高濃度PCB廃棄物?低濃度PCB廃棄物?PCB廃棄物の見分け方と処理の流れを知ろう | PCB処理 完全攻略ガイド
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高濃度PCB廃棄物?低濃度PCB廃棄物?PCB廃棄物の見分け方と処理の流れを知ろう
公開:2023.08.28 更新:2024.05.21PCBはその高い毒性が確認されたため、半世紀以上前に製造が禁止されました。それにもかかわらず、古い建物や工場の電気機器内には、未だにPCBが存在する可能性があります。
PCB廃棄物は、その濃度によって「高濃度」と「低濃度」に分類され、それぞれ異なる処理方法が必要となります。こちらの記事では、PCB廃棄物の見分け方と、それぞれの適切な処理手順を簡潔に説明します。この情報を活用し、危険なPCB廃棄物の適切な処理に役立てていただければ幸いです。
目次
PCB廃棄物は濃度によって区別される
PCB廃棄物はその濃度によって高濃度と低濃度の2種類に分けられます。以下では、それぞれの特性と識別方法について説明します。
高濃度PCB廃棄物
高濃度のPCB廃棄物とは、PCBの濃度が0.5%(=5,000mg/kg)を超えるものを指します。これらは法的な規制が厳格に適用され、日本国内での処理は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が行い、化学的に分解されます。
PCBは電子機器の絶縁体や冷却油として用いられていましたが、1968年の「カネミ油症事件」を通じてその危険性が認識され、1972年以降は製造が停止されました。
PCBが使用されていた代表的な電気機器には以下の3つがあります。
・高圧変圧器
・高圧コンデンサー
・安定器
低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物は、0.00005%(=0.5mg/kg)を超え、0.5%以下のPCB濃度を持つものを指します。
2007年に国や業界団体が行った調査により、PCBを使用していないはずの電気機器にも、意図せず微量のPCBに汚染されたものが存在することが明らかになりました。そのため、使用を終えた電気機器を処分する際には、製造元などに汚染の可能性の有無を確認しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の処理は、環境大臣や都道府県知事が認定した民間の無害化処理施設で行われます。
高濃度PCB廃棄物・低濃度PCB廃棄物 見分け方は?
PCB廃棄物の取り扱い方法は、その濃度が高いか低いかにより異なります。では、自社の電気機器がどちらに属するのかをどのように判断すればよいのでしょうか。ここではそれぞれの見分け方を説明します。
高濃度PCB廃棄物の見分け方
先述した通り、1972年までに製造された電気機器には高濃度のPCBが含まれている可能性があります。これらの汚染の有無は、装置に取り付けられた銘板の記述から確認できます。具体的な見分け方を以下に示します。
高圧変圧器・高圧コンデンサー等の場合
対象となる機器の種類
高圧変圧器、高圧コンデンサー、リアクトル、放電コイル、サージアブソーバー、変成器、開閉器・流動器などが該当します。
見分け方
日本製の機器で、1953年から1972年の間に製造され、その後絶縁油が交換されていないものが対象となります。
安定器の場合
対象となる機器の種類
蛍光灯用安定器、水銀灯用安定器、小型電気機器などが該当します。
見分け方
日本製で、1957年1月から1972年8月までに製造された照明器具が対象です。
※1976年までに建造・改築された工場や学校で使用されていたものは、1977年製造までが対象となります。
低濃度PCBの見分け方
国内で1990年頃までに製造された電気機器には、PCBに汚染されている可能性があります。
これまでは「1991年以降に製造された絶縁油の入れ替えができないコンデンサーには、汚染の可能性はない」との見解が主流でした。しかしながら、2004年製造のコンデンサーにおいて、メーカーによる独自の検査で低濃度のPCBが検出された事例があります。このような事例から、全ての機器について具体的なPCB濃度を計測し、汚染の有無を判断することが求められています。
対象となる機器の種類
例えば、トランス、コンデンサー、再生油を使用した柱上トランス、遮断機、開閉器、OFケーブルなどが挙げられます。
見分け方
電気機器内に封入された絶縁油のPCB分析を実施し、その結果から汚染の有無を確認します。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の処理までの流れとは?
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物は、その特性に適した異なる方法で処理されます。以下では、それぞれの処理までの流れを説明します。
高濃度PCB廃棄物の場合
1.届け出
年に一度、6月末までに都道府県知事へ保管および処分状況を報告します。報告書は都道府県や環境省のウェブサイトでダウンロード可能です。
2.JESCOへの登録
高濃度PCB廃棄物の処分はJESCOが行うため、事前に登録が必要です。
3.適正保管
処分するまでの期間、廃棄物は適切な条件下で保管します。PCB廃棄物を保管する事業者は資格を持つ管理責任者を設置しなければなりません。
4.収集・運搬
PCB廃棄物の運搬許可を取得している業者に委託して電気機器を適切に収集し、JESCOへ安全に輸送します。
5.処分
高濃度PCB廃棄物はJESCOで処分されます。交付されたマニフェスト(伝票)は5年間保管しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の処理の流れ
1.分析
電気機器が低濃度PCBに汚染されている可能性を確認します。全ての機器のPCB濃度を測定し、汚染状況を判定しなければなりません。
2.届出
PCB特別措置法に基づき、地方環境事務所へ届け出を行います。報告方法や期限は都道府県により異なるため、事前確認が必要です。
3.収集運搬
廃棄物収集輸送業の許可を取得した専門業者に依頼します。
4.廃棄マニフェスト
処理が終わったら廃棄マニフェスト(伝票)を地方環境管理事務所に提出します。
PCB処理については補助金や助成金の制度が存在しますが、都道府県により内容が異なるため、詳細はウェブサイト等で確認することをおすすめします。
PCBは人工的に作られた有害な化学物質で、50年以上前に製造が禁止されたにも関わらず、現在も古い電気機器に存在する可能性があります。そのため、適切な処分が求められています。
高濃度と低濃度のPCB廃棄物はそれぞれに異なる処分方法が必要で、特に低濃度PCB廃棄物の見分け方には、具体的な濃度を測定する必要があります。
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