高濃度PCB廃棄物の処分期限は終了!改善命令について | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
高濃度PCB廃棄物の処分期限は終了!改善命令について
公開:2024.08.15 更新:2024.08.15高濃度PCB廃棄物の処分期限は既に終了しており、特例処分期限も適用されません。処分期限を過ぎた場合には、環境大臣や都道府県知事から改善命令が下される可能性があり、違反すると罰則が科せられることがあります。
処分はJESCOが担当しますが、保有している個人・法人は届出、保管、収集運搬、処分の順で行う必要があります。PCB特別措置法に基づき、毎年6月末までに保管・処分状況を報告し、JESCOへの事前登録が必要です。
保管中は適切な管理が求められ、収集運搬は許可を取得した業者に委託し、それぞれのエリアを管轄しているJESCOが処理を行います。
北九州PCB処理事業所では、20年間にわたり多くのPCB廃棄物を処理してきましたが、2024年に操業を終了し、今後は安全を最優先に解体・撤去が進められる予定です。
目次
高濃度PCB廃棄物処分までの流れ
産業廃棄物は、種類に応じて適切に処理しなくてはなりません。なかでも高濃度PCB廃棄物は、届出とJESCOへの登録を行い、適正な保管を行うと共に、定められた期限内に処理・処分を行う必要があります。
高濃度PCB廃棄物の処理は、届出、保管、収集運搬、処分の順に行います。
◇届出
PCB特別措置法に基づき、PCBの保管・処分状況を毎年6月末までに都道府県知事または指定市長に報告する義務があります。
高濃度PCB廃棄物の処理を行っているのは、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)のみで、届出とは別に、JESCOへの事前登録が必要です。(登録は無料)
◇保管
PCB特別措置法で定められた保管規定に基づき、処分するまでの間、適切に保管・管理します。主な保管規定は次のとおりです。
・誤廃棄を防ぐため、PCB廃棄物であることを示すラベルを貼付する
・保管場所は雨水が当たらない場所を選び、囲いを設けて特別管理産業廃棄物を保管している旨を表示する
・変圧器などは鋼製容器やオイルパンに収納する
・地震などで転倒しないように、保管容器内にパッキング材を詰めるか、容器自体を固定する
◇収集運搬
PCB廃棄物の収集・運搬は、許可を取得した業者に委託します。委託契約の締結、マニフェストの交付・保存(5年間)、および搬出には立ち合いが必要です。
◇処分
高濃度PCB廃棄物の処分は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が行います。全国を5ブロックに分け、各地域の事業者に対応するJESCO事業所が決まっています。
なお、低濃度PCB廃棄物については、JESCOでは処理を請け負っていません。無害化処理認定施設または都道府県の許可施設へ依頼する必要があります。
高濃度PCB廃棄物の処分期限はすでに終了
PCB特別措置法が2001年に施行され、全国に処理施設が設置されました。各事業エリアの高濃度PCB廃棄物処分期限は既に終了しています。
特例処分期限日とは、処分業者への委託が確実である場合、処分期限を1年間延長できる制度ですが、こちらも終了しており適用されません。
◇処分期限は既に終了
2001年(平成13年)6月22日、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)が公布、同年7月15日から施行されました。同時に政府は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)を活用して、全国に拠点的な処理施設が整備したのです。
2004年(平成16年)に北九州事業が操業を開始し、それを皮切りに全国5か所に処理施設が設置されました。PCB特別措置法に基づいて、PCB廃棄物の処分期限が定められており、期限内に処分を完了しなくてはなりません。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物では処分期限が異なり、高濃度PCB廃棄物の処分期限は、下記のとおり既に終了しています。
・高濃度PCB廃棄物(コンデンサ、安定器、汚染物など)の処分期限
北海道(室蘭)事業エリア:2023年3月31日
東京事業エリア:2022年3月31日2023年3月31日
豊田事業エリア:2022年3月31日2021年3月31日
大阪事業エリア:2021年3月31日2021年3月31日
北九州事業エリア:2018年3月31日2021年3月31日
◇特例処分期限日とは?処分期限との違い
PCB廃棄物が確実に処理されるよう、各エリアのJESCOでは受け入れ期限(計画的処理完了期限)を定めています。しかし、この計画的処理完了期限は、法廷で定められた処分期限よりも1年前に設定されているのです。
計画的処理完了期限に間に合わない場合、特例処分期限日の申請が可能です。特例処分期限日とは、計画的に処理を進めていて、処分業者への委託が確実である場合に限り、PCB廃棄物の処分期限を1年間延長できる制度です。
都道府県知事などに対して特例処分期限日に関する届出を行い、承認された場合に限り、処分期限を1年間(処分期間の末日から起算して1年が経過する日まで)延長できます。
ただし、すべての処分施設の処分期限より既に1年経過しているため、特例処分期限日も終了しています。
処分を終えた事業所の今後
北九州PCB処理事業所は、2003年に着工し、2004年から操業を開始しました。これまで西日本から集めた高濃度PCB廃棄物を安全に処理してきましたが、2024年に操業を終了しました。
今後は、北九州市の指導のもと、安全を最優先に施設の解体と撤去を進め、6年後に更地となる予定です。
◇操業を終えた北九州PCB処理事業所
北九州PCB廃棄物処理事務所(第1期)は、2003年(平成15年)4月に全国で初めて着工されたPCB処理施設です。その後、施設が完成し2004年(平成16年)6月から11月にかけて6カ月間の試運転が実施されました。
北九州市の施設検査にて、すべての基準に適合していることが確認され、2004年(平成16年)12月10日に北九州市長からPCB廃棄物処分業の許可を受け、操業を開始したのは同年12月18日です。
第2期の北九州PCB廃棄物処理施設も、第1期と同様に建設工事、試運転、北九州市による検査が行われ、2009年(平成21年)に操業を開始しました。
2024年(令和6年)2月16日には、保管事業者から受託したPCB廃棄物の処理がすべて完了し、同年3月31日をもって施設の操業が終了しています。
今後は、北九州市との環境保全協定を遵守し、北九州市やPCB処理監視会議、PCB廃棄物処理事業検討委員会への報告や指導を受けながら、安全を最優先に施設の解体・撤去を進めることとなっています。
◇これまでの実績と今後の方針
北九州PCB処理事業所は、操業開始から20年間にわたり主に西日本から集めた高濃度PCB廃棄物の処理を行ってきました。この20年間で処理されたPCB廃棄物は、変圧器が約2,800台、安定器などが約1万トン、コンデンサが約6万台にも及びます。
施設では、周辺環境に悪影響を与えない安全な処理に尽力し、情報公開ルームを設置し、環境への影響がないことを市民に公開してきました。
施設の解体が進められますが、引き続き十分な安全対策を設けて、周辺環境や地域の理解を得て解体撤去作業を進める予定です。延べ床面積約2万㎡の建物は、6年後に更地になります。
処分期限後に高濃度PCB廃棄物が見つかったら
処分期限後に高濃度PCB廃棄物が見つかると、環境大臣や都道府県知事が保管事業者より改善命令を下されることがあります。この改善命令に違反すると3年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。
◇改善命令が下される
処分期限を過ぎても処分が行われない場合、環境大臣または都道府県知事は、保管事業者に対して、期限を定めたうえで高濃度PCB廃棄物の処分やその他必要な措置を命じることがあります。
この改善命令に違反した場合、その保管事業者には3年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
さらに、高濃度のPCBを含む電気機器などを使用し続け、期限までに使用を中止して処分しなかった場合も、その電気機器などは高濃度のPCB廃棄物とみなされ、改善命令の対象となります。
◇改善命令の事例
大阪市中央区のK社は、処分期限の令和3年3月31日までにPCB廃棄物の処分、または処分の委託を怠ったため、改善命令を受けました。
具体的には、令和5年9月25日までに、PCB廃棄物の処分および運搬を高濃度PCB廃棄物処分業者に委託することが命じられています。
また、運搬を委託する場合は、廃棄物の処理および清掃に関する法律の規定に基づき、必要に応じて本件廃棄物からのPCB漏えいを防止する措置を講じることも命じられました。
高濃度PCB廃棄物の処理は、厳密な手続きと適切な管理が求められる複雑なプロセスです。まず、PCB特別措置法に基づき、保管や処分の状況を毎年6月末までに都道府県知事または指定市長に報告する義務があります。
加えて、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)への事前登録も必要で、これにより、適切な処理体制が整えられます。
保管段階では、PCB廃棄物を誤廃棄しないようにラベルを貼付し、雨水が当たらない場所で厳重に管理する必要があります。また、地震などの災害時に備えて、保管容器を固定するなどの対策が求められます。これらの保管規定を守ることで、廃棄物が適切に管理され、周囲への影響を最小限に抑えることができます。
収集運搬に関しては、許可を取得した業者に委託し、マニフェストを交付・保存することが義務付けられています。搬出時には立ち会いが必要で、厳格な管理が求められます。
最終的な処分は、JESCOが全国5ブロックに分けて担当しており、各地域の事業者が指定されたJESCO事業所で処理を行います。ただし、低濃度PCB廃棄物については、JESCOでは対応せず、別途無害化処理認定施設や都道府県の許可施設に依頼する必要があります。
これらの処分手続きを踏まえても、高濃度PCB廃棄物の処分期限はすでに終了しており、特例処分期限も適用外となっています。処分期限を守らない場合には、環境大臣や都道府県知事から改善命令が下され、違反した場合は3年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科せられるリスクがあります。
一方、北九州PCB処理事業所は、2004年から20年間にわたり西日本から集めた高濃度PCB廃棄物を安全に処理してきましたが、2024年にその役目を終え、操業を終了しました。今後は、北九州市の指導のもと、施設の解体と撤去が進められ、6年後には更地となる予定です。
これまでの処理実績では、変圧器約2,800台、安定器約1万トン、コンデンサ約6万台を安全に処理し、環境への影響を最小限に抑えてきました。
施設の解体後も、地域社会と密接に連携し、十分な安全対策を講じながら作業を進める予定です。情報公開ルームを設置して市民に処理状況を公開するなど、地域との信頼関係を築いてきた同事業所の取り組みは、今後の解体撤去作業にも生かされることでしょう。
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