚染箇所を拭き取り、必要に応じて床面を削り取る処置を行います。
採取に使用した器具類は、油のPCB濃度が基準値(0.5mg/kg)を超えれば汚染物扱いとなり、他の廃棄物と区分して保管・処分することが義務付けられています。
◇調査費用
PCB調査の費用は、一般的に検体1個あたり1〜2万円程度が相場とされています。ただし、台数や現場の状況によっては費用が膨らみ、適正価格より割高になるケースも少なくありません。さらに処分期限が迫る中、一部の業者では相場の5倍以上という高額な見積もりを提示する事例も報告されています。
こうした事態を避けるためには、必ず複数業者から見積もりを取り、費用を比較検討することが重要です。加えて、国の補助金制度を活用すれば調査費用の一部(最大40%、最大40万円)が助成されるため、コストを抑えて適正価格で調査を依頼することが可能です。
期限内の処理を確実に行うためにも、余裕を持った準備と信頼できる業者選定が不可欠です。
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絶縁油がPCB廃棄物の場合の処理方法

絶縁油は、消防法では「第四類・第三石油類」の可燃性液体に分類されます。貯蔵や取扱の容量によって規定され、水溶性の場合は4,000L、非水溶性の場合は2,000Lが指定数量とされています。これを超過する場合は、一般危険物取扱所として扱わなければなりません。
絶縁油を変圧器内部の冷却・絶縁に使用する場合は、電気設備としての扱いとなり、消防法上の危険物としては扱われませんが、消防機関によっては特別な指導があることもあります。絶縁油には有害成分であるPCBが含まれる場合があり、適切な処理が必要です。不適切な処分は違法行為となり、罰金などの刑罰が科される可能性があります。
◇低濃度PCBの場合

PCB濃度が0.5 ㎎/㎏を超え、5,000 ㎎/㎏以下である機器は低濃度PCB含有廃棄物として扱われます。また紙くずや木くず、繊維くず、汚泥、廃プラスチック類等の可燃性があるものは0.5 ㎎/㎏を超え、100,000 ㎎/㎏以下のものがPCB含有廃棄物として扱われます。
そしてこれらの低濃度PCB含有廃棄物は、認定を受けた処理施設等で焼却処理がなされます。
◇高濃度PCBの場合
PCB濃度が5,000㎎/㎏を超える機器は高濃度PCB含有廃棄物として扱われます。高濃度のPCB廃棄物は、100%政府出資の施設であるJESCOが全国5か所に設置したPCB廃棄物処理施設で処理されます。この施設での処理が必要です。高濃度のPCB廃棄物は特別な扱いが必要であり、外部の専門施設で処理されることが一般的です。
◇PCB廃棄物に該当しない場合

絶縁油がPCB廃棄物に該当しないことを確認するためには、製造メーカーに問い合わせるか、絶縁油の分析を行いPCB濃度が0.5mg/kg以下であることを確認する必要があります。該当しない場合は、通常の産業廃棄物として処理することができますが、処理業者に書面で提供する情報が必要です。
◇絶縁油からPCB廃棄物が発見された事例

近年の調査では、受電設備において絶縁油から低濃度PCBが検出される事例が相次いで報告されています。例えば、事業場内で電力を低圧に変換する作業中に既存の変圧器やコンデンサーを分析したところ、いずれからも低濃度PCBが検出されたケースがあります。
また、長年管理されずに放置されていた古いキュービクルからPCB含有機器が見つかった例や、更新予定の変圧器を廃棄前に分析した結果、低濃度PCBが含まれていた事例も確認されています。これらの多くは昭和50年代以前に製造された機器であり、適切な分析と処分を怠ると環境汚染や処分期限超過のリスクにつながります。
環境省が公表している事例集でも、古い受電設備や電気室には低濃度PCB廃棄物が残存している可能性が高いと指摘されており、必ず銘板や製造年を確認し、疑わしい場合には分析機関に依頼することが重要です。
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見つけにくいPCB廃棄物の事例

PCB廃棄物は一見すると存在しないように思われても、実際には思わぬ場所に残存しているケースが少なくありません。特に長年使用されていない電気設備や、建物の暗所・高所・倉庫内といった「見つけにくい場所」では、調査を重ねた後でもPCB使用機器が発見される事例が報告されています。
こうした事例は、徹底した掘り起こし調査や立入調査の重要性を示しており、見落としを防ぐことが適正処理の確実な実行につながります。
◇変圧器・コンデンサー

変圧器やコンデンサーは、工場や事業所の電気設備に数多く設置されていますが、その中には高濃度PCBを含むものが残置されているケースがあります。特に「見つけにくい場所」や「高所」に設置された機器は調査で見落とされやすく、発見の遅れにつながります。
例えば、ある工場では昼間でも薄暗い倉庫の一角に置かれていたステンレス製の箱の中から、高濃度PCB含有コンデンサーが発見されました。当初の調査では「PCB使用機器なし」と回答されていましたが、従業員が片付け作業を行う過程で偶然見つかったものです。
別の事例では、電気室内の壁に立てかけられた資材を撤去した際、その奥から高濃度PCBコンデンサーが姿を現しました。担当者や電気保安法人も存在を把握していなかったため、まさに「見つけにくい場所」で長期間放置されていたのです。
また、高所に設置された受電設備から発見された事例もあります。廃工場の現地調査では、建物の高所に据え付けられていた高圧受電設備を確認したところ、高濃度PCBコンデンサーが残置されていました。
別の工場では、道路沿いから見える高所に古いキュービクルがあり、職員が銘板を確認したところ、同様に高濃度PCB廃棄物が確認されています。いずれも「視認しにくい高所」にあったため、通常の点検では発見が難しい典型例です。
これらの事例が示すように、PCB含有機器の調査では暗所や物陰だけでなく、高所や使われなくなった電気設備も対象として徹底的に確認する必要があります。
掘り起こし調査では電気主任技術者や事業者に隅々まで確認してもらい、自治体による立入調査でも高所設備を含め漏れのない点検を行うことが重要です。見落としを防ぐことが、PCB廃棄物の期限内処理と環境リスク低減に直結します。
◇安定器

安定器は照明器具の内部に組み込まれていることが多く、天井裏や壁面に隠れているため、調査で見落とされるケースが少なくありません。特に古い建物や利用頻度の低いスペースでは、PCB使用安定器が残置されたままになっている事例が全国で報告されています。
実際の発見事例としては、倉庫の天井角部に設置されていた古い安定器が代表的です。自治体職員による調査の際、ふと目に入った照明器具を確認したところ、銘板からPCB使用安定器であることが判明しました。倉庫は人の出入りが少なく、通常の点検では気付きにくい場所でした。
また、昭和38年竣工の建物では、普段ほとんど使われない機械室の蛍光灯にPCB使用安定器が残されていました。暗く狭い空間のため、これまでの調査では見逃されていたものです。
さらに、昭和40年設置の商店街アーケードでは、修繕工事中に天井骨組みに固定された水銀灯安定器が発見されました。銘板が読み取れなかったものの、設置年代からPCB含有と判断され処分対象となりました。この商店街は以前の掘り起こし調査で「保有なし」と報告されていたため、現場確認の重要性を示す事例です。
同様に、昭和40年代前半に建てられた施設の資材置き場を調査したところ、蛍光灯器具に高力率型の安定器が設置されており、PCB使用機器と判明しました。資材倉庫や小部屋など、人目につかない空間に残置されるケースは少なくありません。
これらの事例が示すのは、安定器が「天井」「骨組み」「資材置き場」など通常の点検では意識されにくい場所に隠れているという点です。
過去の調査で「保有なし」とされた施設でも、改修や解体のタイミングで新たに発見されることが多いため、掘り起こし調査や立入調査では隅々まで確認する必要があります。特に古い建物や昭和40年代以前に竣工した施設は、重点的な調査が不可欠です。
PCB廃棄物の調査・処理で使える助成制度

PCB廃棄物の調査や処理には大きな費用がかかりますが、その負担を軽減できる助成制度が整備されています。国の制度を活用することで、環境リスクを抑えながら、期限内に適正な処理を進めることが可能です。こちらでは、低濃度PCB廃棄物に関する主な助成制度の内容を紹介します。
◇低濃度PCB廃棄物の処理等に係る助成制度

中小企業者等を対象に、処理にかかる費用の一部を国が助成する制度です。申請の窓口は公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団で、令和7年4月1日から受付が開始されています。
助成の対象となるのは、分析費(試料採取費を含む)、収集・運搬費(漏えい防止措置を含む)、処分費など、PCB廃棄物の処理に直接必要な経費です。助成額はこれらの費用の2分の1(消費税を除く)が補助される仕組みであり、期限内に確実に処分を進めるための大きな後押しとなります。
助成対象者は、業種ごとに定められた資本金や従業員数の基準を満たす中小企業、個人事業主、中小企業団体等に加え、一定規模以下の医療法人・学校法人・社会福祉法人なども含まれます。
さらに、解散した事業者からPCB廃棄物を引き継いだ個人や、破産管財人なども対象となる場合があります。こうした幅広い対象設定により、多くの事業者が助成を活用できるよう配慮されています。
◇分析費の助成
低濃度PCB廃棄物の処理においては、まず対象機器がPCBに汚染されているかどうかを確認するための分析が必要です。この際にかかる試料採取や分析費用の一部について、助成制度が設けられています。
対象となるのは、高濃度PCB機器や安定器を除いた電気機器の絶縁油を調べるための分析で、環境省が定める検定方法やガイドラインに基づいたものに限られます。
助成金額は経費の2分の1で、1検体あたり最大1万円が上限となります。これにより事業者の費用負担を軽減し、確実な調査を促進することが制度の目的です。
◇処理費の助成

低濃度PCB廃棄物の処理には、収集・運搬から漏えい防止、最終処分に至るまで多くの工程と費用が伴います。その負担を軽減するために、処理費用に対する助成制度が用意されています。助成対象となるのは次の通りです。
1. 収集・運搬(積込み・積下ろしを含む)に要する経費
2. 漏えい防止措置に要する経費
3. 処分に要する経費です。
助成額は原則として対象経費の2分の1であり、収集・運搬については機器1台あたり最大192,500円、小型機器・ドラム缶で75,000円、ペール缶で73,500円が上限となります。また、漏えい防止措置には1台あたり50,000円が適用されます。
処分費用については、変圧器やコンデンサーなどの電気機器は1,000円/kg、廃油は200円/kg、汚染物は900円/kgの標準単価を基準とし、申請額と比較して低い方の金額の2分の1が助成されます。
この制度を活用することで、事業者はコストを抑えながら、安全で適正な処理を着実に進めることが可能となります。
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PCB産業廃棄物でおすすめの処理業者3選
PCB廃棄物の処理は、期限が法律で定められているうえに高度な専門性を必要とするため、信頼できる業者選びが欠かせません。こちらでは、実績・技術力・安全管理の観点から特に評価の高い処理業者を3社紹介します。
◇丸両自動車運送株式会社

丸両自動車運送株式会社は、静岡県静岡市清水区に本社を構える産業廃棄物処理・運搬の老舗企業で、創業から間もなく100周年を迎える歴史ある会社です。
もともとは運送業として物流を担ってきましたが、時代の要請に応じて産業廃棄物処理分野へ事業を拡大し、循環型社会の構築に大きく貢献してきました。特にPCB廃棄物処理において豊富な実績を持ち、全国45都府県で収集運搬の許可を取得して幅広いニーズに対応できる体制を整えています。
同社の強みは「丸両におまかせください!」というスローガンに集約されています。PCB廃棄物の収集・運搬に加えて、煩雑な書類作成や届出の代行までワンストップで支援。さらに3,000件以上のPCB処理実績を誇り、専用講習を修了した作業従事者のみが業務を担当することで、安全性と信頼性を確保しています。
会社名 | 丸両自動車運送株式会社 |
所在地 | 〒424-0036 静岡県静岡市清水区横砂西町10-6 |
電話番号 | 054-366-1312 |
公式ホームページ | https://www.maruryou.jp/ |
輸送にはJESCO基準に適合した専用容器を使用し、GPSで運搬経路をリアルタイムに監視。万一の事故にも最大10億円規模の保険で備えており、依頼者が安心して任せられる環境を整備しています。まさに「PCB処理なら全て丸両に」という体制で、中小企業や自治体から高い信頼を得ています。
・蛍光灯安定器の処理事例
丸両自動車運送が携わった静岡県内工場での蛍光灯安定器処理事例は、同社の技術力を示す代表的な例です。約30万本以上の安定器仕分け実績を持つ同社は、この現場で外付けコンデンサータイプの安定器を発見しました。
このタイプは露出したコンデンサー部分のみが高濃度PCBとして処理対象となるため、丸両では安定器を分解し、コンデンサー部分を高濃度PCBとして適正処理。本体部分は別途分析の上、低濃度PCBとして処理しました。
その結果、処分費用を大幅に削減でき、依頼者にとって経済的なメリットが生まれました。重量換算では本体2.8kgのうち0.3kgのみを高濃度として扱い、残り2.5kgを低濃度処理としたため、処分単価を抑えることができたのです。
このように「必要な部分を見極めて的確に処理する」技術力こそが、丸両が選ばれる大きな理由です。
丸両自動車運送株式会社の口コミ評判記事はこちら!
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社ダイセキ環境ソリューション

株式会社ダイセキ環境ソリューションは、愛知県名古屋市に本社を構え、土壌汚染調査や環境対策を中心に幅広い事業を展開する環境ソリューション企業です。
その中でもPCB廃棄物事業は、工場閉鎖や破産物件に伴う土地調査などを契機に数多くの相談を受けてきた分野であり、調査から処理まで一貫したサポート体制を整えています。
同社が提供するサービスは多岐にわたり、変圧器やコンデンサーといった機器の調査・分析をはじめ、行政への届出書類作成や特殊ケースでの相談対応など、事業者が直面しやすい課題を包括的に支援しています。
また、屋上や地下からの機器引き出し作業にも対応し、現場ごとの状況に応じた柔軟な解決策を提示できる点も強みです。
会社名 | 株式会社ダイセキ環境ソリューション |
所在地 | 〒467-0852 愛知県名古屋市瑞穂区明前町8-18 |
電話番号 | 052-819-5310 |
公式ホームページ | https://www.daiseki-eco.co.jp/ |
さらに、愛知県弥富市に設置された名古屋トランシップセンターでは、低濃度PCB廃棄物を効率的に収集・一時保管し、抜油や処分施設への輸送を行う仕組みを構築。少量のPCB廃棄物を相積みによりまとめて輸送することで運搬コストを削減できる点は、事業者にとって大きな利点です。
加えて、PCB不含機器の回収や大型機器の解体にも対応し、金属スクラップや絶縁油の再資源化まで行うことで、持続可能な循環型社会の実現に貢献しています。
株式会社ダイセキ環境ソリューションの口コミ評判記事はこちら!
◇トーテツ興運株式会社

トーテツ興運株式会社は、栃木県小山市に本社を置き、東京鉄鋼グループの一員として物流・産業廃棄物処理を担う総合企業です。PCB廃棄物の収集・運搬・処分に関しても特別管理産業廃棄物処理業の許可を取得し、法令に基づく安心・安全な対応を提供しています。
PCBは耐熱性や絶縁性の高さから広く利用されましたが、現在は特別管理産業廃棄物に指定され、期限内の適正処理が求められています。同社はそのニーズに応えるべく、ワンストップでサービスを展開しています。
同社のサービスの特長は大きく3点あります。第一に、収集・運搬・処分に加え、搬出・分解・抜油・漏洩機器の補修など付帯作業まで一括対応できる点。第二に、関東・東北を中心に収集運搬エリアを展開し、今後もニーズに応じて許可エリアを拡大していく柔軟性。第三に、小型車から大型トレーラーまで幅広い車両を備え、現場に応じた機動的な対応が可能である点です。
会社名 | トーテツ興運株式会社 |
所在地 | 〒323-0813 栃木県小山市横倉590-2 |
電話番号 | 0285-27-4422 |
公式ホームページ | https://totetsukoun.co.jp/ |
また、安全への取り組みにも力を入れており、乗務前後の点呼や法定点検、アルコールチェックに加え、リスクアセスメントを徹底。さらに、社内安全セミナーや外部研修を積極的に取り入れ、社員全員が高い安全意識を維持しています。
その成果として「安全性優良事業所(Gマーク)」の認定や「ISO14001」など数多くの環境・安全認証を取得。環境負荷の低減や3R活動にも積極的に取り組んでいます。
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まとめ

絶縁油は電気機器の絶縁や発生した熱の冷却に用いられ、変圧器や回路遮断器、コンデンサーなどの様々な電気機器に広く採用されています。長期間の使用により絶縁油は劣化し、その結果絶縁性や冷却効果が低下します。そのため定期的な交換が必要であり、絶縁油のメンテナンスは電気機器の安全性や信頼性を保つために重要です。
PCB廃棄物として処理が必要な絶縁油の基準は、PCB濃度が0.5㎎/㎏以下であるかどうかです。PCB濃度がこの基準を超える場合、絶縁油は特別な処理が必要なPCB廃棄物と見なされます。絶縁油がPCB廃棄物かどうかを判断するには、電気機器の製造年や採取した絶縁油のPCB濃度を測定することが一般的です。
絶縁油の適切な管理と処理は、環境への影響を最小限に抑えるだけでなく、法規制や安全基準に適合するためにも重要です。安全かつ効果的な絶縁油の管理には、定期的なメンテナンスと交換、PCB濃度の測定と適切な処理が含まれます。これらの手順を遵守することで、電気機器の寿命を延ばし、安全性を確保することができます。
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