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高効率変圧器とは?変圧器のPCB分析の必要性と補助金制度 | PCB処理 完全攻略ガイド

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

高効率変圧器とは?変圧器のPCB分析の必要性と補助金制度

PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理

公開:2024.09.18 更新:2024.09.18

高効率変圧器

高効率変圧器は、エネルギー効率を高めるために開発された変圧器で、電力のロスを減らしCO2排出量の削減に貢献します。省エネ性能が向上することで電気料金の節約にも繋がり、トップランナー制度の推進により、広く普及が進んでいます。

一方、過去に製造された変圧器にはPCBが含まれる可能性があり、その分析が重要です。PCB汚染のリスクを減らすため、PCB分析や高効率変圧器への交換に関する補助金制度が設けられ、環境保護と省エネを支援しています。

変圧器の寿命と変更の必要性

変圧器の寿命は一般的に15~30年程度とされていますが、それ以上使用されるケースも少なくありません。しかし、寿命を超えて無理に使い続けることは大事故の原因となるため、注意が必要です。

◇変圧器には寿命がある

変圧器の寿命は一般的に15~30年程度とされています。しかし、この寿命はあくまで目安であり、日々の使い方やメンテナンスによって変わります。

変圧器の内部素材も経年劣化するため、シンプルな機器であっても常に同じ状態で動作するわけではありません。変圧器は音や振動で劣化が分かるわけではなく、正常に動作しているように見えても内部が劣化している可能性があります。したがって、日常から変化に注意を払う必要があります。

内部劣化が進むと、異常電圧の発生や外部短絡による突然の内部事故が起こり得ます。これが発生すると、事業所の停電などのトラブルが生じ、操業が停止する恐れがあります。このような事態を避けるためにも、日常的な点検と適切なメンテナンスが重要です。

◇変更の必要性

変圧器の更新が必要な理由は、内部の劣化や性能の向上にあります。巻線や鉄心だけでなく、絶縁油や気密部に使われるパッキンなど、さまざまな部材で構成され、更新を行うことでそれらの部材の内部劣化を解消し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

さらに、鉄心や巻線、放熱器などの材料や設計、製造技術も日々進化しています。これらを最新のものに更新することで、変圧器の性能を向上させることができます。

変圧器の運転により内部の部材は徐々に劣化し、劣化が進むと故障のリスクが高まります。これを示す「故障劣化モデル(バスタブカーブ)」によれば、更新の推奨時期を過ぎると故障率が急激に増加することがわかっています。そのため、適切な時期に更新することが重要です。

過去に製造された変圧器にはPCB使用の可能性も

過去に製造された変圧器には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が絶縁油として使用されていた可能性があります。特に、昭和から平成初期にかけて製造された電気機器には、微量のPCBが混入しているケースも報告されています。

◇PCBが使用された可能性もある変圧器

昭和28年(1953年)から昭和47年(1972年)にかけて、国内で製造された変圧器の一部には、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が使用された製品がありました。当時、PCBは絶縁油として使われていましたが、1973年に制定された「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」により、その製造・輸入・使用が原則禁止となりました。

そのため、それ以降に製造された変圧器にはPCBは使用されていないと考えられてきました。しかし、2002年にJIS規格の電気絶縁油を使用した変圧器の一部から、ごく微量のPCBが検出される事例が報告されました。

この事態を受けて、原因調査が行われましたが、製造時の混入経路や対象機器の特定は困難であり、結果的に「1989年以前に製造された電気絶縁油を使用した電気機器は、微量PCBが混入している可能性を完全には否定できない」という結論に至りました。このため、古い電気機器には微量のPCBが含まれている可能性があることを認識し、適切な取り扱いが求められます。

◇判別方法

高濃度のPCBを含む変圧器やコンデンサーは、機器に取り付けられた銘板を確認することで判別できます。詳細は、各メーカーへの問い合わせや日本電機工業会のホームページで「高濃度PCBを使用した電気工作物」の一覧を参照できます。しかし、この一覧にない製品も存在するため、使用絶縁油の種類が不明な場合は、製造者に問い合わせる必要があります。

低濃度PCBの判別については、1991年以降に製造されたもので、絶縁油の入れ替えができない、または行われていない場合、PCB汚染の可能性はないとされています。一方、メンテナンスの記録がない、または絶縁油の入れ替えが行われた可能性がある場合は、PCB汚染のリスクがあるため、専門的な検査を行う必要があります。

トップランナー制度と高効率変圧器

トップランナー制度は、省エネルギー性能が優れた製品の普及を促進するために、導入された制度です。この制度により、さまざまな機器に省エネ基準が設定され、高効率な製品の開発と導入が進められています。その中でも、高効率変圧器はエネルギー消費の削減に大きく貢献しており、電力の効率的な利用をサポートします。

◇トップランナー制度とは

トップランナー制度とは、省エネ法に基づく省エネ基準値の設定方式のひとつです。特定の機器や商品の中で、最も省エネ性能が優れた製品を基準として、この基準をもとに全体の省エネ基準値を設定します。


これにより、省エネ性能の向上を促進し、各製品のエネルギー効率を高めることを目的とし、製品の省エネ化が業界全体で進むように仕組まれているのが特徴です。

◇高効率変圧器

高効率型変圧器は、磁区制御珪素鋼帯や高配向性珪素鋼帯、非結晶合金などの高性能な低損失鉄心材料を採用しています。これらの素材により、無負荷損の低減が可能となっています。

また、コイル構造の改良や導体抵抗の少ない銅の使用により、負荷損も削減しています。その結果、電力量のロスを減らすだけでなく、CO2の排出量を削減し、電力料金の低減にもつながる非常に効率的な変圧器です。

この高効率型変圧器が普及した背景には、トップランナー制度の存在があります。この制度では、省エネ基準をクリアした変圧器を「トップランナー変圧器」と呼び、特に2014年の省エネ基準(第二次判断基準)に適合したものを「トップランナー変圧器2014」と定義しています。このような基準設定により、省エネ技術の向上が促進され、トップランナー変圧器が広く普及する結果となりました。

さらに、2007年4月からはモールド変圧器がトップランナー変圧器としての出荷を義務付けられました。これにより、電力設備における高効率変圧器の導入が進み、業界全体でエネルギー効率の向上が図られるようになりました。

低濃度PCB使用変圧器の分析や交換に関する補助金制度

環境省リーフレット

画像出典:環境省_ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト

低濃度PCBを含む変圧器の分析や交換に関する補助金制度は、高効率変圧器の導入によるエネルギー起源CO2の排出削減と、PCB廃棄物の早期処理による災害時の環境汚染リスク低減を目的としています。

◇PCBに汚染された変圧器の高効率化のための補助金制度

「令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の一次公募が、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団によって2024年5月20日から開始されることになりました。この補助金は、PCB廃棄物の早期処理による災害時の環境汚染リスクの低減や、省エネによる温室効果ガスの削減、そして地域外への資金流出の防止など、複数の政策目的を同時に達成するための事業費の一部を支援することを目的としています。

この取り組みにより、脱炭素社会の実現と地域循環共生圏の構築への貢献が期待されています。また、変圧器のPCB含有の有無の調査や、PCBに汚染された変圧器を高効率変圧器へ交換する際にかかる費用の一部を補助することも、この制度の目的のひとつとされています。

◇補助対象事業の要件

補助対象事業の要件は、以下の3つが挙げられています。

低濃度PCB汚染の疑いがある変圧器の分析・調査

この要件では、変圧器が低濃度PCBに汚染されているかどうかの調査や分析を行う事業が対象となります。これにより、適切な処理が必要な変圧器を特定し、早期に対応することが可能となります。

低濃度PCBに汚染された変圧器を高効率変圧器に交換

具体的には、低濃度PCBに汚染された変圧器を、よりエネルギー効率の高い変圧器に交換する事業が補助の対象です。この交換には、リースによる導入も含まれます。リースの利用により、初期費用を抑えて高効率変圧器への交換を進めることが可能となり、企業の負担を軽減します。

上記2つの事業を一体的に行うこと

つまり、変圧器の調査・分析と高効率変圧器への交換をセットで行う事業も補助対象となります。この一体的な対応により、効率的なPCB処理とエネルギー効率の向上を同時に達成することが期待されます。

さらに、補助対象となる高効率変圧器には条件があり、「トップランナー変圧器2014」の中でも、産業廃棄物処理事業振興財団が定める省エネルギー基準達成率が125%以上の変圧器であることが求められます。この要件により、交換される変圧器が一定以上の省エネ性能を持つことが保証され、エネルギー消費の削減と環境への負荷軽減が図られます。

◇対象者

以下の6つに該当する場合、この補助金の対象者となります。
1. 民間企業:一般的な企業が対象となり、規模や業種にかかわらず補助金の申請が可能です。
2. 一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人:非営利法人であるこれらの団体も対象です。環境保全や省エネに関する活動を行う法人は、補助金の活用により事業をさらに促進することが期待されます。
3. 法律により設立された法人: 法律に基づいて設立された法人も対象です。これには、特殊な法人形態を持つ団体も含まれ、法的なバックグラウンドを持つ組織が該当します。
4. 個人事業主または個人:法人でなくても、個人事業主や個人も対象とされています。小規模な事業者や個人が、省エネに貢献するための取り組みに対して支援を受けられるようになっています。
5. その他、環境大臣の承認を受けて財団が適当と認める者:特定の条件を満たす場合、環境大臣の承認を得て、財団が適当と認める者も対象となります。これにより、柔軟に補助金の適用範囲が広げられています。
6. 上記の対象者に対してリース方式で高効率変圧器を導入する事業者:補助金を利用して高効率変圧器をリース方式で提供する事業者も対象です。これにより、初期投資を抑えつつ、高効率変圧器の普及を促進することが可能となります。

以上のように、幅広い対象者が補助金の恩恵を受けることができるため、省エネや環境対策に取り組む多くの事業者や個人が活用しやすくなっています。


変圧器の寿命は一般的に15~30年で、内部劣化が進むと異常電圧や停電などのリスクが増えます。過去に製造された変圧器にはPCBが含まれている可能性があり、特に昭和28年から昭和47年に製造された製品でそのリスクが高いです。

PCBの判別には機器の銘板や専門的な検査が必要です。また、トップランナー制度の導入で高効率変圧器の普及が進み、エネルギー効率の向上とCO2削減に貢献しています。

さらに、低濃度PCBを含む変圧器の分析や交換には、補助金制度が活用でき、エネルギー起源CO2の排出削減や災害時の環境汚染リスク低減を図ります。この補助金は幅広い対象者に適用され、省エネと環境対策に取り組む事業者や個人を支援します。

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