産業廃棄物で注意が必要なPCB廃棄物の種類と判別方法を解説 | PCB処理 完全攻略ガイド
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産業廃棄物で注意が必要なPCB廃棄物の種類と判別方法を解説
公開:2023.11.29 更新:2023.12.01PCB廃棄物の種類は、大きく分けて高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分かれます。PCB特別措置法による届出は、高濃度のPCBを含む機器や物質を保管または処分する事業者に対して義務付けられています。この届出は、毎年6月末までに、各都道府県の知事(または特定の市長)に提出しなければなりません。
目次
PCB廃棄物の種類は大きく2つに分かれる
⾼濃度PCB廃棄物
高濃度PCB廃棄物は、PCB(ポリクロリネートビフェニル)濃度が非常に高い廃棄物の一種です。具体的には、PCB濃度が0.5%(5,000mg/kgまたはppm)を超えるものを指します。
このカテゴリーに該当するのは、意図的にPCBを大量に使用した機器、例えば業務用照明器具(安定器)、高圧トランス、高圧コンデンサーなどがあります。
PCBの生産は昭和47年に中止されており、それ以降に製造された機器には高濃度のPCBは含まれていません。高濃度PCB廃棄物は、厳格な取り扱いと処理が必要であり、環境への影響を最小限に抑えるために特別な対策が求められます。
低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物は、廃棄物の処理および清掃に関する法律において定義された特別な産業廃棄物の一種です。これは、微量のポリクロリネートビフェニル(PCB)汚染を持つ廃棄物を指します。具体的には、以下の3つのカテゴリーに分けられます。
低濃度PCB廃油 電気機器やOFケーブルから得られる微量PCB汚染絶縁油や低濃度PCB含有廃油を含みます。PCB濃度は1kgあたり5,000mg以下であるものが対象です。
低濃度PCB汚染物 PCB汚染物の中で、微量PCB汚染絶縁油や低濃度PCB含有汚染物を含みます。これには汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類、金属くずなどが含まれます。PCBの濃度は1kgあたり100,000mg以下であるものが該当します。
低濃度PCB処理物 廃棄物を処理した結果得られるもので、微量PCB処理物や低濃度PCB含有処理物を指します。これには廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類、金属くずなどが含まれます。PCBの濃度は1kgあたり5,000mg以下であるものが該当します。
低濃度PCB廃棄物は、主に電気機器などが偶発的に微量のPCBで汚染された場合に発生します。これらの廃棄物はPCB濃度が非常に低いため、適切な処理が必要であり、廃棄時にはメーカーや関連業界団体にPCB汚染の有無を確認することが重要です。
高濃度PCB廃棄物の処分方法を解説
届出
PCB特別措置法による届出は、高濃度のPCBを含む機器や物質を保管または処分する事業者に対して義務付けられています。この届出は、毎年6月末までに、各都道府県の知事(または特定の市長)に提出しなければなりません。
届出には、指定された様式を使用する必要があります。これらの様式は、都道府県の公式ウェブサイトや環境省のウェブサイトから入手できます。
また、高濃度PCBを使用した変圧器、コンデンサー、蛍光灯安定器などの処分には、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)への事前の登録が必要です。この登録は無料で行うことができます。PCB特別措置法に基づく届出とは別に、JESCOへの登録手続きが必要です。
適正保管
PCB廃棄物を適正に保管することは非常に重要です。以下は、PCB特別措置法に基づく適正な保管に関する主な事項です。
ラベルの貼付
PCB廃棄物であることを示すラベルを貼付することで、誤廃棄を防止します。
適切な保管場所
PCB廃棄物を保管する場所は雨水が当たらない場所で、周囲に囲いを設け、特別管理産業廃棄物を保管していることを表示します。
適切な収納
PCBが環境に漏れないように、変圧器などを鋼製容器やオイルパンに収納します。地震などに備えて、保管容器内にパッキング材をつめたりして、固定することも必要です。
PCB漏洩の処理
長期間の保管によりPCBが漏洩するおそれがある場合、鋼製容器への収納や目止め材による補修を行います。
収集運搬
収集・運搬に関しては、PCB廃棄物の専門業者に依頼する必要があります。この業者はPCB廃棄物の収集と運搬に関する許可を取得しており、委託契約を締結することが必要です。
また、PCB廃棄物の収集や運搬に際しては、マニフェスト(伝票)の作成・交付・保存を行う必要があり、これらの文書は5年間保管することが求められます。
さらに、搬出の際には立ち合いが必要です。収集・運搬においては、法令や規制を遵守し、安全かつ環境に配慮した作業が求められます。
処分
PCB廃棄物の処分に関しては、委託契約とマニフェストの保存が重要です。処分業務では、保管事業者と処分業者の間で委託契約を結ばなければなりません。
また、処分業者から返送されたマニフェストは、5年間保存しなければなりません。
高濃度PCB廃棄物の場合、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が全国を5つのブロックに分けて処分を行っており、保管事業者の地域ごとにJESCO事業所が指定されます。
一方、低濃度PCB廃棄物の処分は、無害化処理認定施設(31業者)や県許可施設(2業者)に委託されます。
さらに、高濃度PCB廃棄物を処分する中小企業などは、処分費用を軽減できる措置が存在します。詳細については、JESCO中小軽減担当に問い合わせることができます。処分においては、法令や規制を遵守し、適切な業者との契約を確保することが大切です。
PCB廃棄物の処理方式
PCB(ポリクロリナートビフェニル)の処理方式および処理技術は、その特性や汚染度に応じて異なります。これらの処理方式は、PCB廃棄物の種類と量に応じて選択され、環境への影響を最小限に抑えつつ、安全かつ効率的にPCBの処理を行うために重要です。
適切な処理方法を選択し、規制に従ってPCB廃棄物を処理することが、環境保護と人の健康を守るために重要です。
脱塩素化分解
脱塩素化分解は、薬剤や特定の条件下でPCBに含まれる塩素を取り除き、水素に置き換えて有害なPCBを無害な物質に変化させる方式です。このプロセスにより、PCBの有害性が大幅に軽減されます。
脱塩素化分解は、廃PCB、PCB汚染物(廃油、廃酸、廃アルカリ)、PCB混入廃電気機器など、PCBを含むさまざまな廃棄物の処理に使用されます。
水熱酸化分解
水熱酸化分解は、高温および高圧力の条件下で水を超臨界状態にし、PCBを含む有機物を水、塩素、二酸化炭素に分解する特殊なプロセスです。このプロセスは高度な技術認定を受けており、非常に効果的で環境にやさしい方法として知られています。
水熱酸化分解は、廃PCB、PCB汚染物、PCB処理物、PCB混入廃電気機器など、幅広いPCB廃棄物に対して適用されています。国から技術認定を受けているため、信頼性が高いです。
PCB廃棄物は高濃度と低濃度に分かれ、高濃度は非常に高いポリクロリネートビフェニル(PCB)濃度を持つもので、業務用照明器具やトランスなどが該当します。これに対して低濃度は微量のPCB汚染を指し、廃油や汚染物、処理物が含まれます。高濃度PCB廃棄物は厳格な取り扱いが必要で、低濃度も正確な処理が求められます。
またPCBには適正な保管が非常に重要で、ラベルを貼付し、雨水の当たらない場所で特別管理産業廃棄物として保管する必要があります。収集・運搬は専門業者に委託し、伝票の作成・保存が必要で、これらの文書は5年間保管されます。処分業務では、委託契約と伝票の保存が重要で、中小企業などはJESCO中小軽減担当に問い合わせて処分費用を軽減できるか確認できます。
PCB廃棄物の処理方式は、種類と量によって異なり、環境への影響を最小限に抑えつつ安全かつ効率的に行うためには、脱塩素化分解や水熱酸化分解が使用されます。これらはPCBの有害性を軽減し、信頼性が高い技術認定を受けています。
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