鉛含有塗料の現状とPCBや鉛等の有害物質を含む塗料の基準 | PCB処理 完全攻略ガイド
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鉛含有塗料の現状とPCBや鉛等の有害物質を含む塗料の基準
公開:2024.02.22 更新:2024.03.05鉛含有塗料とPCB、鉛など有害物質を含む塗料の管理には重要な基準が存在します。鉛含有塗料はかつて広く使用されましたが、その健康被害や環境リスクが認識され、販売が制限されました。一方、解体や改修などで取り扱われる際には、有害物質の飛散リスクを最小限に抑える基準が必要です。こうした基準を遵守することで、安全かつ環境に配慮した塗料の管理が実現されます。
目次
塗料に含まれていた鉛やPCB
鉛含有塗料は安価であることや作業性に優れていることから、これまで多くの塗料メーカーで採用されてきました。しかし鉛が体内に蓄積することで健康被害を引き起こす可能性があることから、鉛含有塗料の使用は問題視されています。
◇鉛の特性と危険性
鉛は古代から現代に至るまで人類の発展を支えてきたとても身近な金属です。そして鉛は現在でも自動車のバッテリーや病院のレントゲン室の鉛防護建材としてなど、日々の生活に欠かせない存在として活用されています。
そんな鉛は安価でありながら、他の金属と比較して融点が低く加工性に優れているのが特徴です。そのため日本ではこれまで水道管や蓄電池、おもり、塗料、化粧品、ガソリンの添加物など幅広い分野において鉛が利用されてきました。
しかしこれらの製品の利用を通じて摂取されてしまった鉛が体内に蓄積されると、頭痛や不眠、胃腸障害、貧血、骨や筋肉の痛みなどの中毒症状を引き起こし、重症化すれば脳症を引き起こす危険性があります。このような危険性がわかったことから現在、鉛含有塗料の販売は禁止されています。
◇鉛塗料が普及した理由と問題点
鉛含有塗料が普及した理由は、その高い防錆効果と塗りやすさにあります。特に鋼橋などのインフラの塗装には耐久性が増し、長期間にわたってメンテナンスが可能であるという利点から広く使用されました。また、安価で作業性が良く、経年変化も少ないため、多くの塗料メーカーがこれを取り扱ってきました。
しかしこの塗料には健康被害や環境への懸念があります。作業者が鉛を吸引することで健康被害が生じる可能性や、塗装や剥がれた際に大気中に鉛化合物が放出されるリスクがあります。さらに再生時にも鉛が大気中に放出される可能性があるため、環境への負荷も考慮されるべき問題です。
鉛およびPCBを含む塗料を扱う際の規則
画像出典先:株式会社東海テクノ
鉛やPCBの使用が健康被害に繋がることから現在は販売が禁止されていますが、現存する構造物の解体や改修などにおいては飛散リスクを伴うため注意が必要です。そのため有害物含有塗膜の剥離や処理については、鉛含有塗料は含有量に関わらず基準に従い、PCB 含有塗料についてはPCB濃度に合わせた処理を行うことが求められます。
◇鉛やPCB等の有害物含有塗膜の現状
鋼製橋梁をはじめとする多くの鋼構造物には、錆び止めとして鉛含有塗料、塗料の可塑剤としてPCBが使用されてきました。しかしこれらの有害物含有塗膜は人体に悪影響を及ぼす可能性があることから、現在ではこれらの塗料の販売は禁止されています。
しかし禁止される以前に建てられた鋼構造物には使用上は問題がないものの、解体や改修を行う際に塗料に含まれる成分が放出される危険性があります。このような鉛やPCB等の有害物含有塗膜が使用された鋼構造物が未だに解体されずに残存しているのが現状です。
◇鉛やPCB等規制基準
鉛については含有量に関わらず、「鉛中毒予防規則」の適用を受けるため取り扱いには注意が必要です。そして2014年に通達が出された「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」において、鉛含有塗料の剥離作業では飛散防止のために湿式工法を採用するよう周知がなされています。
またPCB 含有塗料については塗膜くずとして低濃度PCB産業廃棄物に含まれます。ただしPCBが自由液として明らかに存在しない場合については、PCB濃度が0.5mg/kg以下であれば低濃度PCB汚染物に該当せず一般廃棄物として処理することが可能です。
このように鉛及びPCBを含む塗料の剥離や処分については、健康被害を発生させないために適切な処理が必要となるため注意が必要です。
鉛含有塗料廃絶に向けた取り組み
塗料業界では鉛含有塗料の使用が健康被害を引き起こす要因となることから、鉛含有塗料の廃絶を目指しています。そのための取り組みとして、自主管理活動を通じた鉛の危険性の周知や鉛フリーペイントの規格化を進めています。
◇鉛含有塗料廃絶に向けた取り組み
塗料業界では環境や安全、健康に関する自主管理活動を行っています。これにより鉛含有塗料が様々な健康被害を引き起こす危険性を周知し、鉛含有塗料の廃絶を目指しています。
また鉛を含まない塗料に関する独自規格を作成することで、より多くの現場で鉛フリーペイントが採用できるよう規格化が進んでいます。
このような業界全体の自主的取り組みによって鉛含有塗料の危険性や鉛フリーペイントの重要性が周知され、現在の日本では鉛の使用量が大幅に削減されています。
◇代替製品の普及
鉛含有塗料の廃絶に向けて現在では鉛に代替となる新たな原材料を使用した塗料の開発が進められています。
まず鉛酸カルシウムはすでに鉛を使用しない原材料による塗料の品質が確立しています。次に黄鉛とモリブデートオレンジは鉛を使用しない代替塗料の流通が可能な段階にあるものの、今後はさらなるコストダウンや品質の同等化などが課題となっています。
またナフテン酸鉛は代替となる原材料として、ジルコニウムやカルシウムなどの他の金属による硬化促進剤が入手可能となっています。しかし塗料の種類によって乾燥時間にばらつきが見られることから、今後更なる改良が求められます。
鉛やPCBを含む塗料は過去に広く利用されてきましたが、その使用に伴う健康被害や環境への悪影響が明らかになり、現在ではその販売が禁止されています。鉛含有塗料は安価でありながらも高い防錆効果や塗装のしやすさから、鋼構造物の塗装に広く用いられてきました
。しかし、作業者が鉛を吸引することで健康被害を引き起こすおそれや、塗装時や剥がれた際に大気中に鉛化合物が放出されるリスクが指摘されました。また、再生時にも鉛が大気中に放出される可能性があり、環境への負荷も懸念されました。
鉛やPCBを含む塗料を扱う際には、鉛含有塗料の剥離や処理については基準に従う必要があり、PCB含有塗料についてはPCB濃度に応じた処理が求められます。特に、鋼構造物の解体や改修時には、有害物含有塗膜が放出されるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
鉛含有塗料の廃絶を目指す取り組みが行われており、自主管理活動や鉛フリーペイントの規格化などが進められています。さらに、鉛を含まない代替製品の開発も進んでおり、これにより安全性や環境への配慮が向上しています。
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