PCB廃棄物の見分け方とは?トランス・コンデンサなどの銘板から判別 | PCB処理 完全攻略ガイド
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PCB廃棄物の見分け方とは?トランス・コンデンサなどの銘板から判別
公開:2023.11.29 更新:2024.10.30PCB廃棄物は、環境や健康への深刻な影響を及ぼすため、適切な処理が法律で義務付けられています。しかし、使用中や廃棄されたトランスやコンデンサなどの機器がPCBを含んでいるかどうかの判別は難しい場合があります。
こちらでは、PCB含有機器を正確に見分けるためのポイントや、銘板からの情報確認方法について詳しく解説します。
目次
PCB廃棄物とそうでない廃棄物の見分け方
PCB廃棄物と通常の廃棄物は、外見では判別が難しいことが多いため、適切な区別が重要です。特に古い電気機器にはPCBが使用されている可能性があるため、安易に通常の産業廃棄物として処理してしまうと法律違反となる恐れがあります。
高濃度PCB廃棄物
高濃度PCB廃棄物とは、PCBが意図的に大量に使用された機器が廃棄物となったもので、PCB濃度が5,000mg/kgを超える廃棄物を指します。主に業務用照明器具の安定器や高圧トランス、高圧コンデンサーなどが該当します。これらの機器には、非常に高濃度のPCBが含まれており、環境や健康に対するリスクが大きいため、特別な処理が必要です。
PCBは1972年(昭和47年)に生産が中止されているため、それ以降に生産された機器には高濃度のPCBは含まれていませんが、古い電気機器には依然として高濃度PCBが含まれています。このため、これらの廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が専門的に処理を行い、一般的な廃棄物処理方法では対応できない特殊な処理が必要となります。
低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物とは、PCB濃度が0.5mg/kgを超えて5,000mg/kg以下の範囲の廃棄物を指します。これには、絶縁油がPCBに汚染された電気機器(トランスやコンデンサなど)や、それらに付着した汚染物、さらにはこれらの廃棄物を処分する際に使われた物が含まれます。
具体的には、液体廃棄物(低濃度PCB廃油)や、汚泥や廃プラスチックなどの固体廃棄物にPCBが付着している場合、それらは低濃度PCB廃棄物として適切に処分しなければなりません。
非PCB廃棄物
PCB濃度が0.5mg/kg以下の廃棄物は、通常の産業廃棄物として処理することが可能です。これらの廃棄物はPCB特別措置法の対象外となり、特別管理産業廃棄物として扱われません。処理業者に委託する際には、廃棄物がPCB廃棄物に該当しないことを証明するための情報を業者に書面で提供する必要があります。
具体的には、PCB濃度が0.5mg/kg以下の廃油や、PCBが付着していない廃棄物が該当します。また、明らかにPCBを含む油が存在しない場合も、通常の産業廃棄物として扱われます。
銘板から分かるPCB廃棄物の見分け方
銘板を読み取ることにより、PCB廃棄物と非PCB廃棄物を見分ける方法はいくつかあります。
油の標記による判別
「不燃性油」「不燃油」「不燃性絶縁油」「不燃性合成絶縁油」「Askarel」などの標記がある場合、それはPCB使用機器を示しています。
塩素化ジフェニールの表示による判別
「塩素化ジフェニール」「塩素化ビフェニール」「五塩化ジフェニール」、「三塩化ジフェニール」「五塩化ビフェニール」「三塩化ビフェニール」などの表示があれば、それはPCB使用機器です。
表示による判別
「AF式(Askarel filled)」や「DF式(Diphenyl filled)」の表示がある場合、それはPCB使用機器を示しています。また「OF式(oil filled)」の表示がある場合、それは製造時にはPCB不使用機器です。
製品名による判別
特定のメーカーや製品名がリストされている場合、それらの製品はPCB使用機器です。例えば、「シバノール」「ダイヤクロール」「富士シンクロール」などが挙げられます。
冷却方式による判別
「LNAN」「LNAF」「LFAN」「LFAF」、LFWF」などの冷却方式の表示がある場合、それはPCB使用機器を示しています。
「ONAN」「ONAF」「OFAN」「OFAF」「OFWF」「AN」などの冷却方式の表示がある場合、製造時にはPCB不使用機器です。
製造年代による判別
製造年代に関する情報を確認し、特に1930年以前や昭1975年以降に製造された機器は、製造時にPCB不使用の可能性が高いです。
海外メーカーの判別
特定の海外メーカーの製品名がリストされている場合、それらの製品はPCB使用機器です。
ただし、これらの情報は製造時のものであり、後の絶縁油の再充てんなどによりPCB汚染物に変わる可能性があるため、正確な確認のためには分析が必要です。
低濃度PCB廃棄物の種類と処理方法
低濃度PCB廃棄物の区分
低濃度PCB廃棄物は、以下の主要な区分に分けられます。
微量PCB汚染廃電気機器等
低濃度(微量)PCB廃棄物は、意図せずPCBに汚染された機器が元となることが多く、昭和47年までに製造されたPCB不使用の機器や、それ以降の機器でも偶然に汚染されている可能性があります。このため、電気機器の使用を終えた際には、製造メーカーや専門機関にPCBの汚染がないか確認することが必要です。具体的には、電気機器やOFケーブルに使用された絶縁油等が微量のPCBで汚染されたものです。
低濃度PCB含有廃棄物
低濃度PCB含有廃棄物は、以下のサブカテゴリに分かれます。低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が比較的低いものであり、異なる物質や処理プロセスによって分類されています。これらの区分は、廃棄物の管理および処理に関する指針を提供するために使用されます。
低濃度PCB廃油
PCB濃度が5,000mg/kg以下の廃油など、主に液状物からなります。
低濃度PCB汚染物
微量PCB汚染絶縁油によって汚染されたものです。このカテゴリには、PCB濃度が100,000mg/kg以下の汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類、金属くず、陶磁器くず、コンクリート破片などの不要物が含まれます。これらの物質には、主に固形物が含まれます。
低濃度PCB処理物
このカテゴリには、低濃度PCB廃棄物を処分するために処理されたものが含まれます。PCB濃度が5,000mg/kg以下の処理物が該当します。金属くずなどにPCBが付着している場合、それらも含まれます。
低濃度PCB廃棄物の処理の手順
低濃度PCB廃棄物を適切に処理するためには、以下の手順を踏むことが重要です。まず、トランスやコンデンサーなどの機器がPCBを含むかどうかを確認し、それが高濃度か低濃度かを判別します。低濃度PCB廃棄物であれば、2027年3月31日までに処分することが義務付けられているため、期限に注意しましょう。
次に、PCB含有機器が使用中であれば、電気事業法に基づき管轄の産業保安監督部へ届出が必要です。また、使用を終えた低濃度PCB廃棄物の場合、保管基準に従って適正に保管し、保管場所や廃棄物の状況については自治体に届出を行います。
保管中は、飛散や流出を防ぐための適切な措置や、保管場所に掲示板を設置するなどの基準を遵守しなければなりません。さらに、信頼できる収集・運搬業者を選定し、処理業務を委託します。処理が完了したら、マニフェスト(廃棄物の移動履歴書)を確認し、処理が適切に行われたかを確認します。
この手順を守ることで、低濃度PCB廃棄物を安全かつ法的に適切に処理でき、違反のリスクを回避することができます。
PCB廃棄物と非PCB廃棄物の見分け方は、主にPCB(ポリ塩化ビフェニル)濃度に基づいており、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分かれます。高濃度PCB廃棄物はPCB濃度が0.5%を超え、特殊な処理が必要な電気機器を含むもの。低濃度PCB廃棄物はPCB濃度が比較的低く、無害化処理認定施設で処理されます。
非PCB廃棄物には低濃度PCB含有廃棄物や廃油が含まれ、銘板や製品名、冷却方式、製造年代などの要素で見分けが可能です。
低濃度PCB廃棄物は微量PCB汚染廃電気機器や低濃度PCB含有廃棄物に分かれ、処理には機器の確認、処分期限の注意、適切な業者の選定、処理後の確認が必要です。これに従うことで、低濃度PCB廃棄物を安全かつ法的に処理できます。
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