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低濃度PCB廃棄物とは?種類や見分け方について | PCB処理 完全攻略ガイド

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

低濃度PCB廃棄物とは?種類や見分け方について

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

公開:2024.03.26 更新:2024.03.26

低濃度PCB廃棄物は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)濃度が0.00005%から0.5%以下の廃棄物を指します。廃油や汚染物、処理物などの種類があり、その特性によって適切な処理が求められます。製造年やメンテナンス履歴を確認し、PCB濃度を測定することで見分けることが可能です。

低濃度PCB廃棄物とは?PCB廃棄物の区分

PCB廃棄物は、その濃度によっていくつかの区分に分けられます。その中でも、低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が0.00005%を超え0.5%以下の廃棄物を指し、1972年以前に製造された機器だけでなく、それ以降の製品にも含まれる可能性があります。

◇高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い

高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の濃度に基づいて区分されます。高濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が0.5%を超えるものであり、通常は特定の電気工作物から得られます。このような電気工作物には、昔の高圧変圧器や高圧コンデンサーなどが含まれます。一方、低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が0.00005%から0.5%以下のものです。これは、再生絶縁油を含む電気機器から発生します。

高濃度PCB廃棄物は、その処理については専門の機関である中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で行われます。一方、低濃度PCB廃棄物は、その存在量が多いため、地域の無害化処理認定施設や都道府県の許可を得た民間の施設で処理されます。

◇低濃度PCB廃棄物とは

環境省では、PCB廃棄物の処理方法を改善するために、高濃度のものは中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)で処理し、低濃度のものは民間の施設で処理する方針を検討していました。


しかし、「微量PCB汚染廃電気機器」などがあるため、どこまでが高濃度でどこまでが低濃度かを明確に区別できない問題が生じます。そのため、平成24年に告示を改正し、PCB濃度が5,000mg/kg以下(0.5%以下)のものを「低濃度PCB廃棄物」としました。

低濃度PCB廃棄物の中には、微量PCB汚染廃電気機器と呼ばれるものがあります。これは、元々PCBを使用していないはずの電気機器であるにもかかわらず、製造過程で再生絶縁油が意図せずにPCBで汚染されたものです。このような製品は、1990年以前の製品によく見られます。

低濃度PCB廃棄物の種類

画像出典先:北海サンド工業

低濃度PCB廃棄物は、環境への影響が比較的少ない廃棄物でありながら、その構成や性質によってさまざまな種類が存在します。これらの種類には、廃油、汚染物、処理物などが含まれ、それぞれが異なる処理方法や管理手順を必要とします。

◇低濃度PCB廃油

低濃度PCB廃油は、PCB濃度が1kgあたり5,000mg以下の液状の廃油を指します。主に微量PCB汚染絶縁油や低濃度PCB含有廃油がこれに該当し、電気機器やOFケーブルから抽出される絶縁油や潤滑油がこれに含まれます。

◇低濃度PCB汚染物

微量PCB汚染絶縁油が染み込んでいたり、付着したりしているものや、封入されたものも廃棄物として取り扱われます。
100,000mg/kg以下のPCB濃度の汚泥、紙や木材、布などのくず類、廃プラスチック類。
PCB濃度が5,000mg/kg以下の金属くず、陶磁器くず、コンクリート破片等の不要物に付着したもので、主に固形であることがほとんどです。

◇低濃度PCB処理物

低濃度PCB処理物は、PCB濃度が1kgあたり5,000mg以下の廃棄物を処理した結果得られた物を指します。主に微量PCB処理物や低濃度PCB含有処理物がこれに該当し、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃泥、紙くず、木くず、廃プラスチック類、金属くずなどが含まれます。廃棄物の処理および清掃に関する法律に基づく無害化処理が行われます。これらの廃棄物は、種類ごとに処理方法が異なりますが、いずれも適切な管理が必要です。

低濃度PCB廃棄物の見分け方

ここでは、低濃度PCB廃棄物が含まれているかどうかの、見分け方を解説します。

◇低濃度PCB廃棄物の見分け方

国内メーカー製で、平成2年(1990年)以前に製造した電気機器の、絶縁油の入替ができないタイプは低濃度PCBが含まれていると考えられます。
平成6年(1994年)以降の製造でなおかつ、絶縁油の交換等のメンテナンス歴がない場合は、PCB汚染のリスクは低いと考えられます。

◇安定器・コンデンサ・変圧器の場合

まず、安定器にPCBが含まれるかは、製造年月から判別します。昭和32年(1957年)から昭和47年(1972年)までの安定器や、昭和52年(1977年)までの建築・改修した建物には、PCBを含む安定器が使用されている可能性があります。ただし、一般家庭用の蛍光灯の安定器にはPCBは含まれていません。

コンデンサの絶縁油が入れ替えできない場合や、1991年より以前に製造されたコンデンサは、PCB濃度を測定して判別をしますが、使用中のコンデンサを穿孔すると使用不能になるため、気を付けるようにしましょう。

変圧器は絶縁油の入れ替えが可能なため、汚染の可能性は製造年やメンテナンス実施履歴によって判断するのが一般的です。平成6年(1994年)以降の製品で、メンテナンス歴がない場合はPCB汚染のリスクは低いと考えられます。

◇汚染物等の場合

汚染物が低濃度PCB廃棄物かどうかを見分けるには、含まれるPCBの濃度を測定する必要があります。汚染物から採取した試料を特定の方法で測定し、PCBが検出された場合は、その物質は特別管理産業廃棄物であるPCB廃棄物となります。一方、測定結果によってPCBが検出されない場合は、その物質は低濃度PCB廃棄物ではなく、通常の産業廃棄物として分類されます。

低濃度PCB廃棄物の処分について

つぎに、低濃度廃棄物と判別された場合は、産業廃棄物処理法に基づいて処理する必要があります。

◇届出を行う

PCBを処理する際は、PCB特別措置法に基づき、PCB廃棄物を保管している事業所を管轄する環境管理事務所に、届出が必要です。届出の方法や低濃度PCB廃棄物の処理期限などは、自治体によって異なります。

PCBをどのように所有しているのかの状況により、記載する様式が違いますので事前に確認しましょう。

◇無害化処理認定施設で処理を行う

無害化処理認定制度は、平成18年(2006年)に設けられ、アスベストを含む廃棄物や微量PCB汚染廃家電機器など産業廃棄物の処理に適用される制度で、令和元年(2019年)に改定されました。


この制度は、安全で効率的に融解処理を行うための条件を定めたもので、国内には30ヵ所以上の無害化処理認定制度を取得した施設があります。
ただし、一つの施設で全ての廃棄物を処理できるわけではなく、施設ごとに処理できる廃棄物が異なります。


また、使用中の変圧器に微量のPCBが含まれている場合、その変圧器の構造やPCB濃度、絶縁油の量などによっては、使用しながら浄化する「課電自然循環洗浄法」が適用される場合があります。


PCB廃棄物は、その濃度に応じて高濃度と低濃度に分類されます。低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が0.00005%から0.5%以下のものを指し、主に再生絶縁油を含む電気機器から発生します。このカテゴリーには、微量PCB汚染廃電気機器も含まれ、特に1990年以前の製品に頻繁に見られます。低濃度PCB廃棄物は、廃油、汚染物、処理物などの種類があり、それぞれが適切な処理を必要とします。

低濃度PCB廃棄物を見分けるには、製造年やメンテナンス履歴を確認し、必要に応じてPCB濃度を測定することが重要です。処理方法としては、まず環境管理事務所に届出を行い、その後は無害化処理認定施設を利用することが一般的です。

このような取り扱いが必要な理由は、低濃度PCB廃棄物が環境への影響が少ないとはいえ、適切な管理が不十分な場合には環境や人間の健康への悪影響が懸念されるためです。そのため、処理や廃棄の際には、法的規制に基づいた適切な手続きを踏むことが重要です。

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