低濃度PCB廃棄物の無害化処理には、新技術としてCDP技術が注目されています。この技術は、PCB使用製品の絶縁油中に含まれるPCBを化学的に分解し、無害化するものです。最近、環境省の有識者会議でCDP技術の有効性が確認され、公式に認定されました。
この技術の導入により、PCB廃棄物の適切な処理がさらに促進され、環境保護と公衆の健康維持に大きく貢献することが期待されています。
目次
新たに認められた低濃度PCB廃棄物のPCB除去方法
低濃度PCB廃棄物の無害化処理の新技術として、CDP技術が注目されています。この技術は、PCB使用製品の絶縁油中に含まれるPCBを化学的に分解し、無害化するものです。環境に配慮した安全な処理が実現し、PCB廃棄物の適正な処理がさらに促進されることが期待されます。
◇PCB使用製品を廃棄する際必要な除去処理
PCBを含む製品(PCB使用製品)を所有する事業者は、法律に基づいてこれらの製品を適切に廃棄するか、PCBを除去することが求められています。
具体的には、PCB使用製品を廃棄する際には、まずその製品からPCBを安全に除去しなければなりません。除去されたPCBは、専用の処理施設で適切に処理される必要があります。このような処理を行うことで、PCBが環境中に放出されるのを防ぎ、健康被害を防止することができます。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に基づき、事業者はこのような除去処理を確実に行うよう努めなければなりません。これにより、環境保護と公衆の健康を守ることができます。
◇環境大臣の認定
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第15条の4の4第1項に基づき、低濃度のポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物を高度な技術で無害化処理を行う場合、その技術を使用する者は環境大臣の認定を受けることができます。
具体的には、PCBを含む製品や廃棄物を無害化するために、高度な技術を使用して処理を行う企業や施設は、まずその技術の有効性と安全性を証明しなければなりません。認定を受けることで、その技術が環境保護に適していることが確認され、適切な処理が行われていることが保証されます。
最近、環境省の事務局が務める有識者会議(WG)で、新たにCDP技術(脱塩素化分解方式の洗浄設備を用いて、PCBを含む絶縁油を化学的に分解し、製品を洗浄して無害化する技術)が有効であることが確認されました。この技術も認定の対象となります。
環境大臣の認定を受けることで、技術を使用する企業や施設は信頼性が高まり、適切なPCB廃棄物処理が実現されることが期待されます。
これまでの洗浄方式とCDP洗浄法の違い

画像出典:東芝環境ソリューション
従来の洗浄方式は、炭化水素系溶剤や新たな絶縁油を用いた循環洗浄でした。一方、CDP洗浄法は、PCB汚染絶縁油を化学的に分解し、浄化後の油を再利用することで、効率的かつ環境に優しい洗浄が可能です。
◇これまでの洗浄方式
現在採用されている洗浄方式には、溶剤循環洗浄法と加熱強制循環洗浄法があります。溶剤循環洗浄法は、炭化水素系溶剤を使用し、常温で8時間循環させ、16時間静置するサイクルを繰り返す方法です。
この方式では、溶剤が変圧器内部のPCBを溶解し、長時間にわたって循環と静置を繰り返すことで効果的に洗浄を行います。一方、加熱強制循環洗浄法は、40℃以上に加熱した新たな絶縁油を用い、1時間ごとに循環させる方法です。
この方式では、温度の上昇によりPCBの溶解度が増し、短時間で効果的な洗浄が可能となります。どちらの方法も、最終的にPCB濃度が溶剤循環洗浄法では0.4mg/kg以下、加熱強制循環洗浄法では0.3mg/kg以下に達することが求められ、確実な洗浄が確認されて終了となります。
◇CDP洗浄法について
CDP洗浄法は、変圧器などから微量PCB汚染絶縁油を抜き出し、PCBを分解した後に、分解後の絶縁油を変圧器に戻して洗浄処理を行う分解・洗浄方式です。この方法では、PCBを含む絶縁油を化学的に分解し、浄化された絶縁油を再び変圧器に循環させることで内部を洗浄します。
PCBの分解には、金属ナトリウムや水酸化カリウムなどをセラミック担体に担持させたものが使用されます。これにより、より効率的にPCBを無害化することが可能です。
CDP洗浄法を採用するメリット
CDP洗浄法は、PCB汚染絶縁油を化学的に分解して無害化する技術です。これにより、廃棄物を再利用でき、輸送費も削減されます。また、一カ所で多数の低濃度PCB汚染変圧器をまとめて処理することで、全体のコスト削減にも効果があります。
◇微量 PCB 汚染絶縁油や洗浄液の処理が不要
CDP洗浄法では、抜油した微量PCB汚染絶縁油や洗浄液の処理が不要です。従来の洗浄方式では、抜油した汚染絶縁油や管理濃度を超えた洗浄液をPCB無害化処理施設に送って別途処理する必要がありました。しかし、CDP洗浄法はPCBを現地で分解・無害化するため、これらの追加処理が不要となり、効率的かつ環境に優しい処理が可能です。
◇環境負荷やコストの削減
CDP洗浄法を採用することで、洗浄後の廃棄物が「特別管理産業廃棄物」から通常の「産業廃棄物」に変更可能となり、現地での解体や金属・絶縁油の再利用が可能です。これにより、環境負荷が大幅に低減できるでしょう。
また、大型変圧器の輸送が通常の産業廃棄物扱いとなるため、輸送費が削減できます。さらに、一カ所に多数の低濃度PCB汚染変圧器が存在する場合、まとめて洗浄処理が行えるため、トータルコストの削減にも繋がります。
東芝環境ソリューションの無害化洗浄処理
東芝環境ソリューションは、移動型設備を使用して大型の低濃度PCB廃棄物を現地で無害化洗浄処理する技術を提供しています。この技術は環境省の認定を受けたもので、廃棄物の安全な処理と再利用を可能にし、環境負荷の低減に貢献します。
◇豊かな自然を次世代につなぐ東芝環境ソリューション
東芝環境ソリューションは、かけがえのない自然環境と豊かな社会を次世代に引き継ぐことを目標に、環境ビジネスに取り組む企業です。リユース・リサイクル、環境再生エンジニアリング、環境マネジメントの事業を通じて、資源の過剰消費を防ぎ、有用なものを繰り返し利用できる社会システムの実現を目指しています。
最新の技術と豊富な経験を活かし、大気、水質、土壌、産業廃棄物の分析や有害物質の精密材料分析、作業環境測定を行い、総合的な環境ソリューションを提供しています。
◇無害化洗浄処理
東芝環境ソリューションは、移動型設備を使用して大型の低濃度PCB廃棄物(5,000kVA以上の変圧器)を現地で無害化洗浄処理することが可能です。この技術は環境省の認定を受けています。
処理の流れは、まず作業用足場を設置し、送油配管を接続して絶縁油を循環させながら洗浄を行います。次に、変圧器の天蓋を切断し、内部の部材を採取した分析です。そして、無害化が完了した変圧器は解体され、再利用されます。
事業者は、PCB含有製品を廃棄する際、適切にPCBを除去し、専用施設で処理する必要があります。環境大臣の認定を受けた技術を使う企業は信頼性が高まり、適正な処理が保証されます。最近、環境省の事務局が務める有識者会議で、CDP技術が有効であることが確認されました。
従来の洗浄方式は炭化水素系溶剤や新たな絶縁油を用いた循環洗浄でしたが、CDP洗浄法はPCB汚染絶縁油を化学的に分解し、浄化後の油を再利用することで効率的かつ環境に優しい洗浄が可能です。CDP洗浄法は、抜油した微量PCB汚染絶縁油や洗浄液の処理が不要で、環境負荷やコストの削減にも繋がります。
東芝環境ソリューションは、移動型設備を使用して大型の低濃度PCB廃棄物を現地で無害化洗浄処理する技術を提供しています。この技術は環境省の認定を受けており、廃棄物の安全な処理と再利用を可能にし、環境負荷の低減に貢献しています。