「鉛を含む塗料は本当に危険なの?
PCB(ポリ塩化ビフェニル)って聞いたことあるけど、どんなリスクがあるの?」
こうした疑問や不安を抱えている企業の方は多いのではないでしょうか。
実は、鉛やPCBを含む塗料の管理や処理を誤ると、作業者や周辺住民の健康被害はもちろん、法的な罰則リスクも甚大です。
気づかないうちに、有害物質が建物や設備に残ったまま放置されているかもしれません。
本記事では、法人・企業の責任者が「今すぐ知っておきたい7つのポイント」を中心に、鉛含有塗料やPCBの危険性と安全対策について詳しく解説します。
後半では、確実に失敗しないための廃棄物処理業者選びのコツもご紹介!記事を読めば、今すぐ取り組める実践的な解決策が分かります。
目次
【リスク1】放置で蓄積する健康被害

鉛やPCBが含まれる塗料は、一度吸引・摂取されると体内に蓄積されやすい性質を持っています。古い鋼橋やビル、工場設備などに塗られた塗膜には、過去に広く使用されてきた鉛やPCBが残存していることが珍しくありません。
鉛 | 頭痛・不眠・骨や筋肉の痛み、貧血、さらには脳症など重篤な症状を引き起こす可能性があります。 |
PCB | 肝機能障害や皮膚トラブル、発がんリスクなど、長期的な健康被害が懸念されています。 |
特に工場や建設現場での粉じん吸入は、大きなリスクとなりやすいです。
換気や保護具の装着を怠ると、作業者が気づかないうちに長期間にわたって低濃度被曝する恐れがあります。
「対策しなかった」では済まされないのは、こうした有害物質がじわじわと人体を蝕む特性を持っているからです。
企業としては、作業者の健康管理だけでなく、適切な保管・廃棄プロセスを確立することが不可欠になります。
【リスク2】解体時・改修時の飛散リスク

建造物に使われた鉛含有塗料やPCBは、解体や改修工事の際に発生する粉じん・切削くずなどから大気中に拡散する恐れがあります。
作業員だけでなく、周辺住民や環境への影響が深刻になるケースも報告されています。
飛散した粉じんの吸引 | 作業者が防護マスクを着用していない場合、健康被害に直結。 |
近隣住民とのトラブル | 特に住宅街近くでの工事では、粉じんや騒音などへの苦情が多く、企業の信頼を大きく損なうことになりかねません。 |
環境汚染 | 削り取った塗膜や排水が適切に処理されずに河川へ流出すれば、土壌や水質汚染につながる危険性があります。 |
“飛散防止策”としては、湿式工法(水を噴霧しながら塗膜を削るなど)を採用したり、作業エリアを密閉したりすることが有効です。
解体・改修工事の前に危険物の事前調査と施工計画をしっかり行うことで、こうしたリスクを大幅に抑えられます。
【リスク3】法改正と罰則強化

鉛やPCBの有害性が広く認識されるにつれ、国内でも関連法規の改正が進んできました。
代表的なものとしては、鉛中毒予防規則やPCB処理特別措置法などが挙げられ、違反時の罰則も年々強化されています。
鉛中毒予防規則 | 鉛含有塗料を剥離・かき落としする際には、湿式工法などで粉じん飛散を防止し、作業者の安全を確保しなければなりません。 |
PCB処理特別措置法 | 2027年3月末までのPCB処分義務や厳重な保管・届出が定められ、違反すると3年以下の懲役や1,000万円以下の罰金といった刑事罰が科される場合があります。 |
さらに、無許可業者に廃棄物処理を委託した場合、5年以下の懲役や1,000万円以下の罰金など重い罰則が待っています。
最近は環境意識の高まりからメディアの注目度も上がっており、摘発例が報道されれば企業イメージの失墜は免れません。
【リスク4】PCBの厳格な処理期限(2027年3月末)

PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物は、2027年3月31日までに処理を完了しなければならないと法律で定められています。
この期限を過ぎると、改善命令違反により懲役刑や罰金刑が科されるリスクがあります。
「まだ数年先だから大丈夫」と先延ばしにしていると、処理できる業者や処分施設が一時的に予約で埋まってしまう可能性があることも大きな問題です。
工期や手続きが集中してしまい、結局は高い費用がかかる、または最悪のケースでは処理期限に間に合わないというシナリオが考えられます。
- 早めに業者を選定しておくメリット
1)スケジュールに余裕がある分、交渉や比較検討がしやすい
2)書類準備や施設の受け入れ状況を事前に把握できる
3)無理なく計画的に撤去・処理を進められる
PCBが含まれる塗料やコンデンサなどの機器類が疑われる場合、まず専門家による分析を依頼し、早めのアクションを取ることが得策です。
【リスク5】許可業者選定ミスによる処罰

鉛やPCBを含む塗料の処理を外部に委託する際、収集運搬や中間処理・最終処分の許可を正式に得ている業者かどうかが非常に重要になります。
無許可業者へ委託 | 5年以下の懲役や1,000万円以下の罰金といった重い罰則の対象。 |
不法投棄や違法焼却 | 企業の管理責任が問われ、社会的信用を著しく失墜。 |
「少しでも費用を削りたい」「処理施設が近いから」という理由で安易に業者を選ぶと、後々大きな代償を払う可能性があります。
許可番号や処理能力、過去の施工件数、廃棄物の処理ルートなどを書面で確認し、信用できる業者を見極めることが必須です。
【リスク6】イレギュラー対応に追われる運搬・処理の手続き

鉛含有塗料やPCBなどの有害廃棄物は、通常の産業廃棄物と比べて特別な保管・運搬規定が多く、書類作成や検査手順が複雑になる傾向があります。
- 特別管理産業廃棄物として扱うケースもあり、保管場所の標識や容器のラベル、定期点検が厳しく義務づけられる。
- 災害や設備故障など突発的な事情で、処理施設が急に受け入れを停止する場合もある。その際、別施設を探すには別の都道府県の許可を取るなど新たな手続きが生じることも。
このようなイレギュラーが起きれば、その都度企業は時間とコストをかけて対策を講じなければなりません。
許可業者と密接に連携していないと、事態を把握できず「どこに相談すればいいかわからない」と右往左往することにもなりかねません。
【リスク7】企業イメージの低下・風評被害

万が一、鉛やPCBを含む塗料の飛散事故や、不法投棄・違法焼却などが報道されれば、企業としての社会的信用は一気に失墜しかねません。
現在はSNSで情報が拡散しやすく、悪評が長期間にわたって残る可能性があります。
- クリーンな企業活動を対外的に示すうえで、「適切な廃棄物処理を行っている」という事実は大きな安心材料となります。
- 社員や地域社会、取引先などステークホルダーに対しては、「万全の体制を敷いている」というメッセージが信頼構築に繋がります。
特に製造業や建設業では、環境負荷や公害防止対策の一環として、きちんとした処理を行う姿勢を見せることは、今後の企業価値向上にも大きく寄与すると考えられます。
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失敗しない!鉛・PCB廃棄物の安全対策3ステップ

ここまで紹介した7大リスクを回避するために、企業が取るべき3つのステップを整理しましょう。
ステップ1:現状調査と成分分析
- 施設や設備の点検:建造物や配管、機械類に塗布された塗料を確認し、鉛やPCBが含まれていないかをチェック。
- 専門機関による成分分析:古い建造物や塗装であれば、簡易的な検査だけでは不十分な場合がある。第三者機関を活用すると、より正確なデータが得られる。
ステップ2:対策計画の立案
- 飛散防止策(湿式工法など)の徹底:解体や改修を行うタイミングを計画し、作業方法を十分検討する。
- 高濃度PCB・低濃度PCBの区分:PCBの濃度測定を行い、適切なルートで廃棄処理を進める。
- 必要書類・処分施設への相談:マニフェスト管理や行政への届出書類など、事前準備を怠ると後でトラブルを招く。
ステップ3:許可業者への委託と実施
- 産廃処理の許可の有無を確認:収集運搬から処分まで、一貫して許可がそろっているかチェック。
- 費用の見積もり・工程表の確認:書類作成や現場作業を一括サポートしてくれる業者なら、社内負担を削減。
- 証明書の取得・マニフェスト管理:最終処理まで完了後の証明書類を保管することで、法的リスクを回避。監査時や事故対応時にも有効な証拠となる。
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9ALT BEST3と書かれたクラフト紙のカードとクリップ
「どこに頼めばいいのか分からない」「コストが心配」という方は、以下の業者を比較検討してみてください。
各社ともPCBを含む産業廃棄物の処理実績が豊富で、安心して任せられます。
1.【PCB廃棄物処理の施工件数なら】丸両自動車運送

引用元:丸両自動車運送HP
得意分野
- 産廃コンサル:全国の産業廃棄物処理場ネットワークを活用し、最適な処理方法を提案。
- 収集運搬の許可を全国で保有(45都府県展開)。
- 5,000件以上のPCB廃棄物処理実績で安心。
- 書類作成などの煩雑な手続きも一括代行。
ここがポイント
「運送会社」と思われがちですが、実は産廃総合コンサルタント会社。最適な処分方法を提案してくれるだけでなく、コストダウンにも注力してくれます。2027年3月31日までの処理期限に向け、スピード感ある対応が期待できます。
会社名 | 丸両自動車運送株式会社 |
住所 | 静岡県静岡市清水区横砂西町10-6 |
電話番号 | 054-366-1312 |
公式サイトURL | https://www.maruryou.jp/ |
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◯さらに詳しい情報は公式ホームページから確認できます。ぜひチェックしてみてください。
2.【低濃度PCBの処理なら】太洋サービス

引用元:太洋サービスHP
得意分野
- 低濃度PCBやPFOSなどの廃棄物を適正処理。
- VOC排ガス処理装置「GASTAK」の取り扱いが可能。
ここがポイント
幅広い有害物質に対応できる経験値があり、低濃度PCBやPFOSなど難処理廃棄物でも安心して相談できます。
排ガス処理技術を持っているため、環境負荷低減の観点でも評価が高いです。
会社名 | 株式会社太洋サービス |
住所 | 静岡県浜松市中央区篠原町26745−1 |
電話番号 | 053-447-4640 |
公式サイトURL | https://www.taiyo-ser.com/ |
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3. 【低濃度・改定低濃度PCBの処理なら】クレハ環境

引用元:クレハ環境
得意分野
- 高度な技術と多彩なノウハウで廃棄物を的確に処理。
- 経済産業省「地域未来牽引企業」に選定。
ここがポイント
PCB廃棄物の専門性が高く、厳格な法令遵守が求められる案件でも安心して任せられます。
自治体や大企業の経験も豊富で、社会的信用が高い企業との取引を重視する場合に選択肢となりやすいです。
会社名 | 株式会社クレハ環境 |
住所 | 福島県いわき市錦町四反田30 |
電話番号 | 0246-63-1231 |
公式サイトURL | https://www.kurekan.co.jp/ |
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まとめ:早めの行動が最大の防御策

鉛やPCBが含まれる塗料は、目に見えないが故にその危険性が軽視されがちです。しかし、法令による締め付けは今後ますます厳しくなり、企業に対して確実な処理を求める声は一段と高まります。
「あとで対応すれば大丈夫」と先延ばしにしていると、健康被害や巨額の罰金、企業イメージの低下といった取り返しのつかない事態を招きかねません。
今こそ、行動を起こすタイミングです
【1】現状の確認 | まずは塗料や廃棄物に鉛・PCBが含まれていないか調査する。 |
【2】専門家への相談 | 不明点があれば、分析・処理の専門機関に早めに問い合わせる。 |
【3】許可業者と連携 | 適切なライセンスを持ち、経験のある業者と協力して計画的に処分を進める。 |
この3ステップを踏み出すだけで、法的リスクや健康被害の大半を事前に回避できます。
「知らなかった」で済む時代は終わりを告げています。
安全策を講じることは社員や地域社会を守るだけでなく、企業価値を高める大きな一手にもなるのです。
「放置しない・早めに相談」こそが、あなたの企業と周囲の安全を守り、違反や罰則リスクを回避する最善策。 ぜひ一度、専門業者のサポートを受けながら、鉛やPCBの有害物処理を抜け漏れなく行いましょう。
【参考】
- 厚生労働省「鉛中毒予防規則」
https://www.mhlw.go.jp/
– 鉛を扱う作業現場において遵守すべき規則や防護策がまとめられています。 - 環境省「PCB処理特別措置法」
https://www.env.go.jp/
– PCBの処理義務と詳細な規定、罰則が記載されています。 - カネミ油症事件(1968年)
– PCBが加熱されダイオキシンに変化し、深刻な健康被害を引き起こした例として著名です。 - 化学物質審査及び製造等の規制に関する法律(1973年制定)
– PCBや他の有害化学物質の製造・使用を規制する国内の基盤となる法律。 - 丸両自動車運送公式サイト
https://www.example-maruryo.com/
– 全国対応の収集運搬許可を持ち、PCB廃棄物処理に強み。詳しい例や連絡先が記載。 - その他各社公式サイト
– 太洋サービス、クレハ環境など、各社のサービス内容や経験を確認。
記事を最後までご覧いただき、ありがとうございます。
これを機に、鉛含有塗料やPCBなどの有害物質の危険性と確実な処理の重要性を再確認し、早期の対策を進めていきましょう。企業が「安心・安全」を実現する一助となれば幸いです。
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