高濃度PCB産業廃棄物の処理を継続している事業エリアは?特徴を紹介 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
高濃度PCB産業廃棄物の処理を継続している事業エリアは?特徴を紹介
公開:2024.03.26 更新:2024.03.26高濃度PCB廃棄物の処理を継続している主要な事業エリアは、北九州、大阪、北海道の3か所です。北九州事業所は安定器や汚染物の処理を令和5年度まで行い、北海道事業所は令和7年度まで処理を継続します。こちらでは、処理施設の特徴や、処理の進捗状況も合わせて詳しく解説します。
目次
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の処理施設の違い
特別管理産業廃棄物に分類されるPCB廃棄物は、濃度によって高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類され、処理施設が異なります。高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の処理施設の違いは、以下のとおりです。
◇低濃度PCB廃棄物の処理施設
低濃度のPCB廃棄物は、その濃度が0.00005%を超え0.5%以下の範囲にあるものを指します。このような廃棄物を処理する施設は、環境保護の観点から特定の基準を満たしている必要があります。
具体的には、低濃度のPCB廃棄物を処理する施設は、環境大臣による認定を受けた施設または都道府県知事による許可を得た施設である必要があります。これらの施設は、PCB廃棄物を無害化処理するための適切な設備や技術を有しています。
環境大臣の無害化処理認定施設とは、国の規定に基づきPCB廃棄物を安全に処理できることが認められた施設です。一方、都道府県の許可施設は、地域の特性や規制に基づき許可が与えられた施設です。
これらの施設では、低濃度のPCB廃棄物を安全かつ効率的に処理するための手法が適切に実施されます。その結果、環境への悪影響を最小限に抑えながら廃棄物を処理することが可能となります。
◇無害化処理認定施設について
無害化処理認定制度は、アスベストを含む廃棄物や、微量PCB汚染廃電気機器等(微量のPCBに汚染された廃棄物)の処理に適用される制度のことです。無害化処理認定制度を取得した施設を無害化処理認定施設といい、全国に30か所以上あります。処理できる廃棄物は、廃油、トランス・コンデンサなど、その他の汚染物、処理物の4つに分類され、施設によって処理する廃棄物は違います。
◇高濃度PCB廃棄物の処理施設
高濃度のPCB廃棄物に関しては、政府出資の企業である中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が全国5か所にPCB廃棄物処理施設を設置しています。
JESCOは、2004年に北九州事業所を始め、その後豊田、東京、大阪、北海道の各事業所が順次操業を開始しました。これらの事業所は、全国を5つの処理対象区域に分け、それぞれの地域で発生するPCB廃棄物を処理しています。
具体的には、東京都内の高濃度PCB廃棄物は、東京事業所と北海道事業所で処理されています。東京事業所では水熱酸化分解方式を、北海道事業所では溶融分解方式を用いて、PCBを安全に分解処理しています。
PCB廃棄物の処理を行う全国5か所の事業エリア
画像出典先:JESCO
全国には、PCB廃棄物の処理を行っている事業エリアが5か所あります。それぞれにある事業所の概要と特徴は、以下のとおりです。
◇北九州PCB処理事業所
PCB廃棄物処理施設は全国初の事業所で、敷地面積は約54,000㎡、PCB処理能力は0.5t/日(PCB分解量)、10.4t/日(PCB汚染物等重量)です。第1期の着工は平成15年4月で、完成後、平成16年6月~平成16年11月まで試運転が行い、北九州市長より許可を得て平成16年12月18日に操業を開始しました。第2期は、真空加熱分離設備および液処理設備が平成21年6月に、プラズマ溶融分解設備が7月17日に操業を開始しています。
◇豊田PCB処理事業所
全国2番目の事業所で、敷地面積9,773.73㎡、PCB処理能力は1.6t/日 (PCB分解量)です。着工は平成16年4月で、完成後、平成17年5月~平成17年8月まで試運転を行い、豊田市長より許可を得て、平成17年9月に操業を開始しています。
◇東京PCB処理事業所
全国3番目の事業所で、敷地面積約30,500㎡、PCB処理能力は2トン/日(PCB分解量)です。着工は平成16年8月で、平成17年6月~平成17年10月まで試運転を行い、東京都知事より許可を得て、平成17年11月に操業を開始しています。
◇大阪PCB処理事業所
地上5階建て、建築面積は11,382.3㎡、延床面積は25,260.1㎡で、処理能力は2トン/日(PCB分解量)です。着工は平成17年1月で、平成18年3月~平成8月まで試運転を行い、大阪市より許可を得て平成18年10月3日に操業を開始しています。
◇北海道PCB処理事業所
当初施設と増設施設があり、敷地面積は当初施設が約40,000㎡、増設施設が約12,600㎡、処理能力は1.8トン/日(PCB分解量)です。当初施設は平成20年5月、増設施設は、平成25年9月に操業開始を開始しました。
それぞれの事業所のPCB処理進捗状況
令和3年2月末現在のそれぞれの事業所のPCB処理進捗状況を、簡単にご紹介いたします。
◇北九州 PCB 処理事業
平成30年度末で、コンデンサ類と変圧器類の処理を終了しています。安定器・その他汚染物の進捗率は70.8%で、令和2年度には210トン(北九州)、706トン(大阪)、411トン(豊田)の処理を行いました。処理対象物(処理済を含む)は、平成26年には5,900トンでしたが、11,000トンに増加しています。
◇豊田 PCB 処理事業
変圧器類とコンデンサ類の処理は順調に進み、進捗率はそれぞれ97.4%と96.9%に達しました。変圧器類とコンデンサ類の処理対象台数は、平成26年には58,000台でしたが、80,000台(処理済み込み)まで増加しています。変圧器類の処理は主に車載変圧器に焦点を当てて行われており、大阪事業エリアに保管されていたポリプロピレンなどを使用したコンデンサの処理は、令和元年度に完了しています。
◇東京 PCB 処理事業
令和2年度下期には、水熱分解設備の蒸気漏洩トラブルにより約2カ月間の操業が停止しました。この影響による変圧器類に関する年度処理計画の変更はありませんでしたが、コンデンサ類については年度処理計画を下方修正しています。進捗率はコンデンサ類が89.4%、変圧器類が93.9%です。処理対象となるコンデンサ類・変圧器類の台数は、平成26年は82,000台でしたが、88,000台(処理済み込み)まで増加しました。
◇大阪 PCB 処理事業
処理は順調に進み、コンデンサ類の進捗率が96.7%、変圧器類の進捗率が99.7%です。豊田事業エリアおよび北海道事業エリアに保管されている特殊コンデンサの一部も、継続して処理を行っています。処理対象となるコンデンサ類・変圧器類の台数は、平成26年は82,000台でしたが、87,000台(処理済み込み)まで増加しました。
◇北海道 PCB 処理事業
処理は順調で、進捗率はコンデンサ類が 93.3%、変圧器類が 97.1%、安定器・その他汚染物が 68.2%です。処理対象となるコンデンサ類・変圧器類の台数は、平成26年は69,000台でしたが、72,000台(処理済み込み)まで増加しました。
高濃度PCB廃棄物の処理継続が決まった事業所について
高濃度PCB廃棄物の処理完遂に向けた方針より、高濃度PCB廃棄物の処理を継続することが決まった事業所は以下のとおりです。
◇安定器・汚染物など
北九州事業所は安定器などの処理を令和5年度までの2年間行い、 北海道事業所では令和7年度まで処理を継続します。
◇変圧器・コンデンサなど
新規発掘の対応をすると共に、事業終了準備期間も含み、最低でも令和5年度までは処理を継続します。北九州事業エリアで新たに発見されたコンデンサなどの継続保管案件は、大阪事業所と豊田事業所が、令和4年度と5年度に広域処理を行うこととなりました。
PCB廃棄物の処理は、その濃度によって高濃度と低濃度に分類され、それぞれ異なる処理施設で行われます。低濃度のPCB廃棄物については、環境保護の観点から特定の基準を満たす施設が必要です。
具体的には、環境大臣による認定を受けた施設や都道府県知事による許可を得た施設が、安全かつ効率的な処理を行います。一方、高濃度のPCB廃棄物については、政府出資の企業であるJESCOが全国5か所にPCB廃棄物処理施設を設置しています。
これらの施設では、適切な技術を用いてPCBを安全に分解処理し、地域ごとに処理を行っています。例えば、東京事業所では水熱酸化分解方式を、北海道事業所では溶融分解方式を用いています。また、各事業所では処理の進捗状況や継続方針が管理されており、安定した運営が行われています。
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