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PCB産業廃棄物は不動産取引にも関係する?エンジニアリングレポートとは? | PCB処理 完全攻略ガイド

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

PCB産業廃棄物は不動産取引にも関係する?エンジニアリングレポートとは?

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

公開:2024.05.30 更新:2024.05.30

不動産取引においては、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が見つかる可能性があり、これが発見されると除去費用や損害賠償のリスクが生じます。現在でもPCBが不動産取引中に見つかることがありますが、これは法律違反であり、違反すると刑罰が科される可能性があります。そのため、取引前に建物内にPCBを含む電気工作物がないか調査し、専門家による調査や適切な処分が重要です。

不動産取引にPCBが関係する理由

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在は製造と使用が禁止されている有害物質ですが、不動産取引中の土地や建物から見つかることがあります。PCB産業廃棄物が見つかると、除去費用や損害賠償請求のリスクが生じるため、エンジニアリングレポートの作成が重要です。

◇PCB廃棄物が残留する土地・建物もある

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は生物の体内に蓄積しやすく、人の健康に悪影響を及ぼす有害物質です。難燃性、低揮発性、耐熱性、高絶縁性といった特性から、かつては受変電設備のコンデンサーやトランス類の絶縁油、蛍光灯の安定器、熱媒体、ノーカーボン複写伝票のインクなどに広く使用されていました。

現在は、PCBの製造と使用が禁止されていて、PCB廃棄物も無断で所有・処分できません。しかし、PCBを使用した機器はまだ多く存在するため、取引中の土地や建物のなかからPCB廃棄物が発見されることがあります。

◇不動産投資・取引のレポートにも記載

エンジニアリングレポートは、不動産取引において建物の現状を包括的にまとめた重要な報告書です。不動産取引では、投資家や買主は物件の状態やリスクを評価するために、不動産デューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスには物理的、法的、経済的側面がありますが、そのうちの物理的側面を評価するのがエンジニアリングレポートです。

主な調査項目は、建物の遵法性、劣化状況、PCBを含む有害物質の有無、災害リスク、土壌汚染の可能性などです。取引後に、PCB廃棄物が見つかると廃棄物除去費用に多額の費用がかかったり、損害賠償請求を求められたりする可能性があります。PCB廃棄物がある可能性のある土地や建物は、エンジニアリングレポートを作成しておくと安心です。

PCB廃棄物付きの不動産取引をするとどうなる?

PCB廃棄物の第三者譲渡だけでなく、PCB廃棄物付きの不動産取引も法律違反です。違反した場合、刑罰の対象となります。過去には、大手企業がPCB廃棄物付きの不動産を取得し行政処分を受けています。

◇PCBが不動産取引で問題になる理由

PCB廃棄物の第三者譲渡は、PCB特措法によって原則禁止されています。つまり、PCB廃棄物付きの不動産取引を行うことも、法律違反です。法律に違反すると、3年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれら両方が科されます。

PCB特措法では、保管事業者以外が管理する倉庫へPCB廃棄物を移動することや第三者へ保管を委託することも禁止されています。PCB保管事業者は、PCBの処理が義務付けられていて、処理するまで適切に保管しなければなりません。ただし、許可を得た収集運搬業者や処分業者への委託や、地方公共団体への譲渡は認められています。

◇政府機関からの行政処分

PCB廃棄物付きの土地を購入すると、政府機関から行政処分を受ける可能性があります。過去には大手企業が、不十分な鑑定評価に基づくPCB廃棄物付きの不動産を取得しました。このことは、投資法人資産運用業に係る善管注意義務違反(OAM)とみなされ、行政処分を受けています。

PCB廃棄物付きの不動産取引を行う方法

PCB廃棄物付きの不動産取引は法律違反ですが、いくつかの例外があります。PCB廃棄物を取引の対象外とした場合、また廃棄物ではなく使用中の低濃度PCB機器であれば、不動産取引が可能です。

◇PCB廃棄物を取引の対象外とする

譲渡できないのはPCB廃棄物のみであって、土地や建物を取引することには問題はありません。PCB廃棄物を取引の対象外とすれば、不動産取引が可能です。その際は、適切な手続きを行い、PCB廃棄物を売主自身が管理する倉庫などへ移動したうえで、PCB廃棄物を譲渡の対象から外します。このような取引では、弁護士などの専門家に相談し、慎重に対応することが重要です。

◇使用中の低濃度PCB機器は取引が可能

使用中の低濃度PCB機器は廃棄物として扱わないため、不動産取引を行っても、PCB廃棄物特別措置法の「譲り渡し・譲り受け原則禁止の規定」に抵触しません。しかし、低濃度PCB機器を取り外すと、その時点でPCB廃棄物特別措置法の対象となり、移設や再使用も禁止されます。

低濃度PCB機器付きの不動産を譲渡する場合、契約書に機器の有無や譲渡の流れを明記し、適切な管理者が保管責任を負うことが重要です。

◇やむを得ない場合は特例で譲渡を認めている

PCB廃棄物の譲渡や譲受けは原則禁止されていますが、いつかの例外があります。特例で認められる主なケースは以下のとおりです。

・特別管理産業廃棄物処理業者または無害化処理認定業者が処分を受託する場合
・PCB廃棄物の処理技術の試験研究を目的とする場合
・保管事業者が確実かつ適正にPCB廃棄物を保管できなくなったことを都道府県知事が認めた場合
・地方公共団体に譲渡する、または地方公共団体が譲り受ける場合
・保管事業者、特別管理産業廃棄物処理業者がPCB廃棄物の処理を委託する場合

例えば、会社が破産して存続が困難な状況で、所有者にPCB廃棄物を確実かつ適正に処理する意志と能力がある場合は、特例で都道府県知事(場所によっては市長)が認めた親会社などに譲渡することが可能です。

事前調査でスムーズな取引を

PCB廃棄物がある可能性のある不動産を譲渡する場合は、事前に建物内にPCBを含む電気工作物がないか調査し、適切な手続きと処分を行っておくことが大切です。専門業者に依頼すれば、電気工作物はもとより、土壌調査も依頼できるため、取引をよりスムーズに進められます。

◇不動産取引前にやっておきたいこと

不動産取引を行う前に、建物内にPCBを含む変圧器やコンデンサーなどの電気工作物がないか調査しておくことが重要です。PCBが見つかった場合は、電気事業法とPCB特措法に従って適切な手続きを行う必要があります。

PCBを含む電気工作物が使用中の場合は、地位の承継である場合を除き、売主が廃止届出、買主が新たな設置届出を行います。PCBを使用した安定器を発見した場合は、速やかに交換し、適切な処分手続きが必要です。

廃棄されてPCBを含む電気工作物や安定器が保管中の場合は、売主側が適切な処分を行わなくてはいけません。

◇専門業者ならまとめて調査が可能

PCBの有無は、PCBの使用可能性がある電気工作物の銘板に記載された製造年やメンテナンスの実施履歴などから調査します。もしくは、電気工作物から絶縁油を採取し、実際にPCB濃度を測定して判定します。

PCBが漏洩している場合は、譲渡する土地が汚染している可能性があります。専門業者に依頼すれば、電気工作物はもとより、土壌調査による漏洩の有無も調べることが可能です。


不動産取引において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が関係する理由は、この有害物質が土地や建物から見つかる可能性があるためです。PCB廃棄物が発見されると、除去費用や損害賠償のリスクが生じるため、エンジニアリングレポートの作成が不可欠です。また、PCBの製造と使用が禁止されている現在でも、不動産取引中にこの物質が見つかることがあります。

不動産取引におけるPCB廃棄物は、法律違反であり、違反した場合には刑罰が科される可能性があります。そのため、取引前に建物内にPCBを含む電気工作物がないか調査し、専門業者による調査や適切な処分を行うことが重要です。

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