PCB産業廃棄物の適正保管の必要性とPCB特別措置法改定による変更点 | PCB処理 完全攻略ガイド
PCB(ポリ塩化ビフェニル)処理
PCB産業廃棄物の適正保管の必要性とPCB特別措置法改定による変更点
公開:2024.04.16 更新:2024.04.16PCBの保管事業者は、長期間にわたりPCB廃棄物を保管する企業や組織を指します。保管事業者の責任は重大で、PCB廃棄物を適切に処理や保管をすることが求められます。適切な保管が行われない場合、漏れや気化による健康被害や環境への悪影響が懸念されます。そのため、PCBの保管は慎重かつ厳重に行われるべきであり、PCB特別措置法改定による変更点は、適正な管理を促進し、社会的なリスクを最小限に抑えるために重要です。
目次
PCBの保管事業者とは?保管事業者の義務
PCBの保管事業者は、PCB廃棄物を長期間にわたって保管する企業や組織です。法的な義務が課されており、PCB廃棄物の適切な保管と処理が必要です。これらの義務を履行しない場合、重い罰則が科される可能性があります。
◇PCBの保管事業者について
PCBの保管事業者は、長期間にわたりPCB廃棄物を保管している事業者を指します。一般的な廃棄物処理法では、廃棄物の処理責任は排出事業者にありますが、PCB廃棄物に関しては保管事業者にその責任があります。
保管事業者の義務は、PCB廃棄物を確実かつ適正に処理することです。具体的には、処分期間内に処理を行うか、処理を委託することが求められます。また、国や地方公共団体が行う施策に協力する義務もあります。所有事業者も同様に、PCB使用製品の廃棄やPCBの除去に努める義務があります。
◇PCBの保管事業者の主な役割
PCB廃棄物の保管事業者には、いくつかの責任があります。まず、年次報告書の提出が重要です。毎年、PCB廃棄物の保管および処分状況を都道府県知事(または政令市の市長)に提出しなければなりません。この報告書は公表され、違反や虚偽の届出は罰金や懲役の対象となります。
次に、PCB廃棄物を処分期間内には、自ら処分するか、他人に委託する必要があります。もし処分期間内に処分されない場合、環境大臣や都道府県知事(または政令市の市長)から措置を講ずべき命令が出されます。特に高濃度のPCB廃棄物に関しては、命令に違反すると重い罰則が科されます。
さらに、PCB廃棄物の譲渡や譲受けには制限があります。これに違反すると、罰金や懲役の対象となります。
事業者の相続、合併、または分割があった場合には、その後の事業者が地位を承継し、30日以内に都道府県知事(または政令市の市長)に届け出る必要があります。この届出も怠ると罰金が科されます。
最後に、PCB廃棄物の保管に際しては、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物保管基準」に従わなければなりません。これにより、適切な保管が求められます。
これらの責任を遵守することにより、PCB廃棄物の保管事業者は法律に準拠した適切な管理を行うことができます。
保管状態が悪いPCBは要注意!漏洩・飛散の危険性
画像出典先:JEAナビ
PCBの保管状態が悪いと、漏洩や飛散といった深刻なリスクが生じます。過去に起きたPCB漏洩事故などを振り返ると、保管庫内での油の漏れが原因で周囲に汚染が広がりました。そのため、PCBの保管は細心の注意が必要であり、漏洩や飛散を防ぐための適切な対策が重要です。
◇PCBの保管を厳重に行わなければならない理由
PCB廃棄物を不適切に保管すると、重大なリスクが生じます。古くなったPCBは容器が劣化し、漏れや気化の可能性が高まります。そして、漏れたPCB油が空気中に放出され、健康被害を引き起こす可能性があります。
皮膚症状や健康問題が発生するだけでなく、PCBは脂肪組織に蓄積し、長期間摂取すると深刻な影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。そのため、PCB廃棄物の保管には十分に厳重に行う必要があります。
◇過去に起きたPCB漏洩事故
平成25年1月17日、土木事務所敷地内のPCB保管庫で漏洩事故が発生しました。廃変圧器から低濃度のPCB含有油が漏れ、排出用コックの緩みにより庫内外に流出しています。漏出量は約30リットルで、汚染は限定的な範囲であり、汚染土壌の回収が完了しています。
井戸水利用者には警告が行われましたが、周辺環境への影響は低いと判断されました。対策としては、汚染土壌の処理を行い、再発防止措置が講じられています。
PCBを安全に保管するために
PCBを安全に保管するためには、適切な管理体制が不可欠です。PCBは人体や環境に深刻な影響を与える危険性があります。そのため、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置や法律に基づいた遵守が重要です。
◇PCBの適正保管のポイント
PCB廃棄物の適正な保管には、いくつか重要なポイントがあります。まず、特別管理産業廃棄物保管基準に基づいて、飛散、流出、地下浸透、悪臭発生などのリスクを防止するための措置が必要です。具体的には、以下の点に留意する必要があります。
保管場所の囲い
PCB廃棄物を保管する場所の周囲には囲いが設けられている必要があります。これにより、外部からの不正アクセスやPCBの流出を防ぎます。
掲示板の設置
保管場所には、特別管理産業廃棄物であることや注意事項を示した掲示板が設置されている必要があります。これにより、関係者が容易に確認できます。
防止措置の講じられた保管
PCB廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発生を防止するための措置が講じられている必要があります。例えば、適切な容器への密封、揮発防止、高温への曝露の防止などが含まれます。
害虫の防除
保管場所には、ネズミや蚊、その他の害虫が発生しないような措置が必要です。これにより、PCB廃棄物の安全性を保ちます。
混入の防止
他の物がPCB廃棄物に混入しないようにするために、適切な仕切りや区分けが必要です。これにより、廃棄物の品質を維持します。
揮発防止と高温への曝露の防止
PCB廃棄物が揮発しないような措置や、高温にさらされないような環境を確保する必要があります。
腐食の防止
PCB廃棄物の腐食を防止するための措置が必要です。これにより、廃棄物の安全性が確保されます。
◇特別管理産業廃棄物管理責任者の設置
特別管理産業廃棄物管理責任者は、廃棄物処理法に基づいて、特定の事業場における特別管理産業廃棄物の管理を責任を持って行う役職です。この責任者は、事業場ごとに選任され、その事業場で発生する爆発性、毒性、感染性など、人の健康や生活環境に影響を及ぼすおそれのある特別管理産業廃棄物の管理を担います。
特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務は、事業場で発生する特別管理産業廃棄物の性状に基づいています。これらの廃棄物が人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれがある場合、法律によって責任者の設置が義務付けられます。責任者の設置は、安全で適切な廃棄物管理を確保するための重要な措置です。
PCB特別措置法改定による保管事業者が関わる変更点
PCB特別措置法改定による保管事業者が関わる変更点は、保管場所の変更規制の強化や指導・助言、改善命令の発令、さらに報告徴収・立入検査権限の強化などが挙げられます。これらの変更は、高濃度PCB廃棄物の適正な処理を促進し、環境への悪影響を最小限に抑えるために行われています。
◇PCB特別措置法改定の目的
PCB特別措置法改定の目的は、特に高濃度PCBの処理を早急に進めるための改定です。平成28年8月1日から施行された法律により、計画的な処理完了期限内に高濃度PCBの中間貯蔵やJESCOへの処分委託を終え、安全かつ確実に処理を完了することを重視しています。このため、期限内の処理完了に向けて追加的な制度措置が講じられ、高濃度PCB廃棄物の早期処理が推進されます。
◇保管事業者が関わる変更点
PCB特別措置法改定による保管事業者が関わる変更点は、まず保管場所の変更を禁止し、例外的に変更がある場合は変更後10日以内に届出が必要です。また、都道府県知事は指導や助言を行い、処分期間内に高濃度PCB廃棄物の処分を委託しない場合は改善命令を出すことが可能です。
さらに、改善命令に従わない場合や保管事業者が不明な場合には、環境大臣や都道府県知事が自ら処分や必要な措置を行い、その費用は保管事業者から徴収されます。報告徴収・立入検査権限も強化され、保管事業者の活動を監視し、法令順守を促進しています。
PCBの保管事業者はPCB廃棄物を長期間保管する企業や組織であり、法的な義務が課されています。保管事業者の主な責務はPCB廃棄物の適切な保管と処理であり、定められた期間内に処理を行うか委託することが求められます。
保管場所の囲いや掲示板の設置、防止措置の実施など、特別管理産業廃棄物保管基準に基づく厳重な管理が必要です。また、PCB特別措置法改定により、保管事業者には保管場所の変更規制や指導、立入検査権限の強化など、追加的な制度措置が課されています。 これらの変更は、特に高濃度PCB廃棄物の早急な処理を促進し、環境への影響を最小限に抑えるために行われています。
得意分野で選ぶPCB処理業者 おすすめ3選
PCB廃棄物処理の
実績なら
丸両自動車運送
得意分野
・産廃コンサル
・収集運搬の許可を全国で保有
・コストの削減が可能
・約5,000件以上のPCB廃棄物処理の実績
低濃度PCBの
処理なら
太洋サービス
得意分野
・低濃度PCBやPFOS、廃棄物を適正に処理
・VOC排ガス処理装置GASTAKの取り扱いが可能
低濃度・改定低濃度
PCBの処理なら
クレハ環境
得意分野
・高度な技術と多彩なノウハウで廃棄物を的確に処理
・地域未来牽引企業として経済産業省より選定