意外な所に潜む低濃度PCB廃棄物の調査方法と発見事例 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
意外な所に潜む低濃度PCB廃棄物の調査方法と発見事例
公開:2024.08.16 更新:2024.08.16掘り起こし調査で廃自動車整備工場から低濃度PCBを含むコンデンサーが発見された事例や、リース会社から返却されたX線装置にPCBが含まれていた事例が報告されています。これらは、古い設備やリース品の確認が不十分だとPCB見落としのリスクが高まることを示しています。
目次
意外なところにも潜む低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB廃棄物は、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などだけではく、さまざまな製品に利用されています。
◇意外なところにも潜む低濃度PCB廃棄物
古い電気機器には、低濃度のPCBが残っている可能性があります。これは、平成2年(1990年)までの再生絶縁油の製造や流通の過程で、意図せずに生じたと考えられます。
特に、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器、さらにはOFケーブルなどに含まれている可能性があります。そのため、PCBを使用していないとされる機器でも、絶縁油が微量のPCBで汚染されていることがあり、注意が必要です。
◇期限内の処分が必要
低濃度PCB廃棄物の処分期限は令和9年3月31日までとなっており、この期限内に処分しなければなりません。これは、PCB特措法により定められたもので、期限までにPCB廃棄物を適切に処分することが義務付けられています。
そのため、使用中の電気設備を点検し、該当する電気機器がないかを確認する必要があります。
もし、PCBを含む電気機器が見つかった場合、保有状況を調査し、基準を超える場合には電気事業法に基づいて報告を行い、またPCB特措法に従って自治体に届出をする必要があります。
低濃度PCB廃棄物の調査方法
製造から30年以上経過した古い電気機器は、PCBに汚染されている可能性があるため、処分期限までに適切に処分する必要があります。
◇自家用電気工作物
自家用電気工作物には、変圧器、低圧コンデンサー、計器用変成器、放電コイル、電圧調整器、開閉器、遮断器、避雷器など、電気事業法に基づく12種類の機器があります。
低濃度PCB廃棄物の調査では、高圧受電設備の設備台帳に記載された電気機器と現物を照合し、機器名称、製造者名、型式、容量、製造年などの情報に漏れや誤りがないか確認します。
また、配電図を確認し、受電設備内に電力用コンデンサーやリアクトル、遮断器などが設置されていないかも調査します。電気機器の確認作業は感電の危険があるため、必ず停電状態で行ってください。
さらに、台帳に記載のない機器が見つかった場合は、銘板情報をもとに必要なデータを台帳に追加します。
◇非自家用電気工作物
電気事業法における非自家用電気工作物には、X線発生装置や検査装置、電気溶接機、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機を動かすために使用される低圧コンデンサーが含まれます。
また、200~600Vの低圧で受電する施設の分電盤に取り付けられた力率改善用低圧コンデンサーや、工作機械、揚水ポンプ、乾燥機などでモーター起動に使われる低圧コンデンサーもこれに該当します。
これらの非自家用電気工作物は、電気主任技術者が関与していないことが多く、PCB汚染のリスクが考えられます。そのため、分電盤内や溶接機に内蔵されているコンデンサーなどについては、製造者や電気工事業者に確認や調査を依頼し、適切な手続きを踏んで確認することが重要です。
掘り起こし調査による発見事例
各都道府県では、産業廃棄物であるPCBを含む変圧器やコンデンサーの所在を特定するため、掘り起こし調査を実施しています。この調査により、新たに低濃度PCBが発見されたケースもあります。
◇廃自動車整備工場から発見された事例
廃自動車整備工場で行われた安定器の掘り起こし調査の過程で、配電盤に取り付けられたままの状態で5台の低圧進相コンデンサーが発見されました。
これらのコンデンサーについて、製造年とメーカーのウェブサイトを参照してPCBの有無を確認したところ、一部の機器に低濃度PCBの疑いがあることが判明しましたが、PCBを含まない機器も混在していることが確認されました。
この調査結果から、PCBの疑いがある機器とそうでない機器が同じ配電盤内に存在している状況が明らかになりました。このことは、古い工場や作業場では、低濃度のPCBを含む機器がまだ配電盤に残されている可能性が高いことを示しています。
そのため、古い設備を持つ施設では、PCBを含む可能性がある電気機器に対して定期的な確認と、必要に応じた適切な処分措置が急務です。
◇X線装置にコンデンサーが使用されていた事例
過去の掘り起こし調査で「PCBなし」と回答していたリース会社に対し、県が改めて啓発文書を送付したところ、事業者からPCB含有のコンデンサーが発見された事例が報告されました。
この事業者は自社の事業場にPCB含有機器がないと確認していましたが、長期間貸し出されていたX線装置が返却され、内部を確認したところ、高濃度および低濃度のPCB含有コンデンサーが発見されました。
リース品の場合、機器の利用者と所有者が異なるため、責任の所在が不明確になり、PCBの見落としリスクが高まることが示されています。このため、リース業では機器の返却時に徹底した確認が求められます。
低濃度PCB廃棄物は早めの対応が必要
PCB廃棄物の処分期限が迫っており、直前には処分を依頼する事業者が1.45倍に増えると予想されています。そのため、余裕を持って早めに処分することを推奨します。
◇低濃度PCB廃棄物の処理期限
低濃度PCB廃棄物の処分期限は、令和9年3月末日です。この期限を過ぎてPCB廃棄物を保管している事業者が届出を怠ったり、自治体の指導に従わなかったりした場合、PCB特措法に基づいて罰則が適用される可能性があります。具体的には、改善命令に違反した場合、最大で3年の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されることになります。
また、改善命令が下された後も、PCB廃棄物の処理責任は引き続き排出事業者にあり、適正な保管が求められます。
◇期限間近は処分依頼が殺到する可能性も
2021年から2023年の間に、毎年1,890事業所が変圧器の処分を完了していますが、このペースでは最終年度に846事業所が期限内の処分を完了できないと予測されています。そのため、1.45倍の駆け込み需要が見込まれています。
期限を過ぎると処分が不可能となり、飛散防止、防臭、防虫、揮発防止などの厳しい保管措置を自己管理で行う必要があります。具体的には、保管場所の周囲に囲いを設け、適切な掲示板を設置するなどの対策が求められます。
それでも保管基準を守らず、改善命令に違反した場合、最大で3年の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
低濃度PCB廃棄物は、電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など、さまざまな製品に含まれる可能性があります。特に古い電気機器には、平成2年(1990年)までの再生絶縁油の製造過程で意図せず低濃度PCBが混入していることがあります。
計器用変成器やリアクトル、放電コイルなどの機器にも含まれることがあるため、注意が必要です。
低濃度PCB廃棄物の処分期限は令和9年3月31日で、この期限を過ぎるとPCB廃棄物の処分が不可能になります。
期限までに適切な処分を行わないと、PCB特措法に基づき、最大で3年の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。また、改善命令が下された場合も、引き続き適正な保管が求められます。
調査方法としては、製造から30年以上経過した古い電気機器の確認が必要です。自家用電気工作物や非自家用電気工作物には、変圧器や低圧コンデンサーなどが含まれます。これらの機器については、高圧受電設備の台帳と現物を照合し、配電図を確認して調査します。
リース品では、機器の利用者と所有者が異なるため、PCB見落としのリスクが高く、機器返却時の徹底した確認が求められます。
掘り起こし調査により新たに低濃度PCBが発見されることもあります。過去の事例では、廃自動車整備工場やリース会社からPCB含有機器が見つかっており、古い設備を持つ施設では定期的な確認と適切な処分が急務です。
処分直前には依頼が集中し、駆け込み需要が増えると予想されていますので、早めの対応が推奨されます。
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