「PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理費用は高い…」
「社内に古い安定器や変圧器があるが、どこに相談すればいいのか?」
「補助金や助成制度で、コストを抑える方法はないの?」
こうした疑問をお持ちの法人・企業の担当者の方は少なくないでしょう。
PCB廃棄物の処理は法的に義務付けられているうえ、環境や健康面から見ても迅速な対応が不可欠です。
しかし、処理費用が高額になることから、コスト負担をどうすればよいか悩んでいるケースが多いのも事実です。
本記事では、PCB処理に対する補助金・助成制度をテーマに、各制度の概要や対象費用、申請手順、そして注意点などを詳しく解説していきます。
また、PCB処理を得意とする企業の具体例として、丸両自動車運送の特色にも触れます。
国や自治体の制度を賢く活用しつつ、安全かつ確実にPCB廃棄物を処理するための指針としてご参照ください。
目次
PCB処理が急務な理由:法令と期限

PCB廃棄物は、人や環境に強い毒性をもたらす特別管理産業廃棄物に分類されています。
分解が困難であり、適切に管理・処理しなければ健康被害や環境汚染のリスクが高いのが特徴です。
- 高濃度PCB:2023年3月末(地域により2024年3月末)までに処分期限が設定されており、すでに多くの地域で処理受付を終了。
- 低濃度PCB:2027年3月末までに保管事業者が適正に処理する必要がある(PCB特措法)。
期限を守らない場合や不適切な保管・処分を行った場合、法令違反として罰則(懲役・罰金)が科される可能性があります。
企業の社会的信用にも大きく関わるため、早めの対応が求められています。
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PCB廃棄物処理等に係る支援制度とは

PCB廃棄物の処理費用は高額になりがちなため、その経済的負担を軽減するために国や自治体が運営する補助金・助成金制度が「PCB廃棄物処理等に係る支援制度」です。
具体的には、
- 中小企業向けに処理費の一部を補助する制度
- エネルギー効率向上(LED化など)を支援する制度
- 都道府県などが独自に実施している助成金
といった多彩なメニューがあります。
これらを賢く活用することで、環境保護と費用負担の軽減を両立できる点が大きなメリットです。
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PCB廃棄物処理等に係る2つの代表的支援制度

本章では、代表的な2つの制度について概要を解説します。
中小企業者等の軽減制度
中小企業者等の軽減制度は、PCB廃棄物の処理費用が大きな負担となる中小企業や個人事業主を主な対象とし、廃棄物処理費の一部を補助するものです。
- 対象廃棄物:高濃度PCBを含む変圧器・コンデンサー・安定器など
- 申請時期:処理委託契約を結ぶ直前に申請が必要
- 補助金額:企業の規模や業種などで変動するが、処理費の数割~半額程度が目安
注意すべきは「全額補助」ではないこと。
一部自己負担が残る点を理解したうえで、早めに見積もりを取り申請手続きを行うことが重要です。
LED照明導入促進事業

LED照明導入促進事業は、省エネルギーと環境負荷低減を推進するための補助制度であり、CO₂削減効果の高いLED照明を導入する際の費用を一部補助します。
- 補助対象:LED照明器具への交換費用(調査費・設備費・工事費等)
- 補助率:最大で費用の3分の1(自治体によって異なる)
- 間接的効果:PCBを含む照明器具を撤去→PCB廃棄物の処理が進む
一度に多数の安定器を取り替える大規模リニューアルなどを行う場合、この制度を活用することで費用負担を大幅に減らせます。
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地域ごとの支援制度よる補助

国が行う制度に加え、都道府県や市区町村が独自に行う補助金や助成制度も存在します。
とくに「微量PCB汚染電気機器の分析費補助」などは、各自治体で細かい条件が設定されているため、事前調査が必須です。
都道府県 | 制度名の例 | 対象 | 補助内容 | 注意点・特徴 | 問い合わせ先 |
北海道 | 微量PCB廃棄物分析費用補助事業/低濃度PCB廃棄物適正処理助成金 など | 北海道内で業務を行う中小企業・個人事業主等 | – 分析費- 処理費(一部を補助) | 市町村と道庁の連携制度がある場合も予算超過で受付終了の可能性 | 道庁環境生活部市町村環境課 |
東京都 | PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物 助成事業【処理経費】【分析費】 | 都内でPCB 廃棄物を所有する個人・中小企業等(マンション管理組合など含む) | – 分析費と処理費の一部を助成(最大1/2)- 処理量に応じ上限額あり | – 分析や処理を始める前に交付申請が必要- 平成8年3月31日(令和8年度末)まで随時受付(予算枠到達で終了)- 都の環境局HPに「手引き」「Q&A」掲載 | 東京都環境局(産業廃棄物対策課など) |
神奈川県 | 微量PCB等分析費用補助金/PCB処理支援事業 など | 県内事業者(個人・法人問わず)低濃度PCB廃棄物を保管・排出するケース | – 分析費用の1/2補助など- 処理費も対象となる例あり | 横浜市・川崎市・相模原市など政令市が独自制度を行う場合あり併用可否は要確認 | 県環境農政部各市役所の環境課 |
千葉県 | 低濃度PCB廃棄物の分析調査・処理費用補助 等 | 中小企業・個人事業主県内での排出・保管 | – 分析費・運搬費・処理費の一部を助成 | 船橋市、市川市、柏市などで独自補助実績あり予算枠到達で終了のケース | 県循環型社会推進課または市町村役場 |
埼玉県 | 微量PCB含有安定器等処理費補助事業/アスベスト・PCB対策助成事業 | 県内事業者・個人事業主 | – 分析費・処理費(上限額設定)- 例:1/2~1/3補助など | さいたま市など政令市が別枠補助を行う場合もあり各年度ごとに公募期間が設定 | 埼玉県環境部市・町・村の環境保全課 |
大阪府 | 微量PCB等管理強化事業補助金/PCB含有安定器撤去促進補助 等 | 大阪府内の中小企業・個人事業主 | – 分析・運搬・処分費用の一部(半額程度)補助 | 大阪市や堺市などが独自で上乗せ補助申請は工事前必須 | 府環境農林水産部市区町村の環境課 |
兵庫県 | 環境対策推進助成金(PCB処理)/省エネ・低炭素化助成事業 等 | 県内事業者(個人含む) | – 低濃度PCB汚染機器の分析費・処分費の一部 | 神戸市・姫路市などで別制度を設けている例あり早期受付終了の年も | 県環境部門神戸市・姫路市などの環境局 |
愛知県 | 微量PCB廃棄物分析・処理費助成制度 等 | 県内の中小企業・個人事業主等 | – 分析費用1/2- 運搬・処理費一部補助 | 名古屋市など政令市で独自制度あり申請前に市区町村とダブルチェック | 県環境局名古屋市の環境保全課 |
福岡県 | 低濃度PCB(微量PCB)助成金/廃棄物適正処理支援事業 等 | 県内事業者個人事業主含む | – 分析・処理費の一部- CO₂削減策と連動した制度も | 北九州市(高濃度PCBの期限延長)が独自支援あり併用可否は事前確認必須 | 県環境部北九州市環境局 |
こうした各都道府県の助成金制度を積極的に活用すれば、数十万~数百万円ものコスト削減が見込めるケースもあり、PCB廃棄物処理の資金的負担を大きく軽減できます。
いずれの制度も、処理義務がある排出事業者の早期行動を促す狙いがあるため、適切な時期に申し込みを行うことが成功へのカギとなります。
申請窓口は自治体の環境部局や産業振興課などで、申請期限や必要書類が年度単位で変更される可能性があるため、こまめに情報をチェックしましょう。
補助対象となる費用と注意点

- 対象費用:収集運搬、飛散防止・漏洩防止措置、最終処分費など
- 対象外:既存機器の解体・撤去費用や保管管理費は対象外の場合が多い
- 自治体による違い:補助率、上限金額、申請時期が異なる。予算超過時点で受付終了となる場合も
申請手続きの流れ
- 情報収集:自治体のホームページや窓口で制度概要・募集期間を確認
- 必要書類準備:見積書、事業計画書、PCB濃度分析証明書など
- 交付申請:処分や工事を始める「前」に提出する
- 審査・交付決定:承認後に実際の分析・処理着手
- 実績報告:処理完了後、支払証明書やマニフェスト伝票の写し等を提出し、補助金交付
注意:交付決定前に分析や処分を実施してしまうと、助成対象外となる制度が多いので気を付けましょう。
【2025年4月から開始予定】新たな低濃度PCB廃棄物助成金情報

2025年4月1日から、国(環境省)が新たに「低濃度PCB廃棄物の濃度分析・処理に係る助成金」を開始する見通しです。
これは、残り2年(2027年3月末まで)という期限を念頭に、処理の加速化を図る狙いがあります。
国(環境省)が創設:補助率は1/2
- 対象:低濃度PCB廃棄物の分析費・処理費(漏洩防止措置や収集運搬含む)
- 補助率:費用の1/2(ただし限度額あり)
- 対象者:中小企業者や個人事業主など
具体的には「国庫補助金+独立行政法人環境再生保全機構によるPCB廃棄物処理基金」の組み合わせで、分析・処分に要する経費の半分を支援。
大幅なコスト減につながり、低濃度PCB廃棄物の処理を後押しすることが期待されます。
申請上の留意点:分析や処理の「前」に申し込む
- 令和7年度申請期間:令和7年4月1日~令和8年3月31日
- 予算が超過した時点で受付停止
- 予算が超過した時点で受付停止
- 交付決定通知書の発行前に分析や処分を始めると補助対象外になる
- 必要書類:申請書類一式(手引き・記入例を公式サイトで確認)
期限ぎりぎりに申し込むと、年度予算枠が埋まってしまうリスクもあるため、早期計画がポイントです。
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PCB処理の例:丸両自動車運送を紹介

引用元:丸両自動車HP
補助金を活用してPCB処理を進める際、信頼できる収集運搬業者の存在が欠かせません。ここでは、一例として「丸両自動車運送」の特徴を見てみましょう。
環境負荷を低減する持続可能な取り組み
丸両自動車運送は、PCB廃棄物の収集運搬を通して環境負荷低減に取り組んでいます。
- 低排出ガス車の導入・ルート最適化でCO₂排出量を削減
- SDGsの目標達成に向けた取り組みを推進
企業のCSRや環境意識向上にも貢献できるパートナーとして評価されています。
高い専門性と徹底した安全管理体制
PCBは特別管理産業廃棄物に該当し、扱いを誤ると大規模な環境汚染を引き起こす可能性があります。
- 作業員が講習を修了し、安全な運搬容器・トレイを使用
- 漏洩・飛散防止の万全策を実施
- 運搬経路のモニタリングでトレース可能
PCB処理に不慣れな企業でも、安心して依頼できる体制が整っています。
全国対応の柔軟な運搬ネットワーク
- 47都道府県に対応し、少量から大量まで効率的に運搬
- 小規模事業者向けに複数のPCB廃棄物を混載で回収し、費用を抑える工夫を導入
- 都道府県やJESCO処理施設への搬入手続きも代行してくれる
法令遵守と信頼性の高い対応
丸両自動車運送は、産業廃棄物収集運搬業許可のほか、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を取得し、法令を厳守した対応を提供。
書類作成やマニフェスト管理などもサポートし、排出事業者が安心して任せられる点が強みです。
会社名 | 丸両自動車運送株式会社 |
住所 | 静岡県静岡市清水区横砂西町10-6 |
電話番号 | 054-366-1312 |
公式サイトURL | https://www.maruryou.jp/ |
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補助金制度活用のポイント

- 補助金は「交付決定通知」後に動く
- 事前に分析や処理に着手すると対象外になる制度が多い。
- 事前に分析や処理に着手すると対象外になる制度が多い。
- 必要書類・期限を厳守
- 申請書、見積書、試験成績書、マニフェスト伝票など。
- 各制度で受付期間が決まっており、予算超過で打ち切りの可能性も。
- 申請書、見積書、試験成績書、マニフェスト伝票など。
- 重複助成の確認
- 国の制度と自治体の制度を併用できる場合もあれば、組み合わせ不可のケースもある。
- 国の制度と自治体の制度を併用できる場合もあれば、組み合わせ不可のケースもある。
- 対応エリアや費用感に合った業者選定
- ワンストップ対応できる業者であれば、補助金適用時に見積もり再計算などスムーズ。
- ワンストップ対応できる業者であれば、補助金適用時に見積もり再計算などスムーズ。
まとめ

PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理は、環境負荷や人体への悪影響を防ぐために不可欠であり、法令(PCB特措法)で期限内処理が厳しく求められています。
しかし、処理コストは高額になりがちで、多くの企業が予算確保に苦心しているのも事実です。
そこで注目したいのが補助金・助成制度です。国の中小企業者等の軽減制度やLED照明導入促進事業、そして都道府県や市区町村が独自に行う助成金など、賢く活用することで費用負担を大きく削減できます。
さらに、2025年4月以降に予定されている新たな低濃度PCB廃棄物の助成金(補助率1/2)では、分析費や処理費を半額支援してもらえる見込みがあり、期限目前の駆け込み需要にも対応しやすくなります。
ただし、助成金を受け取るためには申請のタイミングが重要です。
多くの制度は「交付決定通知書を受け取る前に分析や処分を開始すると対象外」となるため、早めの計画立案と書類準備が欠かせません。
国や自治体の予算枠が埋まると受付が打ち切られるケースもありますので、スケジュール管理を徹底することがポイントです。
また、プロの収集運搬業者に依頼すれば、補助金申請のサポートや書類整備、飛散防止措置の技術面などを一括してサポートしてもらえる場合があります。
企業の負担を軽減しながら法令遵守と環境保全を両立するためにも、信頼できるパートナー選びが成功へのカギを握ります。
PCB廃棄物の処理期限は、高濃度PCBは既に多くの地域で終了・延長期間中、低濃度PCBも2027年3月末に迫っています。
補助金制度をうまく活用し、コスト面と環境面双方の課題をクリアするために、ぜひ本記事を参考に具体的なアクションを起こしてみてください。
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